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人事マネジメント「解体新書」 第23回
新入社員の受け入れ準備~入社前後教育・実務の行い方

米国金融危機から始まった景気減速により、雇用環境が急速に悪化。新卒採用でも内定取り消しが出るなど、売り手市場から買い手市場へと様相が変わってきたかに見える。しかし、変わらないのは入社3年後の離職率の高さ。これは、入社前後に起こる「ミスマッチ」が大きな原因と言われている。それを解消するためにも、入社前後の教育と受け入れ体制が重要となってくるように思う。早く新入社員に「即戦力」となってもらうと同時に、この段階で動機付けを十分に図り、いかにソフトランディングしていくか。今回は、そのポイントを整理してみたい。

「カーリング型」に見られる現在の新入社員事情

◆「内定取り消し」の持つ意味

本題に入る前に、少し言及しておきたいことがある。それは、世界的な景気減速を受けて、新卒者に対する内定取り消しが例年になく増えてきていることだ。ただし過去の判例をみても、内定取り消しは実質的に「解雇」に当たるので、整理解雇の4要件(「人員整理の必要性」「解雇回避努力義務の履行」「被解雇者選定の合理性」「手続きの妥当性」)を満たす必要があると同時に、こうした“事件”については、マスメディアやインターネットで即座に多くの人の知るところになる。そのことによるイメージ低下は避けられないことを、まずは採用する側は心しておかなければならない。

次に、景気の動向に関わらず、大学新卒就職者の離職率が3年で3割を保っているという事実(厚生労働省「新規学卒就職者の在職期間別離職率の推移」)。ミスマッチの問題は、いつの時代にあっても一向に改善されていないのだ。さらに、「カーリング世代」と呼ばれる最近の学生に対する動機付けの弱さを感じるにつけ、人材の活用・定着という観点からも、ソフトランディングの必要性が今まで以上に求められているように思う。

◆新入社員受け入れのための「必要条件」と「十分条件」

では、本題。離職率が3割と言ったが、その実態はさまざまである。これまで数多くの企業を見てきたが、軽く5割を超えるところもあれば、1割に満たないところもある。3割というのはあくまで平均であり、入社前後の対応の仕方によって離職率が大きく変わってくるというのは、多くの研究者が指摘するところである。また、人事施策の如何でも離職率は大きく違ってくる。その意味からも、スタート段階における新入社員の受け入れ準備は「必要条件」であるし、彼らのマインドを理解することは「十分条件」と位置づけることができるだろう。では順番は逆となるが、まずは十分条件としての昨今の新入社員の傾向について考えてみることにしよう。

◆「カーリング型」新入社員の特徴

毎年、社会経済生産性本部が新卒入社者の特徴を検討し、ネーミングを行っているのは周知のことと思う。2008年度の新入社員のタイプは以下に記したように、「カーリング型」と名付けられた。

【カーリング型】
冬期オリンピックでおなじみになったカーリング、新入社員は磨けば光るとばかりに、育成の方向を定め、そっと背中を押し、ブラシでこすりつつ、周りは働きやすい環境作りに腐心する。しかし、少しでもブラシでこするのをやめると、減速したり、止まってしまったりしかねない。 また、売り手市場入社組だけに会社への帰属意識は低めで、磨きすぎると目標地点を越えてしまったり、はみだしてしまったりということもあるだろう。就職は楽勝だったかもしれないが、サブプライムローンの問題等の影響により経済の先行きは一気に不透明になった。これからも波乱万丈の試合展開が予想され、安心してはいられない。自分の将来は自分の努力で切り開いていくという、本人の意志(石)が大事になろう。

カーリングは、円形の石を氷の上にある「的」に向かって、相手チームと交互に投げ合い得点を競う競技。そのカーリングと同じように、2008年入社の新入社員は就職氷河期だった上の世代と違い、氷の上を滑走する石のようにスムーズに就職できたため、入社後はそっと背中を押し、ブラシでこすりつつ、周りは働きやすい環境作りに腐心する必要があるということだ。

何より、これまでは売り手市場だったので彼らは会社への帰属意識が低く、誘導を誤るとすぐに転職する危険性をはらんでいる。しかし、入社が決まってからサブプライムローン問題などで経済の先行きは不透明となり、安心していられない状態となった。上司にとってみれば、ちゃんと指示を与えなければ動かないし、すぐに暴走してしまうかもしれないという「リスク」を含んだ新入社員ということができる。

また、昨今の新入社員を「シュガー社員」と命名したのは、社会保険労務士の田北百樹子氏。その著書『シュガー社員が会社を溶かす』で、この言葉を以下のように定義している。

具体的には、好きな仕事でないとやりたがらない、しかられるとすぐ反論するなど、一人前に仕事ができないのに甘い考えを持ち、権利ばかりを主張する20代の若手社員を指す。

自立意識が乏しく、周囲の配慮や指導が必要な若者たち。好むと好まざるに関わらず、このような気質を持つ新入社員が入ってくるということを、まずは知っておいてもらいたい。

「入社前教育」をどう実践していくか

◆過度な期待感に対する「入社後のギャップ」を埋める

ここからは、必要条件としての入社前教育について言及していく。最近、内定者フォロー対策と新入社員教育との中間的色彩を持つものとして、「入社前教育」を行う企業が増えてきている。というのも採用活動中は、どうしても自社の都合の良い面を過度にアピールしがち。また、採用活動の早期化で内定期間が長くなっており、その間、期待と同時に不安を覚える学生も少なくないのだ。実際問題として、以下のような現象が起きている。

(1)学生が企業に大きな「期待感」「夢」を描く

(2)入社後に「現状」を知り、その「ギャップ」に大きなショックを受ける

(3)「嘘をつかれた!」という思いが残り、「退職」へのカウントダウンが始まる…

こうした事態を招かないためにも、会社にスムーズにソフトランディングできるよう、適切な対応・フォローを行う必要がある。その意味でも、まずは以下に記したような「内定フォロー」が大切であることは言うまでもない。実質的に、この段階から新入社員教育が始まっていると考えてほしい。

  • 内定者懇談会、会食の実施
  • 会社、工場見学
  • 社内行事への参加
  • 自社でのアルバイト
  • 社内報、内定者報の送付
  • 内定者からのレポート提出
  • メールなどによる近況報告
  • SNSなどによる意見交換、コミュニケーション促進
  • 日経新聞、業界紙、専門誌などの購読
  • 合宿研修(内定者フォロー研修)
  • 父母に対する会社説明会
  • 人事、採用部門との定期面談

◆入社前教育の「目的」

そして、内定フォローの最終段階を受け持つのが「入社前教育」である。通常、年度末の1~2月といった入社前の時期に行われるのが一般的。入社前教育を実施する目的には、次のようなものが挙げられる。

  • 最終的な「入社者」を確定する
  • 自社に対する理解を深め、同期生同士の連帯感を養う
  • 社会人として、入社前に最低限の社会常識やビジネスマナーを習得させる
  • 入社後、本格的に実施する語学教育、ITスキル等の必須知識習得のための下地作りを行う
  • 自社や自社製品について、一般消費者として外側から客観的な立場で観察させ、入社後の仕事の取り組みへの動機付けを図る
  • 入社後の定着促進を図る

◆入社前教育の「内容」と「期間」

入社前教育の実施方法としては、その内容に応じて以下のような形式が考えられる。

  • 通信教育(eラーニング)…業務関連の知識や関連する法律、資格、語学
  • 集合させて行う講習、講義…業務関連の専門知識やマナー研修
  • 外出、旅行…内外の会社の視察、市場見学
  • レポート提出…読書感想文や製品の感想 など

実際には、このうちの幾つかを併用して実施する企業が多い。また、実施する期間はその内容によって異なるが、短期のものと長期のものとに分かれる。

(1)長期に実施するもの
内定の決まった時期から翌年4月の入社式までの期間を設定。期間に余裕を持たせて、提出させたいレポートや通信教育(eラーニング)などを実施する。内定者の自主性に任せ、時間を拘束しないケースが多い。 一方で、近年は早期内定が一般的になったこともあり、SNSなどで人事部や社内キーパーソン、内定者同士の相互理解、コミュニケーションを深めるなど、時間と手間暇をかけて動機付けを行う企業も多くなっている

(2)短期に実施するもの
入社直前の2~3月に設定することが多く、集合させて講習・講義や視察・旅行などを実施する。

原則的に、「費用・経費」は会社持ちで、内定者を集める場合も、「交通費・日当」を支給するのが一般的。ただ、旅行のような場合には、その一部を負担させるケースもある。

◆入社前の段階で、「会社の基本」をマスターさせる

厳選採用の時代にあって、新入社員には1日も早い「戦力化」が求められている。とりわけ、ビジネスパーソンとしての「基礎知識」「基本要件」は、なるべくこの段階でマスターさせて、入社後はより実践的な教育を施したい。例えば、以下のような事項に関しては、「演習形式」などで入社前にマスターさせておきたい「会社の基本」と言えよう。

(1)「指示」の受け方
仕事は、まず上司の「指示」から始まる。その指示をしっかりと受け止めないと、上司の期待した通りの成果は出ない。とはいえ、上司がどんな状況でも常に明確な指示が出せるとも限らない。一方で、最初の上司との「相性」が、その後の新入社員の成長に大きく影響を与えるという点は看過できない。そういう意味からも、上司の指示を的確に受け止めるための傾聴の仕方を学ぶことは、極めて重要である。

(2)「報・連・相」(報告・連絡・相談)の励行
いわゆる「報・連・相」は、職場の潤滑油となるもの。何より、現場情報を上司に上げることは、部下の最大責務である。現場を担当する部下は、上司の必要とする情報を的確に上げる「報・連・相」のスキルを早期に習得する必要があるのだ。

(3)「ビジネス文書」の作成
公的文書の形式・書式を身に付け、自社の「ビジネス文書」の取り扱いが効率的、効果的に行えるようにする。

(4)「会議」への臨み方
「会議」や「ミーティング」には、それぞれ参加メンバーに求められる役割がある。参加者はそれを自覚し、チームの一構成員としての責任を果たさなければならない。その意味を、入社前に十分に理解してもらう。

◆入社前教育を実施する上での「留意点」

とはいっても、内定者はあくまでも学生の身分。正式な「雇用関係」には至っていないことを忘れてはならない。事実、最後の学生生活を楽しもうと旅行などを考えている学生もおり、他方、研究室で最後の論文作成に取り組んでいる学生も少なくない。入社前教育を行う際には、以下の点に対する配慮が必要不可欠である。

  • 強制的に参加させないこと
  • 内定者の呼び出しについては、最低限に止めること

また、不参加者の中には、入社日が近づいてくると会社に対する「不安感」を抱くケースが出てくる。そうした場合、研修の実施内容を後日報告するなど、必要に応じてフォローを行う必要がある。

「入社後教育」をどう実践していくか

◆昔のやり方の「押し付け」は、教育効果を半減させる

そして、入社した後に行う教育。基礎的な能力に大きな「差」のない新入社員でも、入社後半年、1年と経つに従って歴然とした「差」が現れ始める。その原因には、入社後に配属された職場の上司との関係、そしてそれを含めた導入期の新入社員教育のあり様に大きな関係がある。この時期にきちっと動機付けがなされるかどうか、つまりビジネスの意味と目的を正しく考え、主体的な行動を取れるようになるかどうか、これがその後の新入社員の成長の分かれ目となってくる。

その際に重要なことは、会社からの一方的な「押し付け」では十分な効果が期待できないということ。最近の新入社員は、自分が納得しないと動かないという傾向がある。そのため、形式的なものはなかなか受け入れようとはせず、やらされ感を覚え反感を買うことが少なくない。「なぜ、自分がそれをする必要があるのか」「なぜ、これをしてはいけないのか」など、社会人としての経験を持つ社員なら当然と感じることも、新入社員には心を込めて丁寧に、しかも根気よく説明していくことが求められてくる。はっきり言えば、かつては効果のあったカリキュラムであっても、現在ではその効果は思うほど期待できないケースが少なくないのだ。

その意味でも、教育担当者は「新入社員の思考・行動様式」と「教育ニーズ・課題」を的確に捉え、それを適切な教育カリキュラムへとフィードバックしていくことが、実効ある新入社員教育を行う上で不可欠となってくる。

◆新入社員教育に盛り込むべき「要素」

ところで、最近の新入社員の入社1~2年目で起きている現象としては、

  • 働く動機、自分がやりたいことを見失っている、やらされ感を持っている
  • 厳しく余裕のない現実を前に、自信が持てていない
  • ビジネスにおける基本的な態度やスキルが身に付いていない
  • 適切な人間関係の構築、意思表示ができていない
  • 成功体験がつかめていない、どうすればいいのかがよく分からない
  • 自分がやっている仕事に対して、成長感を覚えていない

などが問題として挙げられるのではないか。

入社前のイメージと現実とのギャップに苦しみながら、忙しい毎日の中で何をしたいのかが分からなくなり、一方で現実にやることが多いと感じている。しかし、その成果が出ていないことから自信を失っている。先輩社員からは、ビジネスにおける「ベーシック・スキル」の不足を指摘する声も多くなっており、意識と知識・スキルの両面において問題が並存していることを感じている…。

こうした状況をクリアするためにも、まずは「動機付け」を図ると同時に、「基本行動」をマスターさせるようなプログラムを盛り込んでいく必要があるように思う。そのためには、以下のような視点や支援が欠かせない。

  • 意識の転換(学生から社会人への切り替え)
  • 会社の理念・ビジョンの浸透
  • 社会人の常識・規則の理解
  • 同期意識の高揚、一体化
  • ロールプレイングの実施
  • 実務の習得
  • 自立意識の植え付け
  • 職場全体のサポート
  • 相談相手の存在

◆「参加型」「体験重視」の傾向へ

一般的に、新入社員教育は4月からスタートし、会社概要・事業内容、経営方針、部門紹介などの説明、ビジネスマナー講習、基本スキル習得、工場・事業所見学、現場実習などが順次行われ、この後にそれぞれの部門・部署に配属されていく。

毎年、何らかの形でプログラムに手が加えられているが、最近の傾向として知識習得は「受身型」から「参加型」へ、講義よりも「体験重視」へと変更する研修が多くなっている。その内容をまとめてみると、概ね以下のように整理できる。

(1)「レポート」を作成する

会社内の各部門や事業所、工場などに関して、新入社員に自由に取材・調査をさせ、レポートにまとめさせる。部門概要や業務説明など、知識的な部分をこうしたレポート形式にするケースが多い。講義形式で知識を詰め込むより、自分で納得しながら理解できる利点がある。方法としては、社内レポート作成の他、会社案内や求人サイトのコンテンツ作成などがある。

(2)「体験学習」を重視する

講義や講習だけでなく、体を使った「体験学習」をさせる。従来からの工場実習や営業実習などの「現場実習」と、業務とは直接関わらない「修業的な実習」に分かれる。現場実習では、実際の作業にローテーションとして組み込まれて勤労し、第一線の仕事振りを体得する。また、修業的な実習の場合、何かを達成したときの達成感を味わわせることにより、仕事への前向きな姿勢を見に付けさせることを狙いとしている。

(3)「遊び感覚」を盛り込む

「ウォーク・ラリー」を実施したり、ゲームとイベントに参加させたりといった“遊び”の要素を取り入れるというもの。その狙いは、同期生とのチームワーク、共感性の育成など。ゲームやイベントは研修中の息抜きの意味でレクリエーションの時間として設定することはあったが、最近ではそれを一歩進んだ形で、業務と関連付けて行うケースが多い。

(4)「語学(英語)」学習

配属後に、通信教育・社外講座などの「語学(英語)教育」の場を設けている企業は多いが、それを新入社員教育中に行うというもの。徹底した集中教育で語学力のアップを図ることにより、配属後の勉強への動機付けを意識しているケースもある。外部講師を依頼し、期間中は一切日本語禁止というストイックな内容にしていることも少なくない。さらに最近は、新入社員研修の際にクラス分けや授業がスムーズに運べるよう、内定式直後からのeラーニングで語学教育を行う企業も多い。

(5)「議論」を入れる

自分の「意見」をはっきりと言える自立したビジネスパーソンの育成を目標に、最近では議論やディスカッションを取り入れるケースが増えてきている。単にミーティングや話し合いを行うのではなく、一定の条件下で賛成派・反対派を分けて議論を進める「ディベート」などがその典型的なパターン。

◆入社後教育を実施する上での「留意点」

受講生に興味・関心を持ってもらい、かつ入社後教育を効果的に運営していくためには、さまざまな工夫が必要となってくる。以下に、そのポイントを整理してみた。

(1)新入社員に「運営」を委ねる

研修中の運営を思い切って新入社員に任せることで、自分で考え行動する習慣を身に付けさせることができる。同期生同士が刺激を与え合い、良い意味でのライバル意識も生まれる。さらに、自然にリーダーシップを発揮する者が出てくるなど、そのメリットは大きい。

(2)「先輩社員」を参加させる

先輩社員を「社内講師」として、業務内容や知識を教える際の指導に当たらせる。方法としては、グループ単位またはマンツーマン方式できめ細かく実施する。講義形式と違って気軽に質問などができ、実際の仕事とどう関わっているか、実務に則した知識やスキルを伝えることができる。また、入社後あまり年数の経たない社員を選び、先輩社員自身の教育効果を狙う意味合いもある。

(3)「研修ツール」を工夫する

ビジュアルを取り入れた研修ツールを使う企業が多くなっている。ケータイ世代には、こうした面での工夫が必要だろう。先輩社員の体験談などでも、イメージがよりつかみやすくなり、新入社員の理解にも効果がある。

(4)長期に渡って実施する

教育期間を1年、あるいは3年といったスパンを設定し、長期に渡って段階的な教育を実施していく。長期の教育を実施することにより知識や技術を確実に身に付けさせ、各人の適性を見極めた上で能力を育成していくことを狙う。

(5)「日程」の順序を変える

研修初日にいきなり「ウォーク・ラリー」を行う企業がある。一方で、会社説明会をより実践的に理解させるよう入社後すぐにではなく、半年後に集合研修を行うなど、日程の順序を変えることで、研修効果を上げる企業もある。

(6)「全寮制」で研修する

「寮生活」を送らせることにより、学生生活の気分を一新させ、社会人としての自覚を促すことを狙いとして実施する。「同じ釜の飯を食った」ことで相互の連帯やコミュニケーションが急速に蜜となるからだ。その結果、仕事上の悩みや不満だけでなく、プライベートな面での心配事や将来の不安なども、同期生同士で解決していく傾向が強くなっていく。

いずれにしても、昨今の新入社員の気質や育ってきた背景・環境を十分に理解した上で、各社それぞれの置かれた立場から、より効果的・実践的と思われるカリキュラムを組んでいくことが求められてくる。

◆新入社員以上に、先輩社員の教育が大事

最後に一言。新入社員に対する教育も重要だが、それに増して大事なのは「先輩社員」の教育ではないだろうか。先輩社員が仕事の基本をいい加減にし、「不機嫌な職場」に代表されるような会社全体のモラールが低下していることは、新入社員教育の最大の弊害となるということを、人事そして教育担当者はよく認識しておいてほしい。まずは隗より始めよ、である。

そして、新入社員が定着する最大の決め手は、最低でも1年間のマンツーマン教育のように思う次第。気長に一人の先輩が気持ちを込めて指導することによって、新入社員の定着率は飛躍的に高まることもまた、忘れないでほしい。

解説:福田敦之(HRMプランナー/株式会社アール・ティー・エフ代表取締役)

企画・編集:『日本の人事部』編集部

Webサイト『日本の人事部』の「インタビューコラム」「人事辞典「HRペディア」」「調査レポート」などの記事の企画・編集を手がけるほか、「HRカンファレンス」「HRアカデミー」「HRコンソーシアム」などの講演の企画を担当し、HRのオピニオンリーダーとのネットワークを構築している。

この記事ジャンル 内定者育成

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