SHRM 2012 Annual Conference
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世界の最先端の情報に触れる
続いて、イベント中に開催された、主要な個別セッションの概要をお伝えします。
Sunday June 24
<Opening General Session>
Condoleeze Rice, former U.S. Secretary of State
過去11年間で世界を変えた出来事を三つ挙げる。一つ目は2001年の同時多発テロ。世界の安定が揺らいだ。二つ目は2007‐2008年の経済危機。現 在に至るまで尾を引いている。三つ目は2011年のアラブの春である。これらの出来事によって、我々は経済的豊かさや政治的安定が確かなものではないと思 うようになった。
米国が活気を取り戻し前進するためにもっとも必要なのは、National Credo。米国の信条の下では、人々はどこの出身であろうとも、どこへ行こうとも自由に、平等にさまざまな機会が与えられるはすである。しかしながら、 例えば教育を例に挙げてみても、昨今平等な機会が脅かされつつある。米国民が抱いてきた人間の可能性や自ら道を切り開く力への信仰が失われつつある。
ライス氏は貧しかった幼少期に、「あなたは大統領になる」と言われながら両親に育てられた。そのポジティブな言葉や姿勢のおかげで、国務長官にまで上り詰めたという。この経験からも、将来に対して楽観的であることが大切だ。
現在ライス氏はスタンフォード大学で教鞭をとるほか、さまざまな教育プロジェクトに係わっている。教育は、私たちに可能性をもたらす根源であるという。また、教育は国防であるとも述べる。
Monday June 25
<General Session>
Malcom Gladwel, Best Selling Author
かつての公民権運動と近年ウォール街を占拠した市民運動との比較から、世代間の違いを見る。1963年の公民権運動では、マーティン・ルーサー・キ ングとその他のリーダーが大衆を率いて街を行進する姿が見られた。強いリーダー、統制のとれた組織、組織を導くイデオロギーが存在するヒエラルキーがこの 運動を成功に導いた。
一方、ウォール街の占拠運動には、リーダーも明確なイデオロギーも戦略もなく、緩やかにつながる人々が統制もなく行動を起こしていた。社会的組織の 形成方法が世代間で全く異なる。ミレニアルズ(Generation Yと呼ばれる生まれが1975年頃から1995年ぐらいまでの世代)は、ヒエラルキーとは無縁であり、権威や熟練者に対する敬意が乏しい。
実際のところ、ヒエラルキーとネットワークを比較してみると、どちらがより優れているということはなく、それぞれが強みと弱みを持ち合わせている。 アラブの春ではネットワーキングが大きな役割を果たしたが、ムバラク政権がインターネットをシャットダウンしてからは、人々はヒエラルキーの象徴であるモ スクに駆け込み結束を強くした。純粋なネットワークモデルが自然に構造化された組織になったときに、社会を動かすだけの力になったと言える。このことを職 場の人材育成に当てはめてみると、SNS型の緩やかな学習や階層による指導だけではいずれも不十分で、互いが補完しあうことで人材を強化できるのではない か。
Tuesday June 26
<Personal & Leadership Development>
“SHRM’s HR Competency Model: The Framework for Developing Proficiency
Dr. Alexander Alonso, SHRM
(1)コンピテンシーモデルとは
当該職務を効果的に遂行するために求められる知識、スキル能力、その他特性の集積。キャリアを構築するにあたっての指針となる。
(2)HRコンピテンシーモデルの開発経緯
2011年にモデル開発:まず文献から35の異なるモデルを抽出したが、その90%に類似性を発見。また、実際に世界29都市の1200人の人事プロ、640人のCHROにも調査をかけた。 2012年に検証調査実施:世界32000人の人事プロをentry / mid / senior / executive の四つのレベルに分けて調査を実施。
(3)コンピテンシーモデル
Technical Competency | 六つのコアとなる基礎知識 Compensation / Recruit & Selection / T&D / Employee Relations / Employee Engagement / Compliance |
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Behavioral Competencies |
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*特徴として、人事であろうとも経営に係わる知識・スキルが強く求められていることが読み取れる。
(4)HRコンピテンシーのアセスメント
entry / mid / senior / executiveの各レベルに対して、各コンピテンシーがどれくらい求められるかを「0~15」で設定。0~15の段階に対してそれぞれ行動例の記述があるので、それに当てはめて自身のレベルを判定できる。
https://csa.sharm.org でもセルフアセスメント可能。Situational Judgment Test(SJT)あるいはVirtual Role Play(VRP)という、インバスケット形式でのアセスメントである。
(取材・レポート/一般社団法人日本能率協会 小峯郁江氏)
人事プロフェッショナルとして、ぜひ知っておきたい世界最先端の情報に触れることができた同イベント。日本から参加された皆さまにとっては、大きな刺激となったことでしょう。
『日本の人事部』では、今後も人事担当者としてぜひ聴いておきたい講演や、参加しておきたいセミナーなどのレポートをお届けしていく予定です。今後のイベントレポートにどうぞご期待ください。
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