VUCAに対応するためのフレームワーク
VUCA時代―――予測困難な状況の時代では、予測のしやすかった時代とは違った考え方が求められます。想定外の事象が現れる環境で、素早く対応するためのフレームワークが提案されています。その中でも代表的な二つのフレームワークを紹介します。
OODAループ
OODA(ウーダ)ループは、VUCA時代に注目されているフレームワークの一つです。もともとアメリカ空軍で使われていました。Observe(観察)、Orient(状況判断)、Decide(意思決定)、Act(行動)の四つからなるフレームワークです。
Observe(観察)
最初の段階では、まず対象となる事象を観察し、ひたすら情報を収集します。十分な情報収集を行い、事業を取り巻く環境や競合の戦略を理解します。
Orient(状況判断・方向づけ)
収集した事業環境や競合の情報に対して、状況を分析し、どのような方針を立てるか決めます。
Decide(意思決定)
一つ前のステップで決定した方針を基に、具体的な施策や手段を決定していきます。
Act(行動)
意思決定した手段を実行していきます。
もう一つ、有名なビジネスのフレームワークとしてPDCAがあります。PDCAでは計画を立ててから実行に移すのに対し、OODAループではリアルタイムに情報収集と意思決定を行います。まずは対象を観察し状況を判断する(情報収集)、そして意思決定し行動するという一連を繰り返していきます。
OODAループのメリットは、迅速に行動して判断を下せる点。つまりPDCAでいうところのPlanのプロセスを省いた、「やりながら考える」タイプのフレームワークであるといえるでしょう。
OODAループを実施する際に注意が必要なのは、ビジョンや方向性が定まっていないままだと単なる行き当たりばったりになってしまいかねない点です。目的や目標を明確にした上で取り組むことで、混乱を避けられます。
VUCAプライム
VUCAプライムは2007年にロバート・ヨハンセンが提唱したリーダーシップモデルです。VUCAそれぞれに対抗するための考え方を下記の四つで示しています。
Vision(ビジョン)
状況が予測不可能なほど早く変化している場合、リーダーは目標や目的とビジョンにフォーカスし続けるべきとされています。
追いかけるビジョンは、従業員や顧客・取引先などの事業における各ステークホルダーを納得させられる、説得力を持つものである必要があります。
Understanding(正確な理解)
何が起こっているかを正確に理解することは、事業の不確実性を低減する効果があります。事業を進める上で計測できない不確実性に遭遇した場合、外部の政治的・経済的・社会的・技術的・法的および環境的な要因について深く理解するために調査や実験が必要になります。
Clarity(単純化)
予測不可能な事象にぶつかったときには、可能な限り状況を単純化して捉えてみます。簡素化して物事を捉えることは、必要な意思決定を容易にします。
Agility(機敏性)
今まで行ったようなことがない施策でも、有効と判断すれば、迅速に意思決定して取り組みます。迅速な判断や行動は、ビジョンや目標を達成するに当たって非常に有効です。
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VUCA
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