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株式会社 学研ホールディングス
次世代を担う社員の成長と挑戦を支援
――学研の「経営人財」育成に向けた取り組みとは

人財育成に完成形はない、日々「Creative Challenge」を!

ジュニアボード、G-1グランプリなどの施策を推進するにあたり、人事戦略室ではどのようなスタンスで現場をサポートしているのでしょうか?

小林:「広い視野で知性と感性を磨き、果敢に挑戦する社員を育てる」が弊社グループの人財育成方針ですが、私たち人事戦略室の役割は、その挑戦を促す“仕掛け”を作ることに尽きると考えています。ですから、社員に手とり足とり教えることはありません。研修などの施策も、必要以上のことはしていないんです。

なぜかというと、弊社は「学び」をサポートする企業ですが、学ぶ主体はあくまでお客様であって、私たちはお客様が自ら学ぶための方法論や仕掛けを提供している側。次代を担う経営層候補なら、必要なマインドやスキルは自ら主体的に学んで、身に付けていって欲しい。ジュニアボードなどの施策は、その仕掛けにすぎないんです。それに社員が乗ってくれるかどうかについては、私はあまり心配していません。実際、若手にはジュニアボード選抜希望者が増えていますし、「自分もいつかはG-1をとる」という声も聞こえてくるようになりました。私たちがあれこれ言うより、小袋のような成功モデルが出ていることが、彼らの励みになっていると思います。

その経営人財の育成モデルとして、小袋さんは、自分自身の成長や意識の変化などをどう実感していますか。実際に経営側に立つと、また違う発見もあると思います。

小袋朋子さんPhoto

小袋:入社以来、編集の仕事しか知らなくて、学研の社員としての意識より「この雑誌の作り手なんだ」という思いやプライドのほうがずっと強かったんです。仕事の視野も狭くなりがちで、いかに面白い記事で読者を楽しませるか、頭にはそれしかありませんでした。小林の話にあったように、ジュニアボードでも「視野を広く、視座を高く」とくり返し教えられたのですが、いまだに編集者の思考がなかなか抜け切りません。でも、自分は意識しないと、視野が狭くなるんだと気づかされたこと自体が、私にとっては大きな収穫でした。

各部門がそれぞれ部分最適を追求しようとするのは、私もそこにいたのでとてもわかりますが、いまは全体最適を優先しなければならない立場です。会社全体の利益を考えた場合、正しい選択はどれか、グループ全体のために大切なことは何か――そういう広い視野と高い視座を保ちながら、その上で現場にも常に目を向けていきたい。一人ひとりがもてる能力を最大限発揮し、自分の仕事にプライドを持って働き続けられる環境を整備するのが現在の目標です。難しいでしょうが、その答えを見出して初めて、経営としての成果が出るのだと思っています。

ありがとうございます。最後に小林さんから「経営人財」の育成に向けてこれからの抱負をお願いします。

小林:現在の取り組みは、まだゴールではありません。ジュニアボード制度もG-1グランプリもまだ手探りの状態です。特にジュニアボードは毎年テーマを変えていて、1期生はフリーテーマだったのですが、2期生には「グループ会社2社で連携して取り組む」、3期生には「新規事業を立ち上げる」というように“縛り”をかけました。ジュニアボードの内容やメリットがグループ内で周知されるにつれて、参加者も経営側も要領がわかるようになり、大変だった1期生に比べると、2期生、3期生にはハードルが低くなってしまったんです。そうなるとマンネリ化しやすいので、テーマで縛りをかけて試練を与えてきたのですが、さて、次はどうするか……。新しい仕掛けを構想しているところです。

いずれにせよ、いま取り組んでいることが100%正解とは思っていませんし、人財を育てるのに、これだったら確実に育つという完成形はおそらくないでしょう。人の可能性が無限ならば、その引き出し方もまた無限にあるのかもしれません。だからこそ、経営層も人事担当者も、社員と一緒に汗をかきながら成長していくしかない。学研グループの一員である以上、私たち人事にも日々、「Creative Challenge」が求められているのだと思います。

小林徹さん 小袋朋子さんPhoto

(取材は2014年5月9日、東京・品川区の学研ホールディングス 本社にて)

企画・編集:『日本の人事部』編集部

Webサイト『日本の人事部』の「インタビューコラム」「人事辞典「HRペディア」」「調査レポート」などの記事の企画・編集を手がけるほか、「HRカンファレンス」「HRアカデミー」「HRコンソーシアム」などの講演の企画を担当し、HRのオピニオンリーダーとのネットワークを構築している。

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この記事ジャンル 経営者育成

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【用語解説 人事辞典】
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