健康経営と人材紹介つい「忖度(そんたく)」してしまいがち 健康な人しか紹介できない?
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退職理由がメンタル不調だった人材
「前の会社をご退職されたのは、どういった理由でしょうか?」
転職相談で必ず確認するのは、転職理由やこれまでの退職理由だ。キャリアアップや年収アップといった前向きな理由もあれば、「体調不良のため」という人もいる。転職希望者のBさんは、「体を壊したこと」を理由に退職したのだという。

「実はうつ病になってしまいまして……」
職務経歴書には「体調不良」としか書かれていなかったが、転職相談の席でBさんは、その内容まで正直に話してくれた。退職後は療養し、現在は全快して再就職活動もできるようになったという。
しかし、これもまた人材紹介会社としては、対応に悩んでしまうケースだ。企業が肉体的な病気以上に気をつかっているのが、従業員の心の不調だからである。過労死レベルで残業が多いことや、パワハラ上司がいることだけが、メンタル不調発生の理由となるわけではない。どんな仕事であっても少なからずプレッシャーはあり、それが原因で健康を害してしまうことがある。選考時の適性試験の結果を見て「ストレス耐性の高い人を優先して採用する」という企業もあるほどだ。
Bさん自身も、理解のある職場でないと続けるのは難しいと考えているようだった。
「メリットにはならないことなんですが、わかってもらっておいた方がいいと思いまして」
実際、過去に私が紹介した方で、うつ病であったことを伏せて入社し、一週間後には再発して退職してしまった人がいた。本人はもちろん、企業にも人材紹介会社にもダメージだけが残ったケースだった。
Bさんは正直で誠実な人だとよくわかったのだが、メンタル面を考えると、実際に紹介できる企業は限られてくる。「条件にあう企業を探してみます」と言ってはみたが、少し時間がかかるのは間違いない。Bさんの職場復帰がなんとかうまくいってほしい、と願わずにはいられなかった。
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企業と求職者の仲介役である人材紹介会社のキャリアコンサルタントが、人材採用に関するさまざまなエピソードをご紹介します。
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