派遣社員の3割が待遇の改善を実感、5割が正社員を希望、4割が新型コロナウイルスにより正規雇用化への希望強くなる
ディップ株式会社
本レポートでは、 同一労働同一賃金導入後の待遇の変化と現在の雇用形態の満足度や希望、正規雇用化への希望について明らかにしていきます。
【調査概要】
調査主体:ディップ株式会社
調査手法:インターネット調査(GMOリサーチモニター利用)
調査実施時期:2020年7月2日(木)~2020年7月16日(木)
対象者条件:47都道府県内で派遣社員として就業している15~69歳の男女
有効回収数:SC調査7,102サンプル/本調査4,082サンプル
待遇の変化について
「同一労働同一賃金導入後の待遇の変化」と「現在感じる待遇差の程度」
まずは、同一労働同一賃金導入後の待遇の変化と、現在感じる待遇差の程度について見ていきます。
同一労働同一賃金導入後では、31.8%が「待遇がよくなった」と回答する一方、62.1%が「待遇は変わらない」、6.2%が「待遇が悪くなった」と回答しました。
また、「待遇がよくなった」と回答した人たちも、現在の同じ職場で働く正社員との待遇の差については未だ7割が感じているようです。
次に、具体的な待遇の改善状況について見ていきましょう。
待遇の改善状況
「交通費」「昇給・昇格」「福利厚生」「評価」のうち、「交通費」は4割が改善したと回答した一方で、他は2割以下という結果になりました。
求職者が仕事探しをする際に希望する「待遇・制度」の調査結果では、20項目のうち「交通費支給」が最も希望されており、この結果からも求職者にとって交通費の待遇改善はポイントが高いと言えそうです。
<求職者が仕事探しをする際に希望する「待遇・制度」の調査結果はこちら>
5月以前と6月以降でのテレワークや在宅ワークの導入・活用状況は、派遣社員と正社員でいずれも大きく変化は見られませんでした。
また、派遣社員の導入・活用状況は、正社員と比較16~17pt低い結果となりました。
雇用形態の満足度と希望・正規雇用化について
現在の雇用形態の満足度
「満足している」28.0%、「不満である」31.6%と同程度となった一方で、「どちらとも言えない」が40.3%と最多となりました。
では、どのような雇用形態を希望しているのでしょうか。
「希望する雇用形態」と「新型コロナウイルスの影響による正規雇用化の希望の変化」
希望する雇用形態は「正社員」が最も多く54.3%で、そのうちの4割以上が新型コロナウイルスの影響により、正規雇用化の希望が強くなったと回答しました。
正社員として‟働きたい理由”と‟働けていない理由”
正社員として働きたい理由は、1位「給与をアップさせたい」2位「将来が安心」3位「福利厚生の充実」という結果になりました。働けていない理由は、1位が「年齢の壁への不安」、2位「学歴・職歴に自信がない」、3位「再就職に自信がない」という結果でした。
4位、5位には転職活動をしたうえでの理由が入っていますが、自身に関する自信のなさや不安が上位を占めており、正社員として働くことへの心理的なハードルがうかがえます。
また、働けていない理由の1位と2位に10pt以上もの差が付いています。そもそも年齢で転職を諦めてしまっている人が一定数いそうです。
次に、派遣社員の人たちが正規雇用化で気になる点について詳しく見ていきます。
正規雇用化で気になる点
ここに挙げられた5つの項目については、4割から6割近くの人が気になると回答しています。
「正規雇用化後の仕事内容などの条件面」は、「最もあてはまるもの」と「あてはまるものすべて」の両方で最も多くの回答が集まりました。「最もあてはまるもの」では、2位「正規雇用化の実績があるか」、3位「正規雇用化の基準は明確か」という結果になりました。
これらの内容を募集情報に盛り込むと、求職者の不安の軽減につながるかもしれません。
さいごに
本レポートで明らかになったこと
待遇の変化について
- 同一労働同一賃金導入後は、6割以上が待遇は変わっていないと感じており、「待遇が良くなった」31.8%、「待遇が悪くなった」6.2%
- 「待遇が良くなった」と回答した31.8%の現在の同じ職場で働く正社員との待遇差をみてみると、73.8%が待遇差を感じている
- 待遇の改善状況については、「交通費」「福利厚生」「評価」「昇給・昇格」の4項目のうち、「交通費」の改善は4割が改善したと回答したが、他は2割以下
- テレワーク・在宅ワークの導入・活用状況は、派遣社員の6割以上が導入されておらず、同じ職場で働く正社員と比較すると約16pt程度低い。派遣社員で「積極的に活用していた」「まぁまぁ活用していた」層は約21%
雇用形態の満足度と希望・正規雇用化について
- 現在の雇用形態の満足度は、「満足している」28.0%、「不満である」31.6%となった一方、「どちらとも言えない」が40.3%と最多
- 希望する雇用形態の1位は「正社員」で54.3%
- 新型コロナウイルスの影響による、正規雇用化の希望の変化は「変わらない」という回答が48.4%で最多。「正規雇用化の希望が強くなった」と回答したのは44.2%
- 正社員として働きたい理由は、1位「給与をアップさせたい」、2位「将来が不安」、3位「福利厚生の充実」
- 働けていない理由は、1位「年齢の壁への不安」、2位「学歴・職歴に自信がない」、3位「再就職に自信がない」
- 正規雇用化で気になる点は、「正規雇用化後の仕事内容などの条件面」に最も多くの回答が集まった
調査担当者:ディップ総合研究所 ディップレポート編集室 川上由加里
執筆者:ディップ総合研究所 ディップレポート編集室 太田瑠美子
「私たちdipは夢とアイデアと情熱で社会を改善する存在となる」の企業理念のもと、“Labor force solution company”をビジョンに掲げ、『労働力の総合商社』として、人材サービス事業とAI・RPA 事業を提供しています。
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