出る杭を伸ばす組織を目指して
大企業病に挑む若手・中堅有志団体One JAPANが、
人事に求めること(後編)[前編を読む]
One JAPAN 共同発起人・代表/パナソニック株式会社
濱松 誠さん
One JAPANへの理解を得るため、直属の上司・経営層にも相談
山本さんにうかがいます。One JAPANの活動を推進するにあたって、所属企業の理解を得るために、どのような働きかけを行いましたか。
山本:私はNTT東日本に所属していますが、まず、直属の課長・部長にはすべて共有するようにしています。それから、理事や取締役クラスにも直接話す場を設けてもらいました。One JAPANのような企業の枠を超えた取り組みには、所属企業の理解が欠かせません。先日は、「グループ間の交流を推進したい」という考えを持っている、NTTグループの常務取締役に直接、O-DenやOne JAPANの活動について説明してきました。
そこで、どのようなことを伝えたのでしょうか。
山本:団体の理念や活動内容、自分の持論についてです。大企業の仕事は、絶対に一人ではできないものです。必ず横のつながりや縦のつながりが関わってきて、それらを無視していたら仕事ができない。それにもかかわらず、セクショナリズムに陥っている部署が多く、それが会社の成長も個人の成長も妨げている、と。自分のプライベートな時間を費やしてでも、その垣根を壊したいのだと話しました。経営者の方は特に、過去に同じ思いを抱いていることが多いので、共感は得られているように思います。
経営層の理解を得られているのは心強いですね。
山本:とはいえ、風当たりが強いと感じることもあります。もしかしたら他のメンバーも言っているかもしれませんが、「有志団体として集まることが、本当に仕事に生かされるのか」とか「ビジネスにつながっているのか」といった反応も少なくはありません。しかし、少しずつ認められ始めたように感じています。僕自身、社内での仕事にも、O-DenやOne JAPANの活動の成果を生かせていると感じていますし、そうした経験をO-DenやOne JAPANに共有すれば、さらなる相乗効果を生むことができるのではないかと、期待しています。
濱松さん、今のお話にも通ずるところがありそうですが、One JAPANの活動を通して、メンバーからはどのような声をお聞きになっていますか。
濱松:一番多いのは「知識が増えた」「視野が広がった」という意見です。物事を自分事としてとらえ、何かに挑戦してみた、という人は多いですね。
しかし、「One JAPAN」単体での経験から得られるものは、実はあまり多くはないのかな、とも思います。One JAPANは、One PanasonicやO-Den、わるだ組といった社内の有志団体の集合体なので、こうした社内の取り組みと切り離して考えることはできません。社内の若手社員が集まることで、組織風土のネガティブな側面を打ち破り、挑戦する勇気を与える。それを基盤に、One JAPANで他社のメンバーと共創することが、オープンイノベーションにつながるのではないでしょうか。そう考えると、それぞれの所属企業の有志団体でも、One JAPANでも、まだまだ課題は多いと感じますし、その分、今後の可能性も大きいと思います。
さまざまなジャンルのオピニオンリーダーが続々登場。それぞれの観点から、人事・人材開発に関する最新の知見をお話しいただきます。