「シン・人事の大研究」調査レポート【第6回】
人事パーソンの8割以上が1週間に60分以上学んでいる
人事パーソンは何を学び、どんなキャリアを描いているのか。自身をどう評価し、どのように変わろうとしているのか――。立教大学 田中聡氏・中原淳氏と『日本の人事部』編集部による「シン・人事の大研究」の調査結果を基に、人事パーソンの実態を明らかにしていきます。
人事パーソンは学びに積極的!
第5回のレポートで報告したとおり、人事パーソンに「過去1年間を振りかえったとき、あなたは仕事を通じた成長を実感しましたか」と聞いたところ、「実感した」と回答した割合は48.6 %と半数でした。
半数以上の人事パーソンが成長実感を持てていないという結果からは、「そもそも学んでいないではないか?」という疑問も湧いてきますが、勤務時間以外での学びの状況はどうなっているのでしょうか。
「現在、あなたは人事として成長するために勤務時間外での自主的な学び(勉強会への参加やその他自己啓発活動など)に対して、どのぐらいの時間を費やしていますか。1週間あたりの平均的な学習時間を教えてください」と質問したところ、1週間に60分以上学習している人事パーソンは82.3%でした。
一般の大人の学習は1日平均6分(平成28年 社会生活基本調査)で、学習行動している人は全体の4.5%。平均と比較すると、人事パーソンは学びのために時間を投資しており、非常に勉強熱心だといえそうです。
成長する上で重要なのは「学習転移」
では、自身の成長へとつなげるために、人事パーソンは学びについてどのような行動をとっているのでしょうか。下記の選択肢を用意し、「情報収集や学習に対するあなたの考えや取り組みについて、あてはまる選択肢を全て選んでください」と聞きました。
- 人事に関する最新ニュースや注目ワードは常に情報収集している
- 他社の事例には常にアンテナを張っている
- 専門的な知識を学ぶために人事関連の専門書を読んでいる
- 人事関係者が集う勉強会には定期的に参加している
- 学んだ知識は担当業務に積極的に活用している
- 学んだ知識は同僚など他メンバーに積極的に共有している
- 最新の技術や知識を活用して、自分の仕事の質を高めるようにしている
- 人事に必要な知識はすべて現場の実務経験を通じて学んでいる
- アカデミックな理論や専門知識というものをあまり信じていない
- その他
その結果、「学んだ知識は担当業務に積極的に活用している」「学んだ知識は同僚など他メンバーに積極的に共有している」「最新の技術や知識を活用して、自分の仕事の質を高めるようにしている」が上位となりました。
成長していく上で重要なのは、学んだ知識を仕事や職場に還元すること、つまり「学習転移」であることがわかります。知識をインプットするだけでなく、誰かに伝えたり、仕事に活かしたりすることが大切といえるでしょう。
第7回のレポートでは、仕事で成果を出している人事パーソンの特徴を探ります。
次回もお楽しみに!
実施時期 | 2022年2月1日(火)~ 2月28日(月) |
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調査対象 | 企業で人事関連の仕事(人事、人材開発、組織開発など)に従事している方 ※「人事関連の仕事」とは、ご自身が所属する組織の「人と組織にまつわる業務全般」を指します。所属部署が本社人事部であるか事業部であるかは問いません。採用支援や人事コンサルティングなど、人事担当者に対してサービスを提供する企業に従事されている方は該当しません。 |
調査方法 | Webでのアンケート |
回答者数 | 1,514名 |
全国の人事パーソンを対象に行った大規模調査の結果から、人事パーソンの実状を明らかにしていきます。