過労死事件の死角ハードワークもやりがいの一部? 気にする人が少ない人気企業の勤務環境
有名企業で起きた「過労死事件」は多くのメディアで取り上げられ、政府が目指す「働き方改革」にもその波紋が広がっている。もちろん転職希望者にとっても、無関心ではいられない問題だろう。問題の過労死事件は、世間では一流企業とされ、就職人気も高い大手企業で発生した。ここに一つの死角があるのではないだろうか。
面接では質問しにくいこと
「この会社の残業や休日出勤の状況はどうなんでしょうか?」
転職相談で企業を紹介していると、よくこんな質問をされる。実際の勤務環境はどうなのか、転職希望者が気になるのは当然のこと。面接の時にこういった質問はあまりできないので、人材紹介会社経由で確認しようと考える依頼者は多い。
就職面接のマニュアル本などには中途採用・新卒採用にかかわらず、「最初から条件面や細かい勤務環境に関する質問はしない方がいい」とよく書かれている。仕事の話そっちのけで、条件のことばかり聞くのは順番が違いますよ、ということだが、「その種の質問は企業側に好まれない」ということが定説になってしまっている面もあるようだ。
実際、「残業時間や休日出勤のことばかり気にするような人材はいりません」と公言している担当者もいる。「権利ばかり主張する人は仕事をしない」と、偏見を持っているケースが少なくないのだ。そこで私たちは、転職希望者の皆さんに安心してもらえるよう、質問をしっかり受け止め、わかる範囲内ですべてお答えしている。
「残業や休日出勤の状況を知りたいと思うのは、求職者の方々にとって当然のことです。場合によっては企業からさりげなく聞きだしますから、ご安心ください」
勤務条件は、会社を選ぶ際にきわめて重要な要素。オブラートで包むように扱うのは、企業にとっても人材にとっても決して良いことではない。
しかし、人材紹介会社は紹介する企業の内情を100%把握しているわけではない。せっかく採用した人材がすぐに辞めてしまうと困るので、最近は実状を教えてくれる企業が増えているが、意図的に隠していれば、突っ込んだ調査をすることは難しい。多くの転職希望者と会う中で、たまたまその会社に在職していた人から話を聞くことはあるが、全企業を網羅できるわけがなく、ごく一部の企業のとどまっているのが実情だ。