一人ひとりに向き合うメンタルケアで
「はたらくをよくする®」
創業22年目の今、働く人にとって一番頼れる存在へ
ピースマインド株式会社 代表取締役社長
荻原英人さん
ミッションは「はたらく人が抱える『不』の解決」
インターネットを使ったメンタルケアサービスから、現在主力となっているEAP事業へと軸足を移されたのはどの時期からでしょうか。
最初は個人に対して、カウンセリングを提供していきました。メンタル不調者や自殺者が増えており、潜在ニーズはありましたが、カウンセリングなどのメンタルケアサービスの必要性に結びついておらず、まずはサービスの認知度を上げる必要があったのです。
そこで始めたのが、企業とのタイアップです。JR東日本さんと組んでグループのホテルチェーン内にカウンセリングルームを設置することができたのは、ベンチャー企業にとっては大きかったですね(現在同事業は行っていません)。
さらに大きな転機は、2000年に厚生労働省から出された「心の健康づくりのための指針」でしょう。企業は従業員のメンタルヘルスにもしっかり取り組むべきという流れが生まれました。弊社も企業に対してEAP(従業員支援プログラム)を請け負うサービスを本格化させることで、収益の柱が生まれました。
当時は弟の国啓さんが社長、英人さんが副社長という体制ですが、二人でどのような役割分担をされていたのでしょうか。
立ち上げ当初は二人の共同代表でしたが、いつの間にかその体制になりましたね。ベンチャーなので肩書にかかわらず何でもこなすわけですが、その中でも対外的な営業などは彼が担当し、カウンセリングを担当する専門家のネットワークづくりや、サービスの仕組み整備などは私が中心でした。メンタルケアもインターネットの活用も、成功事例の多くは海外にあったので、そういった情報を収集して日本での展開に生かしていくことやパートナーシップの構築も私がリードしていました。
そして2018年に現職の代表取締役社長に就任されます。就任された際の思いなどを教えてください。
代表になる以前から準備していたのがミッション・ステートメントの体系化、再言語化でした。社名の「ピースマインド」には「心豊かな社会、未来をつくりたい」という思いが込められており、そこは創業から一貫しています。ただ、事業が専門的であるために、外からは「何をやっている会社なのか」が見えにくくなっていました。心理学をはじめ専門用語が飛び交う社内なので、外から見たら何を言っているのかよくわからない。すると、意味がわかる社員同士で、内向きに話を進めてしまう。気をつけないと、本来向き合うべきお客様や社会に対してどんな価値を提供しているのか、していこうとしているのかがわかりにくくなってしまうのです。
そこで、ピースマインドが提供する価値を明確に打ち出したのが、「はたらく人が抱える『不』を解決する」というミッションです。「不」とは働く人たちが抱えるさまざまな悩み、困難のこと。メンタルの不安・不調から、職場への不適応、人間関係の不和など多岐にわたる課題に対応することを表現しました。
さらに、このミッションに忠実な事業活動を続けるために、「『はたらくをよくするエコシステム』を創り、いきいきとした人と職場を増やす」というビジョンを掲げました。社内に、そして顧客をはじめとするステークホルダーに向けて、私たちが日々何を目指して活動しているのかを伝えたいという思いを込めています。
ミッションやビジョン、バリュー(行動指針)の策定にあたっては、社内の主要メンバーとディスカッションを重ね、意見をまとめました。顧客に言われた私たちの良いところ、私たちが仲間を見て良いと思うところ、それらを集約して言葉にしていきました。20周年はこうした自分たちの原点を確認するには、とてもいいタイミングだったと思います。
日本を代表するHRソリューション業界の経営者に、企業理念、現在の取り組みや業界で働く後輩へのメッセージについてインタビューしました。