出る杭を伸ばす組織を目指して
大企業病に挑む若手・中堅有志団体One JAPANが、
人事に求めること(前編)
One JAPAN 共同発起人・代表/パナソニック株式会社
濱松 誠さん
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発足から1年 現在のOne JAPANは
2016年9月の立ち上げから1年が経ちましたが、現在は何名のメンバーが所属しているのでしょうか。
立ち上げ時の交流会に集まったのは、26社120名でした。現在では46社の団体が参画し、この1年で活動に実際に参加した人数は、約1,200人。全体の所属人数を正確には把握していませんが、単純にすべての団体の所属人数を足し算すると、5000人をはるかに超えますね。
具体的には、どのような活動を行っているのですか。
現在、活動内容として掲げているのは主に二つ。「共創」と「意識調査・提言」です。
One JAPANには、大手企業の若手・中堅社員たちの広いネットワークがあります。その最大のユニークネスを活かした取り組みが、「新しい働き方に関する意識調査・提言」です。先日も、One JAPANに参画する企業の若手・中堅社員を対象に、「働き方」に関する意識調査を実施しました。「兼業・副業」と「介護離職」の二つをテーマに行ったアンケートでは、1600人の回答が得られました。
「実際に兼業・副業をしているか」という質問には90%以上が「NO」と回答しましたが、「兼業・副業に興味がある」という質問への「YES」という回答は、74%にものぼりました。大企業に務める若手社員でも、企業を超えて兼業や副業に挑戦したいと考える人が多いことを、改めて感じました。こうした調査をもとに、One JAPANでは働き方に対する提言を行いましたが、今後はこうした提言だけでなく、メンバー自らが新たな働き方に挑戦していきたいと考えています。
一人ひとりが行動しやすい空気をつくることで、思いを持って行動を起こせる「個」の力を広げられる。中心にいるメンバーたちだけでなく、One JAPANに集まったメンバー全員の行動が変われば、その先にある社会全体の働き方を変えることもできると信じています。
企業を超え、たくさんの有志が集まるOne JAPANの力を活かせば、大きなムーブメントを生み出すことが期待できますね。「共創」に関しては、どのような取り組みを行っていますか。
One JAPANでは、参加メンバーがそれぞれの関心のある分野で集まり、新たなサービスや商品の実現を考える、分科会を実施しています。大企業には、優秀な人材と技術力というリソースがあります。メンバーが力をあわせ、それぞれの企業の技術を組み合わせることで、新たなイノベーションを創出することができると思っています。
大川さんがプロジェクトリーダーとなって主導した、マインドフル瞑想を誘うロボット「CRE-P(クリップ)」の開発も、その一例です。脳波をAIで分析するセンサーをつけ、瞑想することで、その時の気分や瞑想への集中度に応じた色・デザインの花が画面に映し出される、というサービスです。これは、One JAPANの参加団体である秘密結社わるだ組(富士ゼロックス)、McCANN MILLENNIALS(McCANN)、Millennial Corps Japan(日本IBM)、OPEN ROOTS(東芝)が、会社を横断して実施したプロジェクトでした。この他にも、口外はできませんが、いくつかの新規事業が進行しています。
そして、こうした取り組みの集大成として、One Panasonicとしても行っていた「モノ博」の取り組みを、One JAPANでも昨年9月に「モノ・サービス博」として実施しました。One JAPANの分科会での成果はもちろん、参加団体が所属する企業の技術を共有する場にもなり、今後さらなる共創が期待されます。
さまざまなジャンルのオピニオンリーダーが続々登場。それぞれの観点から、人事・人材開発に関する最新の知見をお話しいただきます。