出る杭を伸ばす組織を目指して
大企業病に挑む若手・中堅有志団体One JAPANが、
人事に求めること(後編)[前編を読む]
One JAPAN 共同発起人・代表/パナソニック株式会社
濱松 誠さん
多くの企業が抱える「大企業病」の課題を、若手・中堅社員たちの手で変えて行こうとする、若手・中堅有志団体「One JAPAN」(前編参照)。所属するメンバーたちは、各企業の社員が持つ力を終結させ、共創を生むコミュニティー作りを目指していますが、時には「本当にビジネスにつながるのか」といった、厳しい言葉を受けることもあるそうです。どのように所属企業からの理解を得て、活動に臨んでいるのでしょうか。後編では、濱松誠さん(パナソニック株式会社)のほかに、共同発起人である山本将裕さん(東日本電信電話株式会社)にも電話で参加していただき、お話をうかがいました。
- 濱松 誠さん
- One JAPAN 共同発起人・代表/パナソニック株式会社
はままつ・まこと/ 1982年京都府生まれ。大学卒業後、2006年パナソニックに入社。海外営業、インド事業企画を経て、本社人材戦略部に異動。グループ採用戦略や人材開発を担当。2012年、若手主体の有志団体「One Panasonic」を立ち上げ、組織の活性化やタテ・ヨコ・ナナメ・社外の交流に取り組む。2016年には同社初となるベンチャー企業(パス株式会社)への派遣人材に抜擢。現在は、同社家電部門にて、IoT家電事業の事業開発に従事。
- 山本 将裕さん
- 東日本電信電話株式会社/O-Den発起人
やまもと・まさひろ/1987年東京都生まれ。2010年NTT東日本入社。石巻、先代で法人営業を経験後、現在のビジネス開発本部で勤務。石巻では東日本大震災を被災、ホームレスになりながら復興活動に取り組む。2015年にNTTグループの有志団体「O-Den」を立ち上げ、NTTグループを横串にして、人と人との縁を繋ぐことで、会社を変え・社会を変えるべく活動を行っている。
メンバー一人ひとりが得意分野を活かして貢献
発足後、そのつながりと技術力を生かして、さまざまな挑戦を行われてきたOne JAPAN。組織が拡大していく中で、ビジョンの共有や活動報告などはどのように行っているのでしょうか。
濱松:代表者会議という集会を、1ヵ月に一度開催しています。現在は参画団体から一名ずつ、だいたい40名くらいが集まっています。ここでは、思い描いている方向性の共有や、各団体の取り組み紹介、そこから出てきたナレッジ・情報のシェア、議論などをしています。参画団体の約半分は立ち上げから1年ほどの比較的新しい団体なので、今まさに成長痛を感じているところ。代表者から、ぶつかっている壁について話を聞き、かつて同じ悩みを経験した私や大川さん(共同発起人。富士ゼロックスで、有志のゆるいネットワーク「秘密結社わるだ組」を設立)が、過去の事例を紹介する。各団体に気付きを持って帰ってもらえれば、と思っています。
共同発起人の3名も、各団体の代表の方々も、本業がある中での有志団体の活動に時間をとるのは大変ですよね。仕事環境が異なるメンバーが一緒に活動していく上で、役割分担はどのようにされているのでしょうか。
濱松:まさに時間を捻出することに苦労しています。メンバーの平均年齢は32歳。20代後半~30代半ばのメンバーが多いため、ちょうど結婚や出産が自分事になってくる年代で。グループチャットやオンライン通話も活用しながら、効率的にコミュニケーションをとるようにしています。
具体的な役割分担としては、広報担当やデザイン担当、ソーシャルダイバーシティ担当を担う「事務局」があります。また、決まった役割の他にも、それぞれのメンバーが得意なことを活かしてOne JAPANに貢献しています。例えば、私はOne Panasonicでの経験を活かしながら、実現したい事を提案したり、発信したりします。大川さんは、「イノベーション担当」のような立場で、実践的なアウトプットを推進してくれています。先ほどのマインドフルネスロボットも、その一つです。山本さんは、場所の確保や費用の交渉などといった、総務周りのことを率先してやってくれています。
「共同発起人」というと、リーダーとして周りに指示する役割のようですが、そればかりではとてもうまく行きません。イノベーションマインドも大切ですが、日常はもっとベタな活動が行われていて、泥臭いことの連続です。組織を運営する上では、たとえコアメンバーであっても自分たちが動き、活動を円滑に進めるための気配りを行うことが、とても重要なのです。
さまざまなジャンルのオピニオンリーダーが続々登場。それぞれの観点から、人事・人材開発に関する最新の知見をお話しいただきます。