「新卒で起業」経験者の転職
今後増えるのは間違いないケース 企業は「新卒で起業」した人材を受け入れられるか
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起業経験を評価してくれる企業とは
「これまで何度か面接を受けてきましたが、頭から『組織向きではない』と思われているような気がします」
Cさんによると、組織(企業)で働くことをどう思うか、あるいはチャンスがあればまた起業したいと思うか、といった質問を必ずされるという。
「組織に向かないから起業したのでは、と思われているのかもしれませんね」

起業経験者は、企業が欲しがる「経営者感覚」を持った人材といえる。リーダーとしての素質も持っていることだろう。しかし、企業側からすれば、「チームプレイができるのか」「すぐに退職してしまうのではないか」といった不安があるようだ。
さらには「就職活動がうまくいかなかったから起業したのではないか」「起業したといっても、結局失敗したわけだから、本当に能力があるのかは疑問」といった見方をしているかもしれない。一時、高校からダイレクトに海外の大学に進学した人を、「日本でどこにも合格しなかったから海外に行ったのだろう」と受け取る企業が多かったことに、通じるものがある。
「結論からいえば、価値観の合う企業を探すしかないと思いますよ」
私はCさんにそう言った。
「起業自体は、素晴らしい経験だと思います。誰にでもできる経験ではありませんし、多くのことを学ばれているのは間違いないでしょう。ただ、それが組織の一員として働く上で役に立つと思うか、あるいは邪魔になると思うかは、それぞれの企業の考え方次第です。価値観の合わないところに行っても、苦労するのは目に見えています。Cさんの経験を評価してくれる会社を、じっくり探すしかないと思います。そういう意味では多様性を重視している会社や、面接でトップに会える会社などがいいのではないでしょうか。もちろんトップには個性の強い人も多いですから、合う、合わないはあると思いますが」
社会人を経験したことがある人でも一度独立の道を選ぶと、特別な技術やスキルがなければ、そう簡単に再就職できない。Cさんのように社会人経験がなく起業した人材なら、なおさらだろう。気をつけなければいけないのは、「若手なら経験不問」などのうたい文句で大量採用している企業だ。その実態がブラック企業であるところも少なくない。そういう会社では、Cさんのような人材を「将来の幹部候補に」などと、ことさらに高く評価することもある。しかし、そういう企業が多様性を認めているとは限らない。
「いろいろと考えておかなければいけないことがあるんですね」
Cさんは改めて、転職に向き合う決意を固めたようだった。私も、今後増えていくであろう「起業経験人材」の再就職という今回のケースに、真剣に取り組んでいきたいと改めて考えるのだった。
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