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顧客の人材開発課題に的確に応える
「キャリア開発支援ナンバーワン企業」を宣言

株式会社日本マンパワー

加藤智明さん

「キャリア開発支援」は「イノベーション」の源となる

 現在の「教育研修業界」「人材サービス業界」について、どのような課題があると思いますか。

業界内の企業の数が、非常に多いと思います。特に、教育研修業界で顕著です。そのため、規模の小さな企業では、必要以上に安売りをするケースが少なくありません。一方で、お客さまは定期的に、継続的に研修を実施するためにも、安心感・安定感を求めて大手の研修会社に依頼する傾向があります。ですから、規模の小さな企業は値段を下げるような対応ではなく、品質や独自性を前面に打ち出していかないことには大きく成長することができません。これができないとなると、今後、業界の再編成が進んでいくように思います。

 企業の人事・教育部門については、どのようなことをお感じになっていますか。

加藤智明さん インタビュー photo

企業を取り巻く環境変化が激しくなる中、企業の経営戦略を実現するための人材戦略の重要性は、高まっています。そうなると、今以上に企業の人事・教育部門としての高い専門性や新たな発想力が求められます。専門性という意味では、企業の人事・教育部門の担当者の方々が、当社のキャリアカウンセラー(CDA)養成講座で、対人支援の専門性を身に付け、キャリアについての理解を深めていただいていることは、非常に良いことだと感じています。また、最近はITを活用した新しいコンセプトの学習方法や、ミュージカルのエッセンスを活用した研修など、今までにない教育技法にも注目が集まっています。これからの人事・教育部門はそういった新たな試みに対しても、常にアンテナを立てて、チャレンジしていただきたいと思います。

 そうした中で、キャリア開発支援には、どのような意味があるのでしょうか。

キャリア開発支援は、単に個人が将来ありたい姿を考えることで終わってはなりません。今、企業のトップの最大の関心事は「グローバル」と「イノベーション」です。トップマネジメントの方に対しては、キャリア開発支援は「イノベーション」を創出する源になると捉えていただきたいと思います。

では、これを「MUST・CAN・WILL」の関係を使って説明しましょう。まずMUST(やるべきこと)は、組織の必達目標(コミットメント)で、CAN(できること)は社員の専門能力、そしてWILL(やりたいこと)は社員の望んでいる仕事です。「能力開発」とは、これら一つひとつの輪を大きくするために行う研修によって実現されるものです。当社では、この三つの輪が重なる部分を大きくすること(MUST・CAN・WILLの重複面積の最大化)を、キャリアカウンセリングを含め「キャリア開発支援」と呼んでいます。

三つの輪の重なる面積が大きい状態は、社員が専門性を発揮しながらモチベーションや生産性が高い状態で組織に貢献することを意味します。社員はワクワク・イキイキしながら働くことができていますので、知的想像力も刺激され、イノベーション創出の源が個人や組織に現れてくることが期待できるのです。ところが、MUST・CAN・WILLの三つの輪の重なりが非常に小さい状態では、社員はイライラしながら仕事をしている状態。モチベーションは低く、組織の生産性も低く、期待する成果は出ません。

つまり、キャリア開発研修は個人の将来ビジョンを作るだけではなく、イノベーションの源を創出させる仕掛け作りなのだということです。まだまだこのようなキャリア開発の考え方が、人事・教育部門の方にあまり理解されていないように思います。

 その点からも、人事・教育部門の方がCDAの勉強をしながら、キャリア開発支援の目的を理解することは、とても意味があるように感じます。では、貴社の今後の展望をお聞かせください。

政府が、労働施策の柱の一つとしてキャリア・コンサルティングの整備を打ち出したわけですが、現代社会では「生きること」と「働くこと」が重なり合う部分が大きくなっているからです。そのために必要なのがキャリア開発支援なのです。この点において、国が民間企業で先駆的に取り組んでいるキャリア・コンサルティングの成功事例を基に、キャリア形成支援の仕組みのコンセプトを明確にして、体系的に施策に取り入れてきています。昨年には、企業内キャリア・コンサルタントに向けた、当社独自の学びとネットワーキングの場「企業内キャリア・コンサルタントの寺子屋」を誕生させました。そのような動きを通じて、日本におけるキャリア・コンサルティングの発展にさらに寄与していきたいと考えています。

働く人、一人ひとりの可能性を最大限に発揮できるようにして、組織の生産性を向上させることが、これからのキャリア開発支援の大きな目的となります。そうした点からも、今後、キャリアカウンセリングを含め、キャリア開発の研修プログラムは企業の「人事教育システムのOS」になっていくと考えています。その上に様々な目的別の研修がアプリケーションとして動いていきます。

 最後に、人材サービス業界に携わる皆さまや後に続く若い方々にメッセージをお願いします。

ライフキャリアの視点から、メッセージを伝えたいと思います。人は誰でも「もっと大きな幸せを手に入れたい」と思いますが、この考え方ではきりがなく、幸せになるのは難しいと思います。幸せとは、何かを追い求めたり、誰かと比べたり、何かと比較したりすることではなく、「今ある幸せに気づくこと」ではないかと、私自身、最近思うようになってきました。このように幸せを思うことによって、いつでも、いつまでも幸せを感じることができ、自分の人生が充実し、面白くなっていきます。また、何と言っても、このように思うことにより「楽しい、明るい家庭を作る」ことができるのではないでしょうか。私生活が充実せず、自分を不幸せと思う人で、仕事がうまくいっている人などいないと思うのです。

加藤智明さん インタビュー photo

(2015年6月25日 東京・千代田区・日本マンパワー本社にて)

社名株式会社日本マンパワー
本社所在地東京都千代田区神田東松下町47-1
事業内容企業向け教育・研修
通信教育・通学講座
キャリアカウンセリング
人材評価
再就職支援
人材紹介
ジョブカフェ等就業支援
設立1967年9月

企画・編集:『日本の人事部』編集部

Webサイト『日本の人事部』の「インタビューコラム」「人事辞典「HRペディア」」「調査レポート」などの記事の企画・編集を手がけるほか、「HRカンファレンス」「HRアカデミー」「HRコンソーシアム」などの講演の企画を担当し、HRのオピニオンリーダーとのネットワークを構築している。

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この記事ジャンル キャリア開発研修

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