氷河期世代の正社員希望は5割弱、
「就活の難度が高い」6割強
ディップ株式会社
【調査概要】
調査主体:ディップ株式会社
調査手法:インターネット調査(楽天インサイト利用)
調査実施時期:2020年11月25日(水)~2020年12月1日(火)
対象者条件:47都道府県内の18~69歳の男女のうち、学生を除く有期雇用就業者もしくは無職の求職者(本レポート利用:35~54歳の男女)
有効回収数:3,002サンプル(本レポート利用:1,667サンプル)
本レポートについて
令和2年2月に厚生労働省の改正省令が公布・施行され、国策として就職氷河期世代の採用を支援する取り組みが広がってきているなか、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)の流行が、氷河期世代の就業や就職活動にも影響していることが想定されます。
※本レポートの氷河期世代とは、35~54歳の方で1990年代~2000年代の雇用環境が厳しい時期に就職活動を行った世代を指しています。
氷河期世代の就業意向
正社員として働くことへの希望
まず、現在、無職や非正規雇用で就業している氷河期世代の方のうち、どれくらいの人が「正社員」として働きたいと思っているのかを見ていきましょう。
「正社員として働きたい」と思っている人の割合は、「正社員で働きたい」17.5%、「正社員で働きたいが、現在の雇用形態でも許容できる」28.4%を合わせて45.8%となりました。 正社員として働きたいと思いつつも、現状は別の雇用形態で就業している方が半数近くいることがわかりました。
年代別に見ると、40代が49.3%と、30代や50代よりもやや高い結果となっており、性別年代別では、40代の男性が58.0%と最も高い割合となっています。
雇用形態別では、契約社員と派遣社員の6~7割近くが、正社員という雇用形態を希望している結果となりました。
次に、正社員として働けていない理由について見ていきます。
正社員として働けていない理由
現在、正社員として働けていない理由は、1位「転職をするうえで年齢が壁になり、採用されなさそうだから」35.9%、2位「再就職に自信がないから」22.5%、3位「正社員の仕事に、自分でもできる仕事があるか自信がないから」「転職をする上で学歴・職歴などに自信がないから」21.9%となりました。
1位と2位では13ポイント以上も差があり、年齢に対する不安が圧倒的に大きいことがわかりました。
【Pick Up】就職活動の難易度
ここで、現在の就職活動の難易度についてどのように感じているのか見てみましょう。
現在の就職難易度について4段階で伺ったところ、「とても高い」「やや高い」を合わせて62.9%が、難度が高いと感じていることが明らかになりました。 年代別に見ると、年代が上がるにつれて難度が高いと感じる割合も高くなっていることがわかります。
就業支援に対する希望
就職活動のなかであると嬉しい支援内容
前出で、就職における難度が高いと6割以上が感じていることがわかりました。そこで就職活動をするにあたり、どのような支援があると嬉しいのか見ていきましょう。
就職活動をするなかで、受けることができると嬉しい支援があると56.5%が回答しました。
具体的な支援内容を見てみると、1位「職業あっせん先での就業体験・研修」22.7%、2位「職業あっせん先の見学」21.8%、3位「応募書類作成」20.2%となっています。
座学や研修などといった業界や自身の理解を深めるための項目よりも、職業あっせん先に関するものが上位を占めており、個人で転職活動をするのではなく就業をあっせんしてもらうなど、就職から定着までを支援してほしいといった心情がうかがえます。
次に、就業時に感じる正社員との待遇の差について見ていきます。
就業時に感じる正社員との待遇差
就業時に感じる正社員との待遇差について伺ったところ、あてはまると回答した人が最も多かったのは「給与が低い」で50.5%と半数以上を占めており、特に待遇差を感じている項目のようです。
「評価・昇給がされない」「キャリアアップができない」「雇用が不安定」はいずれも約40%、「解雇されやすい」は約24%となっています。 各項目のフリーコメントからも、様々な不安を抱えていることがわかります。
「就職氷河期世代活躍支援」についての印象や希望
氷河期世代の方を対象に国や自治体が行っている、「就職氷河期世代活躍支援」についての印象や希望について見ていきます。
興味関心はないと37.7%が回答している一方で、「どのような支援があるのかわかりやすく知りたい」35.5%、「支援内容を具体的に教えてほしい」29.7%と、「就職氷河期世代活躍支援」についてポジティブな意見を持っている人も約3割いることがわかりました。また、「支援自体必要ではないと思う」という人はわずか2.8%しかいない一方で、年代が上がるにつれて興味関心がなく必要性を感じていない人の割合は高くなっています。
正社員で働きたい人に限って見てみると、「どのような支援があるのかわかりやすく知りたい」が4割を超える結果となりました。
【Pick Up】これまでの就業回数
これまでの就業経験数を伺ったところ、5以下が60.2%と半数以上を占めましたが、10以上も19.7%と2割近くいることがわかりました。 年代別に見ると、10以上の経験は年代が上がるにつれて高くなる一方で、5以下では年代が若くなるにつれて高くなっています。
近年では「終身雇用の崩壊」について語られるなど、一つの企業に勤め続けずに転職をすることは珍しくなくなっています。その転職回数に対する固定観念は薄れてきているものの、転職回数の多さが転職において不安に感じる要素の一つになっているのかもしれません。
さいごに
今回は、氷河期世代と呼ばれる35~54歳の、「就業意向」と「就業支援に対する希望」の二つのカテゴリについて調査・分析しました。
「正社員として働きたい」と思っている人の割合は、5割弱となりました。現在、正社員として働けていない理由の1位は「転職をするうえで年齢が壁になり、採用されなさそうだから」35.9%で、2位に13ポイント以上も差をつけています。年齢に対する不安が圧倒的に大きいことがわかりました。
現在の就職難易度については、6割強が難度が高いと感じているようです。就職活動をするなかで、受けることができると嬉しい支援があると56.5%が回答し、1位「職業あっせん先での就業体験・研修」22.7%、2位「職業あっせん先の見学」21.8%、3位「応募書類作成」20.2%となっています。
就業時に感じる正社員との待遇差では「給与が低い」と感じている人が50.5%と半数以上を占めており、特に金銭面での待遇差を感じているようです。
「就職氷河期世代活躍支援」についての印象や希望では、「興味関心はない」と37.7%が回答している一方で、「どのような支援があるのかわかりやすく知りたい」35.5%、「支援内容を具体的に教えてほしい」29.7%と、約3割が就職氷河期世代活躍支援についてポジティブな意見を持っていることがわかりました。
これまでの就業経験数を伺ったところ、5以下が60.2%と半数以上を占めましたが、10以上も19.7%と2割近くいることがわかりました。
執筆者:ディップ総合研究所 ディップレポート編集課 太田瑠美子
「私たちdipは夢とアイデアと情熱で社会を改善する存在となる」の企業理念のもと、“Labor force solution company”をビジョンに掲げ、『労働力の総合商社』として、人材サービス事業とAI・RPA 事業を提供しています。
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