キャリアアップできるなら、転居もOKという女性求職者
転居を伴う、女性の転職 企業側が考えすぎることも――?

転職して新しい会社になじむまでは、相当なストレスがあるものだ。さらに、遠方の勤務地での転職となれば転居も伴うことになり、新しい土地や生活に慣れる大変さも重なることになる。特に女性の場合は、企業側でも「家庭のことがあるから遠隔地での転職は望まないだろう」「転居は無理だろう」と先回りして考えることが多い。しかし、最近は女性でもキャリアアップのために、積極的にチャレンジしたいという人が増えているようだ。

女性は地元志向が強いもの?

「将来的な勤務地は関西になりますが、未経験者の場合は研修も兼ねて東京の本社で2~3年勤務してもらう必要があります。ですから、転居が可能という方でお願いします」

P社の求人は、医療機器や医薬品の治験業務だった。求人は非常に多いのだが、必要な経験や知識を持っている人材が少ないため、各社で奪い合いになっている。経験者で即戦力なら関西ですぐに働けるが、未経験者の場合は東京勤務からスタートになるという、ハードルの高そうな募集である。

「そちらに適任の候補者がいないか、調べて教えてください」

さっそく大阪のスタッフに人材の推薦を依頼したのだが、やはり経験者をすぐに紹介するのは難しいという。そこで未経験者で治験を希望している人をリストアップしてもらうことにした。

「大学院を出て医薬品の研究開発を少しやっている、Nさんという方がいます。ご本人も研究職では転職先が少ないので、治験のような対外的な仕事もやってみたいそうです。ただ、女性なので東京に引っ越すとなると難しいかもしれませんね」と大阪のスタッフ。

「まだご結婚はされていないようですが、こちらにお付き合いしている方がいたら厳しいかもしれないですね。親の世話をしている場合もありますし…」

ともかくNさんの意向を聞いてみることになった。家庭を持っていなくても、地元を離れたくない、あるいは離れられないなど、事情は人によっていろいろとある。希望しないものを無理にとはいえない。

念のために先回りして、P社に「女性で転居を伴う方を中途採用したケースはありますか?」と聞いてみた。

「数は少ないのですが、あります。医薬関係はもともと看護師などから転職してくる方も多いので、男女で差をつけるということはまったくありません」

P社の受け入れはOKということだった。ちなみに、医薬関連業界の特徴として、住宅手当などを充実させ、転居に伴う個人の負担を軽減させているという。これは良い条件だろう。

人材採用“ウラ”“オモテ”

企業と求職者の仲介役である人材紹介会社のキャリアコンサルタントが、人材採用に関するさまざまなエピソードをご紹介します。

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