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3年目社員の「賢い」育て方 Episode-2
新人教育を通じて得た「気付き」と「成長 」

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自分にまだ自信のない若手社員…新人教育に四苦八苦

B氏がメンターとして、指導を担当することになったのは新入社員のM。4月中旬、B氏と同じ営業部に配属された。いかにも新人らしいその初々しい姿に、最初はB氏も好感を持った。
「彼となら、うまく仕事をやっていけそうだな」
責任の重さと自分自身の力不足は感じていたが、B氏は気持ちを入れ替え、前向きに新人教育に挑戦していくことを決意した。

ところが新人教育は、なかなかB氏の思い通りには進まなかった。現在B氏がMに直接教えているのは、電話のかけ方や来客への対応の仕方、日報の書き方…など。社会人としては、ごく基礎的なもの。B氏からすると、一度教わったらその後は、一人でやれて当然のことばかりだ。しかし、Mはもの覚えが悪いのか、何度も同じ事を質問してくる。その成長ぶりは、B氏の期待通りとはいえなかった。

「覚えることも多いし、社会人になったばかりのM君に完璧を求めるのは酷だよな。まだ学生気分も抜けきっていないだろうし、最初から何でもこなせる訳がないのは当然か…」
しかし、そういった点を差し引いても、Mが思うように成長していないことについて、B氏は少々いらだちを覚えていた。

そんなある日、いつもは冷静なB氏が、Mに対して語気を荒くする場面があった。
「それはこの前教えたばかりだろう?何でそんなこともわからないんだ!」
先々週教えた「伝票の書き方」について、Mがまた質問してきたのだ。もう、今度が3回目。「仏の顔も三度」というが、温和なB氏もついに堪忍袋の尾が切れてしまった。

「この説明が最後だからね!君はいつもメモを取らないから覚えられないんだよ。これからは、しっかりメモを取るようにしてくれよ!」
普段は見ることのないB氏の剣幕に少々気後れしていたMだったが、B氏の言葉が終わるやいなや、自身の意見を展開し始めた。
「はい、わかりました。でも…」
「うん…何だい?」
「質問すれば、またすぐに教えてもらえるのに、何でメモを取る必要があるんですか?わからないことがあれば、すぐにネットで検索すれば済むことだし…」
次の言葉がすぐには出てこないB氏だった。

後輩を「叱る」ことも指導・育成の方法のひとつだが、今回のB氏の言葉はMに全く響かなかったようだ。
「自分の仕事だけでも大変なのに、物分りの悪い新人の面倒なんてみていられないよ…」
そんなB氏の心の声が聞こえてきそうである。

3年目・若手社員の「不安」や「心の叫び」に対応するような研修プログラムを実施することは、大変効果的といえるのではないでしょうか。プログラムの実施と同時に、同世代で似たような悩みを持つ仲間達と一緒に課題を共有し、相談できる環境を作っていくことも、若手社員にとっては心の支えとなり、その後の大きな成長が期待できます。

指導の上で必要な「コミュニケーション能力」

2人の様子を遠目に見ていたF課長が、B氏に声をかけてきた。F課長はB氏の直属の上司。B氏を入社以来指導しており、その成長を社内の誰よりも高く評価している人物でもある。
「B君、叱ることも大事だけど、最初は誰だって物覚えが悪いもんだよ。君だって、新人の頃は相当覚えが悪かったしなぁ…俺だって何回注意したことか。自分の伝えたいことは、想像以上に相手には伝わらないんだよ。そのことを肝に銘じることだね」

B氏のように、これまで後輩を叱ることがほとんどなかった若手社員は、その行為に大きなエネルギーを消費する。後輩の教育には意義を感じていながら、ストレスが続くことで、プレッシャーに屈してしまうことも多い。
「そうだな…F課長のいう通りだ。新人に完璧を求めるのは無理な話だし、僕の伝え方にも問題がありそうだ。まずは、気持ちを入れ替えてがんばってみよう」

先ほど注意したばかりで何となく気まずかったが、B氏はMのデスクに足を運び、声をかけた。
「M君、さっきは強く言い過ぎてすまなかったね…僕も反省している。新人のうちはすぐにできなくて当然だからね。これからはとことん付き合っていくから、M君も仕事をしっかり覚えて、成長していって欲しい。でも、さっきも言った通り、一度教わったことは必ずメモを取ること。しっかりと自分の物にするためには、それが大事だからね」
「はい、わかりました。僕の方こそ、屁理屈ばかりいってすいません。これからは僕も仕事を早く覚えるよう努力しますので、よろしくお願いします」

自分に非があればそれを認めること、また、なぜその行為が必要なのかを明確に伝えること…。人を指導していく上では、自分自身の考えを押し付けるだけではなく、コミュニケーション が大切であることがわかったB氏だった。

責任感のある仕事が若手を伸ばす

いま振り返ると、B氏自身、決して仕事を早く覚えられるタイプではなく、先輩や上司に注意されながら、成長してきた。新人時代には、たびたび「こんな嫌な思いをするくらいなら、今すぐにでも辞めてしまいたい」などと考えたものだ。だが今では、後輩がどんどん成長していく姿を見ることに喜びを感じている。組織のなかで先輩社員が担わなければならない大切な役割を、実際に後輩を指導することで学ぶことができたのだ。

若手社員に責任感のある仕事を与えることは、大きな「気付き」が得られるのと同時に、大きな「成長」にも繋がる。早い段階から「組織の成長」や「人材育成」という重要課題に触れることは、若手社員のその後の成長を考えると、とても有意義なことだろう。自分自身の欠点を発見できるほか、忘れかけていた事柄も再確認もできるなど、利点も多い。「次世代」を担う管理職の育成も、よりスムーズに行うことができるのではないだろうか。(完)

人材育成の成功が企業の成長の秘訣。入社何年目であっても、その成長の機会ときっかけを常に用意しておくことが必要ではないでしょうか。
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