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HR業界TOPインタビュー「人・組織」ビジネスを牽引する希代の経営者

株式会社 クイック代表取締役社長

和納 勉さん

34年間、HR業界で事業を成長させ続けることができた理由とは?
~「世のため、人のため」の人材ビジネスのあり方~

2014/11/21
和納勉さん
HR業界において実に34年という長期にわたり、人材ビジネスで事業規模や業績を拡大。2014年9月24日には東証一部への上場を果たし、今では、リクルーティング事業、人材紹介・人材派遣をはじめとする人材サービス事業、情報出版事業、インターネット事業を展開している株式会社クイックの社長・和納勉さん。日本社会はバブル経済の絶頂期と崩壊、その後の失われた20年を経て、今、新たな成長期を迎えつつあります。また、経営課題と密接にリンクする人事課題も大きく変化してきました。長年にわたり多くの企業の経営・人材課題に応えてきた和納さんの人材ビジネスや経営に関するお考えは、皆さまの参考になるのではないでしょうか。起業に至る経緯、企業理念や最近の取り組み、現在の人材ビジネスの潮流や人材業界・求人広告業界に対する考えや今後の展望などについて、詳しくお話を伺いました。
プロフィール

和納勉(わのう・つとむ)●1975年、関西学院大学を卒業後、株式会社リクルートホールディングスの前身である株式会社日本リクルートセンターに入社。1980年に株式会社クイックプランニング(現株式会社クイック)を 設立し、代表取締役社長に就任。2005年グループCEO就任。特)関西を元気にする会理事長、 社)日本アジア医療・福祉人材交流協会の理事、広告業協同組合(ACA)の理事・名誉会長等も務めている。著書に『人事はヒトゴトにあらず』『上場させる「組織と人材」』がある。

「リクルートブック」と就職情報の営業に明け暮れたリクルート時代

―― 和納さんは起業前、リクルートに勤務されていましたが、どのような仕事をされていたのですか。

当初、リクルートにはアルバイトで入りました。私は大学卒業後、塾経営の仕事をしていました。進学塾ではなく落ちこぼれの子供たちを対象とした塾で、三人の共同経営。しかし、勉強が嫌いな子供は塾に来るわけがありません。最初から経営の方向性を間違っていました。そのままでは三人が食べていくことができませんので、各自、アルバイトをすることになりました。そのときに目に止まったのが、当時、新聞広告で求人広告営業のアルバイトを募集していた日本リクルートセンター、現在のリクルートです。数ある求人広告の中で目を引いたのは、広告営業の給料(日給)が非常に高かったからです。

日給が高いこともあってか、100人くらいの応募者がいました。リクルートを訪問し、説明を聞いた後、筆記試験、面接と進み、私ともう一人(大学生)の二人が採用されることになりました。倍率としてはかなり高かったと思います。晴れてアルバイトとして入社し、昼間はリクルートの仕事、夜は塾の講師という生活を続けていました。アルバイトでは、新卒向け求人媒体の「リクルートブック」を拡販する営業をしていました。電話をかけて、アポイントを取って訪問営業し、求人広告の受注をするというもの。しかし、毎日、リクルートと塾講師の二つの仕事をしていては、身体が持ちません。それで塾のほうは他のメンバーに譲り、私はリクルートを辞めて、別の会社に勤めようと考えました。

当時、リクルートの採用の仕方は、アルバイトで採用し、その間の勤務態度や成績を見て、可能性のある人を社員に登用するというものでした。私は社員候補になりましたが、特に営業に興味があったわけではありません。元々は教育に興味があったので、社員登用は断りました。

和納勉さん インタビュー photo

そうすると、社内にはいづらくなります。リクルートにはアルバイトとして1年あまり勤めましたが、このあたりが潮時と思っていたところ、あるコンピューター会社から声がかかりました。入社を決め、結局、そこでまた営業を担当することになりました。当時は、オフィス・コンピュータ(オフコン)の時代で、ここもリクルートと同様、ハードワークを要求される会社でした。正直、身体を壊しかねないような状態が続き、人間関係では営業の責任者となかなかうまくいきませんでした。そうして悩んでいた時に、リクルートのアルバイト時代に新卒の求人広告営業を一緒に担当していた同僚から、リクルートに戻ってこないかと声をかけてもらったのです。

その頃、リクルートでは「就職情報センター」という中途採用を専門に扱う会社を設立することになっていました。その関西地区の就職情報誌事業の立ち上げにあたり、中途採用の求人広告の営業担当として来てくれないかという話でした。1978年のことです。アルバイト時代、真面目にコツコツと営業していた点を評価してくれたのだと思います。以前は新卒採用の営業をしていましたが、今度は中途採用の営業です。新しい組織となり、仕事として面白いのではないか、と思いました。そこで、リクルートに今度は社員として入社することになりました。

そこから2年あまり、地道にコツコツと営業活動をこなしていました。中途採用市場が拡大し、組織が急激に大きくなっていきました。私自身も目に見える成果を出していき、30人くらいの部下を持たされるようになりました。5人くらいのメンバーを持つ営業チームを統括する営業マネジャーという立場です。

その時に、何かと気にかけていただいたのが、当時のリクルートの役員、池田友之さんです。池田さんは就職情報センターでは総責任者という立場でした。私は大阪支社のCS部統括マネジャーで、池田さんは大阪に出張にいらっしゃる度に、私にいろいろな話をしてくださいました。同時に、私の意見もいろいろと聞いてくださいました。とても誠実な方で、私は池田さんを非常に信頼できる方だと当時からずっと尊敬していました。

―― 当時の起業への思いと、社名決定のエピソードについてお聞かせください。

そんな中で、就職情報センターの販売会社をつくろうという話が出てきました。それまで一つの部だったものを、一つの販売会社にするということで、「その責任者にならないか」という話をいただきました。しかし、私はその頃、既に独立したいという強い想いを持っていました。せっかくの話だったのですがお断りし、退職願いを提出しました。しかし、立場上なかなか辞めさせてもらえず、随分と慰留されました。

ある日、大阪支社で研修がありました。池田さんがいらっしゃって、私と最後の話し合いを持つことになりました。池田さんは私の独立の意思を確認し、「気持ちはよく分かった。だから、これ以上は止めない。ところで、独立して何の事業をやるのだ」と聞かれました。そこで私は、広告関係の新しい会社をつくりたい旨を話しました。自分なりに考えた広告モデルを実現する会社をやってみたいと話したのです。独立するに当たっては、私に付いてくるというメンバーが二、三人いましたが、彼らと一緒に会社をつくるという話もしました。すると池田さんは「それなら9月19日付で会社をつくったらどうだ」とおっしゃるのです。

一般的に会社をつくる場合、4月1日とか10月1日といった切りの良い月日にします。9月19日というのは、いかにも中途半端です。私がけげんそうな表情をしていると、池田さんは「この日は私の誕生日なんだよ。年に1回、この日は君たちが独立したということを思い出すから」と説明してくださったのです。さらに「会社をつくるのならば、リクルートの商品を取り扱ったらどうだ」と提案してくださいました。起業する身にとって、非常にありがたい話でした。

社名は、独立するメンバーと一緒になっていろいろと考えました。すると、メンバーの一人が「独立する日が9月19日だから、『クイック』がいい」と言い出しました。これは語呂がいいなと思いました。尊敬する池田さんの誕生日ということもあり、決めました。ただ、「クイック」では業務内容が分からないので、「クイックプランニング」としました。これが、社名の由来です。こうした背景があるので、私は池田さんのいらっしゃるリクルートとは長く付き合うことを決めましたし、創業日の9月19日を非常に大切にしています。その後、社名に「プランニング」を付けていると求人広告の制作プロダクションと間違われてしまうことが多く、設立10周年を機に「プランニング」を取って社名を「クイック」へと変更しました。

―― 御社の経営理念である「関わった人全てをハッピーに」について、お聞かせください。

経営理念にうたっている「関わった人全てをハッピーに」は、池田さんが常日頃からおっしゃっていたことなのです。私はこの言葉が強く印象に残っていました。また、自分がこれまで受けてきた教育で思ったこと、塾経営をする際に考えたことなどを振り返ってみても、自分が周りの人に対していかに幸せにするか、ということがおぼろげながら自分の人生哲学、生き方だと思っていました。

会社を設立した3年目の頃、会社を経営していくには「経営理念」が必要だと思うようになりました。それまでは、ただひたすらがむしゃらに働いて、利益を出すことばかり考えていました。しかし、それだけでは会社としての求心力がなくなってしまう。皆の心を一つにまとめるには、経営理念が必要だと考えたのです。その時に、それまでずっと私の心の中にあった言葉が、経営理念にふさわしいと思いました。以降、この言葉を経営理念としてずっと言い続けています。


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