転職理由が超ポジティブ
つい「本音」を聞きたいと思ってしまうが……
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企業側では特に気にしていない
「昨日はSさんの面接、ありがとうございました。結果はいつごろにいただけそうでしょうか」
Sさんが面接を受けた企業に感触を問い合わせてみると、おおむね良好のようだった。「ポジティブな転職理由、大いにけっこう」と考えているようで、ステップアップしたいというSさんの説明でまったく問題になっていなかった。
一方、別の企業の採用担当者から以前、こんな話を聞いたことがある。
「本当の転職理由を知りたいと思っていますが、面接では誰もネガティブなことは言いません。短い時間ではそれ以上聞き出すことも難しいので、半分諦めている面もありますね。どうしても気になるときは、人材紹介会社に内密にお聞きすることもあります」
たしかに私も、過去にそういった問い合わせをもらったことがある。当然のことながら、人材紹介会社は企業と人材の縁をまとめるのが仕事なので、基本的に、破談になりそうな話をすることはない。
最終的にSさんは、自身で応募していた企業に転職することになった。その報告を受けた際、改めて「なぜ前の職場に満足していたのに転職を考えたのか」を聞いてみた。
「私たちの世代とって、転職でステップアップしていくのはあたりまえのことです。終身雇用の会社があっても、魅力的だとは感じません。いろいろな会社で幅広く経験を積んだ方が、自分の価値は上がって行くと思います」
近年は転職によってキャリアアップに成功した例が目立つほか、社外の人とSNSなどで知り合う機会が増えていることも大きく影響しているようだ。ポジティブな転職理由だけだと、本音を隠しているように思えてモヤモヤしてしまうのは、いまや昔ながらの人材紹介会社だけなのかもしれない。もちろん、時代が変わっても本当の転職理由をきちんと確認することの大切さは決して変わらないのだが。
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