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楽しく働き、成長することができる
「プレイフル」な学び方・働き方とは?(後編)[前編を読む]

同志社女子大学現代社会学部現代こども学科 教授

上田信行さん

『前編』では、「プレイフルカンパニー」を実現するために、どのような対応を取ればいいのか、「学びのモデル」や「四つのP」など、その考え方を中心にお話を伺いました。『後編』は具体的な方法論について、詳しくうかがっていきます。

Profile

うえだ・のぶゆき●1950年奈良県生まれ。同志社大学を卒業後、セントラルミシガン大学院、ハーバード大学教育大学院で学び、教育学博士(Ed.D.)を取得。ハーバードでは幼児教育番組『セサミストリート』や学習環境デザインの研究、モチベーションの研究を行う。帰国後は大学で教鞭を取りながら、さまざまな場所で先進的な学習環境やワークショップをデザインしてきた。著書に『プレイフル・シンキング』(宣伝会議)、中原淳氏との共著『プレイフル・ラーニング』(三省堂)などがある。

大きなチャレンジやステージがキャパシティを大きくする

 「プレイフル」になるためには、どういうことが大切ですか。

上田信行さん Photo

繰り返しになりますが、何か思いついたらとにかく形にしてみること。そして、どんどん動いて行って、倒れて、また立ちあがって形にしていくことです。なぜ失敗してもいいのかと言うと、十分に回復できるからです。回復力(resilience)を鍛えていれば大丈夫です。リスクテイクに勇気を持ってチャレンジしてください。

というのも、大きなチャレンジをして何かを成し遂げた人、あるいは大きなステージに立ったような人は、失敗しても、また復活することが可能だからです。大きなチャレンジをしたこと、大きなステージに立ったことで、その人の持つ位置エネルギーのレベルが上がっているからです。だから仮に失敗したとしても、再びその位置まで回復しようとするエネルギーが出てくる。つまり、大きなチャレンジ、大きなステージというものが、その人の持つキャパシティを大きくしていくのです。だからこそ、できるだけ早い頃から挑戦的な経験を積むことが大事だと思います。一度大きな挑戦を経験をすることで不安がなくなり、怖さがなくなりますから。そうすると、普段の仕事も冷静かつ客観的に見られるようになります。

 巷で言うところの「銀座の寿司屋」理論ですね。

寿司の本当のおいしさを知りたいなら、まずは一流の寿司屋に行き、本物の寿司を味わってみるといいということですね。一流を知れば、怖いものがなくなります。経験の実感値レベルが、とてつもなく上がるからです。だからこそ身銭を切ってでも一流を知り、さらには最高のステージを経験することが大事なんです。理屈を言うのではなく、自ら体験することです。

そういう意味でも、自ら身体を動かすことは重要です。身体を使って表現し、内省し、他者との関係性に対する気づきのセンシティビティの解像度を高めていくのです。「ラーニング1.0」は座って知識を習得する学習方法ですが、これからは「ラーニング2.0」「ラーニング3.0」「ラーニング4.0」のように、つくったり、表現したり、動いたりすることによって学びを創造していくことが大切になってきます。極端に言うと、学びは「インプット」から「アウトプット」へと変わっていくと考えています。というのも、アウトプットした時に、理解できるからです。例えば、いま僕はインタビューを受けて話をしているわけですが、その過程で多くのことを改めて「気づき直している」のです。大切なのは、そうした新しい学びのあり方を面白いと思い、価値を感じるかどうかです。

 こうした視点は、企業を「プレイフル」にすることと、どこかでつながっているように思います。

別の点から言うと、「食べ物・飲み物」はかなり大事なポイントです。多くの日本企業では、打ち合わせに行くと、出てくるのはお茶かペットボトルぐらいでしょう。しかし、昔、デンマークの企業の会議に出席したら、きれいな器にフルーツが一杯もられ、香りのいいコーヒーとともに、センスの良いお菓子が添えられて出てきました。これによって、人の気持ちは大きく変わってきます。僕はその時、自分が大事に扱われている、大切なお客様としてもてなされている、と感じました。

お気づきの方は少ないかもしれませんが、会社において食べ物や飲み物は、とても重要な要素です。例えば、会議でどのような飲み物や食べ物が、どんなタイミングで出てきたのかによって、参加者の気分は全く変わります。参加者が前向きに会議に臨もうとする気持ちになるかどうかにも、大きく影響します。

実際、アメリカではフリーフードが最高の「ソーシャルメディア」と言われたりします。社内で自由に飲食のできる場が用意されることで、そこに自然と人が集まってくるんです。いろいろな部署の人が集まり、相互に意見を交わす場となっています。そこでの会話から、思いもつかなかったヒントやアイデアが生まれることもあります。

食べたり飲んだりするだけでなく、提供する側の気持ちも重要です。頭を活性化させるには、どんなものがいいのか。どのタイミングで、何を出せばいいのかなどに気を配ることにより、人の気持ちも自然と和んでいきます。食べ物や飲み物を「ソーシャルメディア」として考えてみてはどうでしょうか。


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