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いま、見直される「セルフケア」

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近年、働く環境が大きく様変わりし、職場におけるストレス要因が増加してきた。その結果、心身の健康を害する人がこの数年間で急増しているという。このような状況下において、メンタルヘルスに対するケアというのは、企業はもちろんのこと、各個人が積極的に対処していく「セルフケア」がこれからは重要になってくる。ここではセルフケアをめぐる最近の傾向について、整理してみた。

「メンタルヘルス」の現状

働く環境が激変。「メンタルヘルスケア」が大きな労務管理上の課題に

働く人を取り巻く状況が大きく変化してきている。終身雇用制度が崩れつつある一方で、成果や実績を求める人事制度が主流となってきた。その結果、各人に対するプレッシャーが強くなり、仕事に自信をなくしている人も少なくないだろう。加えて、企業間競争がますます激しくなり、各社は生き残りをかけてのギリギリの経営を行っている。これが働く人の業務量増大、残業増加といった「過重労働」を招いているのは周知の事実である。

そして、IT化の急進展により仕事の仕組みは激変、さらに職場ではセクハラやパワハラが横行するだけでなく、同じ職場の同僚や部下にメールで意思伝達するなど、職場のコミュニケーションが悪化している。こうしたさまざまな局面における職場環境の変化が、働く人に有形無形のストレスを与えているのは間違いないことだろう。事実、精神障害に関する労災補償の申請・認定件数をみても、ここ数年間で大幅な増加が見られている。

人材格差が企業格差へと直結する現在にあって、働く人の心身の状態が組織におけるパフォーマンスに大きな影響を及ぼす。その点からも、労働時間管理だけではなく、従業員に対する「メンタルヘルスケア」は企業の労務管理上、大きな課題となってきているのである。

重要性を増す「セルフケア」

まず、自分自身でコントロールすることが大事

このような状況を受け、厚生労働省では職場における労働者の心の健康を保持するために、事業者が行うことが望ましい基本的な措置(メンタルヘルスケア)の具体的実施方法を総合的に示した「指針」を取りまとめた。

同指針では、「心の健康づくり計画」を策定することを求めており、
(1)労働者自身による「セルフケア」
(2)管理監督者による「ラインによるケア」
(3)事業場内の健康管理担当者による「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」
(4)事業場外の専門家による「事業場外資源によるケア」
を推進することとしている。

メンタルヘルスケアの実効性を考えた場合、上記の4つの中でも基本となるのが(1)のセルフケアである。セルフケアとは、労働者自らがストレスに気づき、これに対処するための知識や方法を学び、それを実際に行うことである。何より、健康への一次的な責任は労働者本人にあることから、まずは労働者自らが自分のストレス度合いを感じ取り、対処しなくてはならない。要は、自分のことは自分自身でコントロールするのが大事ということだ。これは、能力開発やキャリア開発に自己責任が求められているのと同じ考え方と言えるだろう。

実際問題、組織のフラット化が進み、成果主義下でのマネジメントが主流の職場では、管理監督者が部下の労働時間や業務内容を的確に把握し、マネジメントしていくことが難しくなってきた。現実的に、(2)のラインによるケアが十分に機能しない現状にあっては、本人が自覚的に意識をし、早い段階で対応できるセルフケアへと重点を置くほうが合理的であり、かつ効率的なのである。

仕事の「ストレス」をためない方法とは?

自分に合った方法で、楽しみながら続けること

セルフケアを行う上でのポイントは、仕事上のストレスをできるだけためないことである。それには幾つかの方法があるが、重要なのは自分に合った方法を見つけ、できるだけ楽しみながら続けていくことである。

(1)「感情」を表に出す

一般的に日本の職場では、「感情」を表に出すことは好ましいとされていない。このことがストレスを招く大きな要因へとつながっている。しかし、「喜怒哀楽」(できれば喜、楽が望ましい)の感情を“適切”に出すことは、精神衛生上からも好ましいことである。だからこそ、感情を表に出す機会を作ろう。例えば、「映画を観て笑う・泣く」「スポーツ観戦をして声援を送る」「音楽を聴いたり、舞台を観て感動する」といったことは手軽にできるはずだ。

(2)外に出る、体を動かす

会社や職場から離れ、外出することは気分転換となり、日頃たまったストレスを発散させる。また、適度にスポーツをして体を動かすことも効果的である。さらに足を伸ばし、海や山などの自然に触れたり、動物園や水族館に行って“癒し”をもらうこともいいだろう。

(3)休む

忙しくて何かをやろうにもなかなか時間が取れない人にとっては、とにかく体を休めること、これが一番かもしれない。家に帰ったら入浴で疲れた体をほぐし、アロマなどでリラックスしてから十分な睡眠を取る。これだけでもかなりストレスを軽減させる。

(4)自分の好きなことをする

内容については人それぞれだろうが、趣味などの生きがいを持ったり、おいしいものを食べるなど、気分転換を意識して好きなことをするのは、ストレスをためないためにとても重要なことである。

もちろん、ストレスをためない方法はこれ以外にもたくさんある。ただ、何かをする場合には、できるだけ一緒に楽しく行える仲間を作ることをお勧めしたい。

「セルフケア」がしやすい職場作り

仕事に対する「自信」を持ち、周囲からの「信頼」を得ていく

セルフケアがしやすい職場作りを考えた場合、まずは日常的に自ら労働時間の管理を行うことが重要である。適度に休憩を取る、1週間に1日は必ず休日を取る(できる限り曜日を固定する)、労働時間を一定に抑える、深夜労働をできるだけ避ける、年次有給休暇を消化する、といったことを心がけたいものだ。

そして、ストレスの原因が職場や仕事にある場合には、それを避けようとせず、前向きに対応していくことである。それには現在負担に感じることをリストアップしてみた上で、対処しやすいことから手をつけてみよう。仮にうまくいかなくても、何とか対処しようと自分なりに努力したことは、ストレスを克服したことと同じ効果がある。ストレッサーへの積極的な取り組み努力は、その結果に関わらず、本人を元気づける効果が得られるからだ。

イメージ

さらに、セルフケアがしやすい状況を周囲に働きかけ、自ら意識的に作っていくことも大切である。これには大きく2つのアプローチが考えられる。1つは自分の悩みや話を聴いてくれたり、相談に乗ってくれる相手を見つけることだ。いわば「メンター」となるような先輩や上司の存在は、単に精神衛生上だけではなく、仕事に対する前向きな姿勢を持つことへとつながっていく。

2つ目は、自分の仕事に対して「自信」を持つことである。そのためには、やれることをやる、やるべきことをやる、といった「小さな単位」での成果や実績を出していくことだ。それが続いていけば必ずや自信が芽生え、周囲からは「ありがとう」という感謝の言葉が出てくるだろうし、ひいては「信頼」へとつながっていく。こういう状況が生み出されれば、自分が職場で生かされているという感情が醸し出されてくるだろう。これは、ストレスとは無縁の自己実現とも言うべき世界である。

ストレスをためないようにセルフケアをすることは大切だが、それは対処療法でしかない。結局のところ、ストレス要因から逃れることの難しい現在にあっては、自らが積極的に行動を起こして自信をつかみ、仲間から信頼を得ること。前向きなセルフケアを実行することである。何よりも、これに勝るメンタルヘルスケアはないのではないだろうか。

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