定着のカギは、自社をよく知ってもらうこと
三宅 航太(みやけ・こうた)
採用試験の練習で応募
また、「今まで応募した企業の中に“練習”の企業はあるか」について聞いた調査結果をご紹介します(図3)。
「ある」が66.7%となっており、学生の立場からすれば当然といえますが、これも企業にとっては望ましくない結果です。
いずれもご紹介してきたアンケート結果は学生の本音が見えるものですが、企業はこうした現実を受け止めて、採用活動を行っていかなければなりません。こうした現実の前では、自社をよく見せようとしても、虚勢を張っても意味がないと思います。どんな志望理由にせよ、入社後に事前の理解と実際に働き始めたときの間に悪いギャップを感じてしまったら、退職につながりかねないからです。
働く上で大前提となること
数年前、新卒採用活動においてユニークな施策を打ち出し、マスコミの注目を集めた食品会社があります。同社は、WEBでエントリーシートの作成画面に進む前に二つの質問を設けていました。それは同社で働く上で大前提となる質問で、「○○(同社で扱っている主要食品)は好きか?」と「○○(同社の所在地)で働けるか?」です。二つの質問にイエスと回答しなければ、エントリーシートの内容がどんなに優れていたとしても、選考に進むことはできません。
質問の意図は、過去に選考が進んだ段階で、地方にある同社で働くことに積極的ではなかったり、同社の主要食品が実はあまり好きではないという理由で辞退した学生がいたからだそうです。
根本的なことが理解されていなかったために、大きなどんでん返しをくらうというのはビジネスでもよくある話です。採用活動も同じだと思います。自社のありのままの姿を知ってもらうことが、すべての根本になるのではないでしょうか。
<パート戦力化に関する取材記事は、人と仕事研究所WEBサイトで検索・閲覧できます> TOP ⇒ コラム/取材記事 ⇒ 現場イズムバックナンバー
詳細はこちらをご覧ください→アイデム人と仕事研究所
●文/三宅 航太(みやけ・こうた)
アイデム人と仕事研究所 研究員。大学卒業後、出版社の営業・編集、編集プロダクション勤務を経て、2004年に株式会社アイデム入社。同社がWEBで発信するビジネスやマネジメントなどに役立つ情報記事の編集業務に従事する。人事労務関連ニュースなどの記事作成や数多くの企業ならびに働く人を取材。
人事の専門メディアやシンクタンクが発表した調査・研究の中から、いま人事として知っておきたい情報をピックアップしました。