企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

本誌特別調査
配偶者出産休暇は63.2%が付与
~民間企業440社にみる人事労務諸制度の実施状況より~「仕事と家庭の両立支援」に関する調査結果

当研究所では、企業における人事労務関連のさまざまな制度の実施状況を明らかにするため、2018年1~4月にかけて「人事労務諸制度実施状況調査」を実施、このほどその結果を取りまとめた。今回調査では、企業で広く取り入れられている18分野・191制度の実施率と10制度の改廃状況について調べている。
本稿ではその中から「仕事と家庭の両立支援」に関する調査結果について紹介する。

支援施策の実施率には企業規模間で大きな開きが――

少子高齢化が進む中、出産・子育ておよび家族介護と仕事との両立支援が官民にとっての課題となっている。政府は子育て家庭を支援するため、13~17年度にかけて「待機児童解消加速化プラン」を展開し、企業内保育所の新設を促す助成制度の拡充などを実施。さらに18年度からは、「保育と連携した働き方改革」など、六つの政策パッケージの推進により、待機児童の解消と女性就業率80%の実現を目指す「子育て安心プラン」を展開している。一方、法制面では育児・介護休業法の改正により、介護休業の分割取得や介護のための残業免除などの仕組みを新設(17年1月施行)。さらに、育児休業については、保育所に入れないなど事情がある場合の取得可能期間を、従来の1年6カ月から2年に延長する改正もなされている(17年10月施行)。

こうした行政の取り組みが進む中で、各社の関連制度実施状況を六つの項目について尋ねた。このうち、実施率が最も高かったのは「配偶者出産休暇」63.2%で、前回13年調査(65.4%)とほぼ同率となっている。一方、公的助成の拡充など、行政による新設支援が進められている「社内保育施設」の設置は3.4%となり、前回13年調査(3.7%)からほぼ横ばい。規模別に見た実施率は、1000人以上の7.9%に対し、1000人未満の各規模はいずれも1%台にとどまっている。同様に、「育児・ベビーシッター費用補助」8.6%も、1000人以上18.0%に対し、300~999人5.1%、300人未満3.7%となり、規模間での開きが大きくなっている。
[図表1・2]

共働き社員の子育てのため、「配偶者転勤への配慮」として、配偶者の転勤先地域への異動や、一定期間の休業・休職を認めるなどの措置を行っている割合は10.9%となった。また、会社として「介護費用の援助」を行っている割合は規模計で1.6%、1000人以上でも2.2%と少数にとどまっている。

【図表1】仕事と家庭の両立支援関連の実施率(-(社)、%)
区分 全産業 製造業 非製造業
規模計 1,000人
以上
300~
999人
300人
未満
合計 (440)
100.0
(139)
100.0
(138)
100.0
(163)
100.0
(153)
100.0
(287)
100.0
配偶者出産休暇 63.2 66.9 68.1 55.8 69.9 59.6
育児・ベビーシッター補助費用(保育所手当を含む) 8.6 18.0 5.1 3.7 9.2 8.4
社内保育施設 3.4 7.9 1.4 1.2 3.9 3.1
不妊治療を目的とした休職や特別休暇、金銭的援助 4.5 10.1 3.6 0.6 7.2 3.1
介護費用の援助 1.6 2.2 2.2 0.6 1.3 1.7
配偶者転勤への配慮 10.9 20.1 9.4 4.3 10.5 11.1
【図表2】仕事と家庭の両立支援関連の実施率の推移 (%)
区分 07年 10年 13年 18年
配偶者出産休暇 53.8 65.4 63.2
育児・ベビーシッター費用補助 8.3 7.2 11.2 8.6
社内保育施設 0.9 1.4 3.7 3.4
不妊治療を目的とした休職や特別休暇、金銭的援助 1.7 1.8 6.5 4.5
介護費用の援助 6.1 3.2 4.7 1.6
配偶者転勤への配慮 10.9

10年までは「不妊治療を目的とした休職および特別休職」として調査。

【調査要領】

◎調査名:「民間企業440社にみる人事労務諸制度の実施状況」

1. 調査対象:
全国証券市場の上場企業(新興市場の上場企業も含む))3830社と、上場企業に匹敵する非上場企業(資本金5億円以上かつ従業員500人以上)280社の合計7739社。ただし、持ち株会社の場合は、主要子会社を対象としたところもある。

2. 調査時期:
2018年1月15日~4月10日

3. 集計対象
前記調査対象のうち、回答のあった440社。

注)*ここでは、一般財団法人労務行政研究所が行った(調査期間:2018年1月15日~4月10日)「民間企業440社にみる人事労務諸制度の実施状況」をもとに、『日本の人事部』編集部が記事を作成しました。詳細は『労政時報』第3956号(2018年8月10日、8月24日発行)および第3957号(2018年9月14日発行)に掲載されています。
◆労政時報の詳細は、こちらをご覧ください → 「WEB労政時報」体験版


記事のオススメ、コメント投稿は会員登録が必要です

人事・労務実態調査のバックナンバー

2019年度 部長・課長・係長クラス・一般社員のホワイトカラー職種別賃金調査
~13職種に見る最新実態と諸格差の動向~
グローバル化の進展等に伴い、役割給・職務給に代表される仕事基準の人材マネジメントを志向する企業が、徐々に増えつつある。 こうした動向を踏まえて労務行政研究所で...
2020/06/12掲載
2019年役員報酬・賞与等の最新実態
~従業員身分の執行役員の年収は1511万円~
民間調査機関の一般財団法人 労務行政研究所では、調査資料が少ない役員の年間報酬(報酬月額・年間賞与)その他処遇に関する調査を1986年以降継続して行っている。本...
2020/04/10掲載
労使および専門家の計452人に聞く2020年賃上げの見通し
~定昇込みで6495円・2.05%と予測。7年連続で2%台に乗る~
賃金交渉の最新動向がわかる!労・使の当事者および労働経済分野の専門家を対象に実施した「賃上げ等に関するアンケート調査」から見える2020年の賃上げ見通しは?
2020/02/20掲載

関連する記事

「休み方」をどう考える?――年次有給休暇を中心に
働き方改革関連法によって年5日の有給休暇取得が義務付けられたことで、「休むこと」に大きな注目が集まっています。 休み方に関しては、「企業が用意する制度」と「従...
2019/11/06掲載編集部注目レポート
本誌特別調査
旧姓使用を認めている企業は67.5%
~民間企業440社にみる人事労務諸制度の実施状況(労務行政研究所)~
企業で広く取り入れられている18分野・191制度の実施率と10制度の改廃状況について調査した「人事労務諸制度実施状況調査(2018年1~4月実施)」結果を抜粋し...
2018/12/10掲載人事・労務実態調査
52.8%のアルバイト学生、もっと働きたい――なのに人手不足の「なぜ?」
人手不足が深刻化し、パート・アルバイトの確保に頭を悩ませる小売店や飲食チェーンが増えています。一方、学生や主婦を対象に行った調査では「まだ働ける余地がある」と回...
2018/07/20掲載新卒・パート/アルバイト調査
ワーク・ライフ・バランスとは何か?
「仕事と生活の調和が実現した社会」の指針となるワーク・ライフ・バランスへの取り組みとは?近年社会に認知されてきた背景と現状について考察する。
2017/03/31掲載よくわかる講座
「配転命令権」行使の有効性判断が必要
人事異動に応じず、従来の職場に出勤する社員への対応
使用者側が正当と考える配転でも、社員はさまざまな理由から配転に応じないことがあります。本記事では、配転命令権の行使があったにもかかわらず、これに従わない場合の、...
2011/07/15掲載人事・労務関連コラム
【用語解説 人事キーワード】
ホームリーブ
小1の壁
人口オーナス期
配置転換

会員として登録すると、多くの便利なサービスを利用することができます。

記事アクセスランキング

注目コンテンツ

【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。


ウィズコロナ時代の働き方改革<br />
デジタルシフトで変わる!店舗が実施した非対面の人材開発、職場コミュニケーションとは

ウィズコロナ時代の働き方改革
デジタルシフトで変わる!店舗が実施した非対面の人材開発、職場コミュニケーションとは

新型コロナウイルスの感染拡大は、店舗事業者に甚大な影響をもたらした。さ...


働き方改革の先にある「働きがい」向上とは

働き方改革の先にある「働きがい」向上とは

「働き方改革」の旗印のもと、企業では残業削減や休暇の充実、リモートワー...