キャリアチェンジ転職売り手市場だから? 人気キャリアにこだわらない人たち
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ひょっとして、だまされていませんか?

「その後、紹介していただけそうな会社はありましたか?」
Yさんからメールが届いたのは、数週間後だった。未経験でも紹介できる経営企画の求人はもともと少ない。無理を承知で推薦した企業も、書類審査で見送りになっていた。現状を報告すると、Yさんからすぐに返信が送られてきた。
「実は、決まりそうなところが一社あるんです」
詳しい状況が知りたくなった私は、Yさんに直接電話してみた。メールでは細かいことがよくわからない。幸いYさんはすぐに電話に出てくれた。
「決まりそうというのは、経営企画としての採用ですか?」
「それを見越して、ですね。最初は開発部門のリーダーで入社して、製品やビジネスを覚えてから経営企画に、というお話をいただいています」
「なるほど……」
なるほどとは言ったものの、なんとなく「本当かなあ」という気にもなる話だった。ひょっとしたらその会社は技術者としてのYさんが欲しくて、将来経営企画に異動させるという空手形を振り出しているだけかもしれないと思ったのだ。しかし、「だまされているかもしれないですよ」とも言えない。そこで、Yさんが気分を害さないように質問してみた。
「経営企画への異動は確約を取っているのですか?」
Yさんは「確約を得ています」と言うが、果たして本当だろうか。数ヵ月先の話ならまだしも、企業が数年先のことを約束する可能性は低いのではないか。1~2年でもYさんに活躍してもらえればそれでいい、と割り切っているのかもしれない。それぐらい切実に、技術系人材を欲しがっている企業もあるのだ。
「わかりました。では、弊社からご紹介可能な求人の有無を再度確認して、明日までにご報告します」
そうは言ったが、Yさんに紹介できる経営企画の求人はおそらくないだろうな、と私は考えていた。
「せっかく素晴らしいキャリアの人材が登録してくれたのに……」
社内から「もったいない」と言われそうだったが、転職は最終的に本人の意思で決めるもの。私は改めて、そのことを実感していた。
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企業と求職者の仲介役である人材紹介会社のキャリアコンサルタントが、人材採用に関するさまざまなエピソードをご紹介します。
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