フレックスタイム制でコアタイム外に会議を設定できるか
フレックスタイム制を導入している企業では、従業員が柔軟に働くことが可能です。一方で、コアタイム外での会議設定についての疑問やトラブルが発生することがあります。本記事では、フレックスタイム制の概要や、コアタイム外で会議を設定する際の是非と留意点について解説します。
フレックスタイム制のコアタイムとは何か
柔軟な働き方が可能な制度を導入する企業が増えています。フレックスタイム制を導入している企業も多いようです。フレックスタイム制の概要について解説します。
フレックスタイム制とは
「フレックスタイム制」とは、労使協定で定めた一定の期間について、あらかじめ定めた総労働時間の範囲内で、従業員が毎日の始業・終業の時刻を自分で決められる制度です。ワークライフバランスを重視する従業員にとって、効率的かつ働きやすい制度といえます。
コアタイムとは
「コアタイム」とは、従業員が1日の中で必ず働かなければならない時間帯を意味します。一方、「フレキシブルタイム」とは、1日の中で選択して働ける時間帯を指します。例えば13:00〜14:00をコアタイムとする場合、この1時間は必ず働かなければなりません。それ以外の時間(フレキシブルタイム)は、従業員自身が働くかどうかを決められます。
コアタイムは、必ず設けなければならないものではありません。コアタイムを設ける際は、あらかじめ開始・終了時刻を労使協定で定めておく必要があります。
コアタイムは労使協定によって柔軟に設定することが可能です。たとえば、日によって異なる時間帯をコアタイムとして設定したり、コアタイムがある日とない日を設けたりすることも可能です。スーパーフレックスタイム制度のようにコアタイムを設けない場合も、所定休日や法定休日は事前に明確に定めておく必要があります。
法律(ルール)としてコアタイム外に会議を設定することは可能か
フレックスタイム制では、基本的にコアタイム外に会議を設定できません。ただし、緊急対応や災害時など特別な事情がある場合は、コアタイム外に会議を行うことが違法となるわけではありません。しかし、通常の業務で行われる定例の会議は、コアタイム外での参加を従業員に義務付けることは避けるべきです。
コアタイム外に会議を設定する際の留意点
コアタイム外に会議を行う際や業務命令を出す際は、以下の点に留意しなければなりません。
事前に告知して同意を得る
コアタイム外での会議を行う場合、事前に従業員へ理由や日時を説明し、同意を得ることが重要です。同意を得ていれば、始業・終業時刻の決定が従業員に委ねられていないとはいえません。会議を延長してコアタイムの時間帯を超えてしまう場合は、従業員の途中退出を認めたり、参加有無の選択肢を与えたりする必要があります。
業務を強制して従業員が従わない場合にペナルティーを与えることはできない
企業が事業運営上必要な場合、業務を強制すること自体は問題ありません。しかし、フレックスタイム制である以上、業務を行う時間帯は従業員が決められるようにすべきです。そのため、業務を行う時間帯を強制することや、業務命令に従わないことでペナルティーを与えることはできません。
事業運営上必要な場合、企業が労働者に対して早出や残業を命令すること自体は、業務命令権の乱用に該当しない限り問題ありません。そのため、コアタイム外の勤務が発生する理由や根拠を就業規則や労使協定に定めておくことができると考えられます。また、労働者に前もって出勤・退勤時刻の予定を申告させて、その申告した時間の範囲内で必要な業務遂行を命じることも可能です。
ただし、業務命令権が権利の乱用に該当するかどうかの判断は難しいため、コアタイム外に業務命令を出して、業務の時間を強制することは避けたほうがよいでしょう。従業員が明確に拒否しているにもかかわらず業務を強制した場合、命令が無効と判断される可能性があります。
従業員のワークライフバランスを考慮する
フレックスタイム制を最大限に生かすには、従業員のワークライフバランスへの配慮が欠かせません。例えば、コアタイム外での会議が頻繁に行われると、フレックスタイム制の柔軟性が損なわれ、従業員のモチベーションや生産性に悪影響を及ぼす可能性があります。
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