最低賃金の改定で平均時給は上がる?
~平成27年度 地域別最低賃金改定によるパート・アルバイトの募集時平均時給への影響について~
岸川 宏(きしかわ ひろし)
パートタイマー白書や学生を対象にした就職活動に関する意識調査など、当研究所が独自で行っている調査から見えてくることを考察します。
平成27年度の改定も大幅な引き上げとなった地域別最低賃金。当社の求人紙発行エリアにおいても、東京都、神奈川県の最低賃金時間額は900円を上回り、大阪府、埼玉県、千葉県、京都府の4地域で800円を超える額に改定された。最低賃金時給額が800円を超えるこの6地域で、引き上げの影響が大きくなっている。
特に小売、飲食業などパート・アルバイトを多く雇用する業態では、ここ数年、最低賃金額に合わせて1円単位で時給額を調整しなければならない企業も少なくない。例年最低賃金に合わせて時給を引き上げざるを得ない企業では、最低賃金の改定そのものがパート・アルバイトの賃上げとなり、人件費の上昇につながっている。
最低賃金の改定により平均時給は上昇したか?
毎年、10月前後に改定される地域別最低賃金は、パート・アルバイトの募集時の賃金に、どの程度の影響を与えているのだろうか。これを調べるため、当社発行の新聞折り込み求人紙『しごと情報アイデム』及び、『ジョブアイデム』発行エリアにおける募集時時給額の集計を行なった。集計方法は、平成27年度の改定が行われた10月を境に、前後3ヵ月間(改定前:平成27年7月~9月及び、改定後:10月~12月)の平均を比較している。
パート・アルバイトの募集時平均時給を「改定前」「改定後」で比較すると、東日本では「東京都」4.1円減、「神奈川県」1.3円増、「埼玉県」7.4円増、「千葉県」10.3円増、「茨城県」10.4円増、「群馬県」13.2円増、「栃木県」16.1円増、「静岡県」50.8円増と、調査対象地域の8地域中7地域で賃金の上昇がみられた。
人事の専門メディアやシンクタンクが発表した調査・研究の中から、いま人事として知っておきたい情報をピックアップしました。