労使および専門家の計452人に聞く2020年賃上げの見通し
~定昇込みで6495円・2.05%と予測。7年連続で2%台に乗る~
民間調査機関の労務行政研究所(理事長:猪股 宏)では、1974年から毎年、来る賃金交渉の動向を把握するための参考資料として、「賃上げ等に関するアンケート調査」を、労・使の当事者および労働経済分野の専門家を対象に実施している。このほど、2020年の調査結果がまとまった。
(1)2020年の賃上げ見通し(東証1部・2部上場クラス)
全答者452人の平均で「6495円・2.05%」(定期昇給分を含む)となった。賃上げ率は14年以降、7年連続で2%台に乗るとの予測となっている。労使別に見た平均値は、労働側6639円・2.10%、経営側6440円・2.03%で、両者の見通しは近接している。
(2)自社における2020年定昇・ベアの実施
20年の定期昇給(定昇)については、労使とも「実施すべき」「実施する予定」が8割台と大半である。ベースアップ(ベア)については、労働側は「実施すべき」が68.6%を占める一方、経営側は「実施する予定」が16.9%にとどまり、「実施しない予定」が49.2%。調査回答時点では「検討中」が19.4%と約2割を占めた。
1. 調査時期 2019年12月2日~2020年1月20日
2. 調査対象 8539人。内訳は下記のとおり。
(1)労働側
東証1部および2部上場企業の労働組合委員長等2060人(労働組合がない企業は除く)
(2)経営側
全国証券市場の上場企業と上場企業に匹敵する非上場企業の人事・労務担当部長4985人
(3)労働経済分野の専門家(以下、専門家)
主要報道機関の論説委員・解説委員、大学教授、労働経済関係の専門家、コンサルタントなど1494人
3. 回答者数および集計対象
労働側207人、経営側124人、専門家121人の合計452人。ただし、3.については、労働側240人、経営側155人、専門家126人の合計521人。
1.2020年の賃上げ見通し(東証1部・2部上場クラス)
回答・集計に関する留意点
(2)上記から推測される大企業の賃上げ前ベースは31万8000円程度
(3)定期昇給のみの場合は1.8%(5720円)程度
額・率の見通し [図表1]
20年の賃上げ見通しは、全回答者の平均で6495円・2.05%となった[図表1]。厚生労働省調査における主要企業の昨19年賃上げ実績(6790円・2.18%)を下回るものの、賃上げ率は7年連続で2%台に乗るとの予測である。
主要企業の賃上げ率が2%台に乗った14年以降で見ると、本調査における予測値では17年の2.00%に次いで低い水準となっている(<調査結果のポイント>参照)。
賃上げ率の分布は、労使とも「2.0~2.1%」が最も多く(労働側45.9%、経営側51.6%)、「2.2〜2.3%」が労働側9.7%、経営側16.1%と続く。
労使別の額・率の平均は、労働側が6639円・2.10%、経営側が6440円・2.03%。労使の見通しの差を見ると、労働側が経営側を199円・0.07ポイント上回っている。
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