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メリハリ人事制度でシニア人材が活躍
「年功→成果重視」に移行した太陽生命の狙い

太陽生命保険株式会社 人事総務部 人事課長

竹内 俊介さん

メリハリ人事制度でシニア人材が活躍 「年功→成果重視」に移行した太陽生命の狙い

人手不足を解消する存在として、経験豊富なシニア人材が注目されています。シニア人材の活躍に向けて人事制度を改定し、従業員の処遇改善やモチベーションアップにつなげているのが太陽生命保険です。同社は、2017年に65歳定年制度を開始するとともに、大手生命保険会社で初めて70歳まで働ける継続雇用制度を導入。年功序列的な要素が強かった賃金体系を本人の成果を強く反映する給与体系へと段階的に改定することで、従業員の意識変革に成功しました。人事課長を務める竹内俊介さんに、人事制度改定の狙いやシニア人材活躍のポイントを聞きました。

プロフィール
竹内 俊介さん
竹内 俊介さん
太陽生命保険株式会社 人事総務部 人事課長

たけうち・しゅんすけ/2006年に新卒で太陽生命保険に入社後、支社勤務を経て人事部門へ。人事運用業務の担当者として従事しながら、定年延長制度導入プロジェクトに参画し、生命保険業界初となる「65歳定年制度」および「70歳までの継続雇用制度」の創設に携わる。その後、熊谷支社長としての勤務を経て、営業企画部門、DX戦略部門を経験。2024年より再び人事部門に戻り、人事課長として異動・評価・育成・制度などの人事運用業務に従事。

10年かけて段階的に制度改定

貴社は2017年に65歳定年制度と、国内大手生命保険初となる70歳まで働ける継続雇用制度を導入しました。新しい人事制度を導入することになった背景をお聞かせください。

人事制度を改定することになったきっかけは三つあります。一つ目は、従業員、お客さま、そして社会の元気を応援するため、当社が2016年10月に始めた「太陽の元気プロジェクト」です。太陽生命保険は創業以来、ご家庭に寄り添う生命保険会社として、時代に合わせたサービスを提供してきました。人生100歳時代では「健康寿命の延伸」が求められます。より良い保険商品を提供することでお客さまや社会へ安心を届け、健康増進のお役に立つためには、従業員が元気でいなければなりません。健康経営を推進するために、一人ひとりがいきいきと長く働くことができる元気な職場を作る必要がありました。

二つ目は、政府の施策と方向性の変化です。少子高齢化の加速や労働意欲が高いシニア人材の増加などを背景に、高年齢者雇用安定法が改正され、65歳までの雇用確保措置が求められるようになりました。また厚生年金の受給開始年齢も、制度が発足した1942年当時の55歳から段階的に引き上げられてきました。老後の暮らしへの不安から、シニア世代の就労ニーズも高まっていたのです。

三つ目は、当社の人員構成。社会的なライフサイクルの変化に伴って当社でも従業員の晩婚化が進んでおり、60代でもまだ子どもが小さく働き盛りという従業員が多数いる状況でした。またバブル期に採用した50代のボリュームが多く、その後採用数を絞った時期もあり、従業員の年齢層に大きな偏りが見られました。将来的に管理職を担う人材不足が見込まれることから、社内の人事制度を一新しなくてはならなかったのです。

役職定年制を廃止し、生涯賃金15%アップ

新しい人事制度の概要を教えてください。

年齢にかかわらず、優秀な人材が活躍できる環境を整備するため、「従業員の頑張りが評価される」制度を目指しました。それまでの年功的な賃金体系は、定年を迎えると段階的とはいえ自動的に給与が下がる仕組みで、シニア人材のモチベーション低下は避けられませんでした。一方でどんなに優秀な若手社員でも、年功序列でなかなか昇進できないという課題がありました。

そこで、2014年から3段階に分けて人事制度を改革しました。まず、2014年に成果給や職位手当の評価比重を上げ、昇格条件だった職能資格を5種類から10種類に増やすことで、個人の頑張りがより反映されやすい仕組みに変えたのです。

【図表】人事諸制度改定の概要

2017年4月に行った2回目の人事制度改定では、65歳定年制度と、最長70歳まで働ける継続雇用制度を導入。同時に、役職定年制度と特別職員制度を廃止しました。それまでは、57歳で役職定年を迎えた社員は特別職員となり、60歳で定年退職した後はさらに処遇を下げた上で65歳まで継続雇用になる制度でした。従来の制度では、役職定年後の特別職員はそれまでの80%程度の給料で、60歳から65歳までの継続雇用時には30~40%程度の給与になっていました。好成績を出している優秀な人材でも、一定の年齢を迎えて雇用形態が変われば、自動的に給与が下がる仕組みだったのです。

改定後は、定年を迎える65歳までは年齢を理由とした給与減は行われなくなり、従業員の頑張りと周囲の評価によって人事評価が決まる仕組みにました。これにより、従業員の生涯賃金が平均15%以上増加。シニア世代の従業員の競争意欲やモチベーションが上がり、「これまでは将来が不安だったけれど、安心して働けるようになった」との声も多く聞かれるようになりました。

【図表】処遇イメージ

そして2020年、メリハリのある人事制度運用に向け、入社年次にかかわらず能力のある社員を管理職登用する評価制度を導入。評価項目や評価基準となる目標は抽象的な内容ではなく「支社の業績を〇%向上させる」といったように明確にしました。具体的な数値目標を盛り込むことで、主観的ではなく公平に評価できるようにしたのです。

また、固定給を縮小し変動給を拡大するとともに、評価乗率の見直しや昇降格要件の明確化・早期化・厳格化、給与テーブルの見直しを行うことで、成果を給与や管理職登用に反映しやすくしました。このようにして、シニア人材はもちろん、若手もモチベーション高く働き続けられる環境が整っていきました。

新制度を導入する際、社内の理解を得られずに苦労する担当者は多いようです。どのように広報・周知したのでしょうか。

特に2017年の改定は大幅な内容変更だったため、1年前の2016年に労働組合への申し入れを行いました。しかし初回の労使協議では、「65歳定年制度といえば聞こえはいいが、シニア人材が管理職に長期間とどまることで、若手従業員の管理職登用へのチャンスが減るのではないか」という不安の声が上がったのです。そこでメリハリのある人事制度とし、管理職への早期登用のロールモデルを示したり、昇降格の厳格化などを説明したりするなど、毎月丁寧な話し合いを重ねました。2017年2月に妥結した後は、全従業員対象の説明会を開くなど、制度改定までの2ヵ月間、さまざまな方法で周知しました。

役職定年制度と特別職員制度を廃止したことで生涯賃金が15%増加したとのことですが、どのように経営陣の理解を得たのでしょうか。

65歳定年制度や70歳までの継続雇用制度は「太陽の元気プロジェクト」という全社プロジェクトが起点なので、経営陣が主導しました。あわせて、人事部も強い課題感を持って役職定年と特別職員制度の廃止にも着手しました。

確かに、人件費が増えるという懸念はありました。ただ、社員全体の人数と管理職の人数をコントロールすれば、全体の人件費が大幅に上振れすることはありません。5年後、10年後の人員構成を人事部内でシミュレーションし、経営陣に「これまでと同様、一定の年齢で役職を降りて次世代に譲るだけでは、管理職の担い手が足りなくなる」という現実を丁寧に説明しました。優秀な人材が離職してしまえば、会社の事業を存続することができません。管理職のポスト数自体は変わらない前提で、5年後、10年後でも人事制度を維持できるように制度を設計しました。

57歳から65歳の従業員は、どのようなポストに就いているのですか。

本人の希望を踏まえますが、仕事へのモチベーションが高く能力もある人材は、基本的に引き続き同じ管理職ポストに就いています。その方が安定してパフォーマンスを発揮してもらえるからです。役職定年を廃止したことで、60歳を超えて本社のライン部長を務める社員もいます。現在、58歳以上の管理職比率は約15%です。さまざまな部署で培った経験を業務に生かすことはもちろん、後輩の指導にもあたっているため、ノウハウの引き継ぎもうまく機能しています。

また、本社から支社への異動など、新しい環境で働く人材もいます。本社と支社では環境とともに仕事の内容も大きく異なるため、支社での業務研修はもちろん、マインドセットや新たな知識の習得など、新しい環境下でも不安にならないようにフォローを行っています。支社勤務は本社と比べてお客さまとの距離が近くなるため、刺激的に感じるシニア人材も少なくありません。ベテランとして若手社員に頼られる立場となり、後輩教育に新たなやりがいを感じる社員も生まれています。

竹内俊介さん(太陽生命保険株式会社 人事総務部 人事課長)インタビューの様子

昇降格を厳格化した結果、降格する社員にはどのようなケアを行っていますか。

新しい人事制度では、年齢にかかわらず目標達成度合で評価されるため、65歳で昇格する人もいれば、評価が伴わず降格する人もいます。人事評価に基づき、2期連続で要件を満たすと1級降格。降格の候補となった社員には、次の評価が悪ければ降格することをしっかりと伝える機会を設けています。降格は、運用方法を間違えると精神的なダメージが大きく、本人のモチベーション低下につながりかねません。事前に「次が最後のチャンス」と本人に告知し納得してもらうことで、心構えを持って仕事に取り組めるようにしています。

降格した場合は、何が足りなかったのか、改善点はどこかを明示しています。条件を満たせばまた昇格することも可能です。

ビジネスの世界で求められるスキルは日々変化しています。シニア人材向けのリスキリングなどは行っていますか。

2024年に新しく立ち上げた人材開発室で対応しています。全国からシニア層の中間管理職を集めて総合研修を開いたり、マネジメントやコンプライアンスなどに関する通信講座で成長の機会を提供したりしています。

若手登用を進め、6年目で業務・教育課長のケースも

人事制度が変わったことにより、若い世代のキャリアに変化はありましたか。

若手社員は入社後、本社と支社のどちらも経験し、ジョブローテーションを通じてキャリアステップを積んでもらう仕組みとなっています。入社6年目で業務・教育課長に就任するケースもあり、早ければ30代前半で支社長となります。同業他社と比べても、キャリアのステップアップは早いのではないでしょうか。

管理職に就いても、ただマネジメント業務が増えるだけでは、負担だけ増えたように感じる、いわゆる「罰ゲーム」状態になってしまいます。そこで、2020年の人事制度改定で評価乗率を見直し、役職のない内務員と管理職では、給与に20%以上の差が出るようにしました。役職が上がるにつれ、プロセスよりも、数値目標の達成度合いを重視します。頑張った分だけインセンティブ要素が増すので、シニア人材も若手も、モチベーション高く成果を出し続けています。

若手の早期登用といっても、マネジメント経験を積まないまま昇進すると、仕事へのプレッシャーを感じてしまうかもしれません。そこで早くから若手社員にマネジメント経験を積んでもらうため、登用条件を満たした2年目の社員を支社の係長に登用し、リーダーポジションを任せています。

新しい人事制度下では、若手社員が上司を務め、シニア人材が部下に就くケースも考えられます。社内コミュニケーションで配慮していることはありますか。

自分よりも経験のある人に仕事を依頼する立場になれば、緊張する面はあるでしょう。年齢やキャリアにかかわらず、お互いに気持ち良く仕事ができるよう、尊敬の念をもって丁寧にコミュニケーションすることを心がけることが大切です。

シニア人材の必要性を本人に伝えることが大切

今後の課題があればお聞かせください。

当社は今後5年でシニア人材が約200人増える見込みです。大きなボリュームを占めるシニア人材一人ひとりにどういった役割を付与するかが大きな課題と考えています。長年培った知識や知見を生かしてほしいのですが、管理職ポジションには限りがあり、全員がこれまでと同じポジションに就くことは難しい。

企業内の問題改善や業務効率化を推進する内部監査部、総合リスク管理部は、引き続きシニア人材の経験を必要としている部署です。加えて、お客さまと直接やり取りを行うお客様相談窓口などのお客様サービス部門での活躍に期待しています。AIなどによって事務作業の効率化は進みますが、お客さまとの対話は今後ますます重要になるため、サービス業務は手厚くしていきたいと考えています。

入社したばかりの若手社員では難しい場面でも、ベテランであるシニア人材なら、知識や経験を生かしてお客さまに寄り添い、お客さまの置かれている状況ごとにニーズを引き出して最適な商品を勧めるといったコミュニケーションを取ることができるでしょう。シニア人材が若手社員の手本となることで、後輩社員の育成にもつながります。

シニア人材の活躍推進策を検討している企業人事の方々に向けてメッセージをお願いします。

自分の頑張り次第でさらなるキャリアアップを目指せる環境があると、年齢にかかわらず社員間に競争意欲が生まれ、切磋琢磨する環境が醸成されます。シニア人材がこれまで歩んできたキャリアや培ってきた専門知識は、会社にとって大きな財産です。会社がしっかりと「シニア人材の力が必要」だと伝えることで、本人のモチベーションアップにつながると思います。

竹内俊介さん(太陽生命保険株式会社 人事総務部 人事課長)

(取材日:2025年4月21日)

企画・編集:『日本の人事部』編集部

Webサイト『日本の人事部』の「インタビューコラム」「人事辞典「HRペディア」」「調査レポート」などの記事の企画・編集を手がけるほか、「HRカンファレンス」「HRアカデミー」「HRコンソーシアム」などの講演の企画を担当し、HRのオピニオンリーダーとのネットワークを構築している。

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