株式会社ハブ:
内定時から「英国研修」を実施。
現場で働く人の自律性を引き出し、強い店長を作る
“ハブ流”人財育成術
総務人事部 マネジャー
余田 佳子さん
「英国風PUB」というスタイルの店舗を展開する株式会社ハブでは、過去に行ってきた研修を階層ごとに整理し、2008年に「ハブ大学」として体系化しました。さまざまな研修を通じて、「英国PUB文化」を日本に伝える「自律型人財」を育成しています。若い人たちを早期戦力化するために、成長への意識が高い人をしっかりとバックアップする教育体系や、働く人たちが高いモチベーションを持って仕事に臨むことができるような同社の職場環境は、他業界の人事担当者の方々にとっても大変参考になるのではないでしょうか。「ハブ大学」の具体的な研修内容について、総務人事部 マネジャー・余田佳子さんに詳しくお話をうかがいました。
- 余田 佳子さん
- 株式会社ハブ 総務人事部 マネジャー
(よでん・よしこ)●会社説明会で経営トップが発したメッセージに強く心を惹かれ、2000年4月、ハブへ入社。渋谷店、上野店で勤務した後、01年3月に六本木店に店長として着任する。その後も、日比谷店、八王子店、市ヶ谷店で店長としての経験を積み、東京オペラシティ店では支配人に着任。新人時代を含め店舗の現場で9年間勤めた後、09年3月に総務人事部マネジャーとなり、現在に至る。
店舗の現場では、一人ひとりが考え、行動していくことが求められる
「英国PUB文化を日本において広く普及させる」という経営理念の下、貴社では求める人財像として「接客が好きな人」「リーダーシップが取れる人」「情熱を持って仕事が出来る人」などを明確に謳っています。人財育成については、どのようなお考えをお持ちなのでしょうか。
ハブは、単にアルコールを提供して利益を上げるのではなく、「英国PUB文化を日本において広く普及させる」という経営理念のもと、「英国PUB文化」を醸し出す空間の中で、お客様にサービスを提供することを重視しています。そのためには、現場で働くスタッフにもこれまでとは違った新しい視点が求められます。ホスピタリティを強く持っていて、お客様から感謝の気持ちをいただけるような、プラスアルファの何かを考えられる自律型の人財を育成することが求められています。
そのために2008年、「ハブ大学」を構築しました。今までの研修プログラムを深化させ、企業内大学として体系化したものです。カリキュラムに落とし込んでいく時に心がけたのは、現場のスキルなどの技術面と知識・理論をバランスよく併せ持つものにすること。また、各階層に必要となってくるスキル・知識を、順を追って学べる研修体系にすることです。「人材」ならぬ「人財」を大事にしています。事実、現場では、エリアマネジャーが「まずはやってみよう」と言ってくれます。会社全体に、「アイデア大歓迎。評価はアトで」という風土があるのです。このようなスタイルでは、一人ひとりがしっかりと考えて、行動できる体制や施策を作っていかなければなりません。そのために、約10年もの長い年月をかけて体系的な研修制度を作ってきたのです。
貴社は、お客様と直接対面する事業を展開されています。新入社員でもすぐに現場に配属され、試されることになるわけで、常日頃から自分でより良い方法を考え、行動していくことが求められます。一方、一般的な企業、特に事務系の職種ならば、そうした場にすぐに置かれることは少ないように思います。
飲食業の場合、若くして現場の最前線で勤務することが多いため、ある程度、実践的なトレーニングを受け、一人立ちしていないと難しい面もあります。そのため、当社では、入社前の「オペレーション研修」に力を注ぎ、店舗配属前にオペレーション上の不安を極力払拭させるようにしているのです。その後発生するさまざまな問題に対しては、自分自身で考え行動し、解決することができる様になることを目的とした研修を用意しています。