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職場のモヤモヤ解決図鑑【第77回】
健康診断は大忙し!人事の業務を効率化するには?

職場のモヤモヤ解決図鑑

自分のことだけ集中したくても、そうはいかないのが社会人。昔思い描いていた理想の社会人像より、ずいぶんあくせくしてない? 働き方や人間関係に悩む皆さまに、問題解決のヒントをお送りします!

健康診断は大忙し!人事の業務を効率化するには?-職場のモヤモヤ解決図鑑【第77回】
吉田りな(よしだ りな)
吉田 りな(よしだ りな)
食品系の会社に勤める人事2年目の24才。主に経理・労務を担当。最近は担当を越えて人事の色々な仕事に興味が出てきた。仲間思いでたまに熱血!

「健康診断」という言葉に仕事スイッチが入ってしまった吉田さん。健康診断の実施に際して、人事が担う業務はたくさんあります。業務の流れと効率化のポイントをみてみましょう。

健康診断とは

労働安全衛生法において企業には、従業員に対する健康診断の実施とその結果を本人に通知することが義務付けられています。健康診断を行わない企業には、50万円以下の罰金が課される恐れがあります。

健康診断の種類

企業が実施する健康診断は、一般健康診断(一般健診)と、特殊健康診断(特殊健診)の二つに分けられます。

一般健康診断には、全ての企業が実施するべき「従業員の雇い入れ時の健康診断」や「定期健康診断」が含まれます。一方、特殊健康診断は、特定の化学物質を扱う職種など、厚生労働大臣が定める有害な業務に従事する従業員に対して、実施しなければならないとされているものです。

一般健康診断 特殊健康診断
  • 雇用開始時の健康診断
  • 定期健康診断
  • 特定業務従事者の健康診断
  • 海外派遣労働者の健康診断
  • 給食従業員の検便
  • 高圧室内で行う業務、潜水業務
  • 管理区域に立ち入り放射線を取り扱う業務
  • 特定化学物質の製造しまたは取り扱う業務
  • 石綿を取り扱う業務に従事する者や従事したことがある者
  • 鉛を取り扱う業務 など

一般健康診断の対象範囲

全ての企業に実施義務が定められている一般健康診断で、必ず実施しなければならないのは「雇い入れ時」と「定期健康診断」です。対象者は、以下の通りです。

雇い入れ時の健康診断

正社員、もしくは週の労働時間が正社員の3/4以上のパート・アルバイトが対象です。パート・アルバイトの場合、無期雇用契約だけではなく、1年以上の長さの雇用契約や契約更新により 1年以上雇用される予定の従業員(特定業務従事者や有機溶剤等有害業務従事者の場合は6ヵ月以上)も対象となることに注意する必要があります。

入社3ヵ月前までに医師による健康診断を受けていて、健康診断の結果を証明する書類の提出があった場合は、雇い入れ時の健康診断に相当する項目の健康診断の実施を省略できます。ただし、直近で健康診断を受けていても、雇い入れ時の健康診断の項目を網羅していなければ省略できない点に注意しなければなりません。

定期健康診断

正社員、もしくは週の労働時間が正社員の3/4以上のパート・アルバイトが対象です。パート・アルバイトの場合は、無期雇用契約、1年以上の長さの雇用契約(契約更新により 1年以上雇用される予定の従業員も含む)、もしくは1年以上雇用した実績がある従業員(特定業務従事者や有機溶剤等有害業務従事者の場合は6ヵ月以上)が対象です。

  • 頻度は1年以内ごとに1回
  • 常時50人以上の労働者がいる事業場では、健康診断の結果を労働基準監督署に報告

健康診断に関連する業務の「基本的な流れ」

健康診断の実施にあたって、人事は「対象者のリストアップ」「医療機関の予約」「対象者への通知」といった業務が発生します。ここでは、基本の流れと主な業務を解説します。

STEP1. 対象者のリストアップ
定期健康診断の対象者をリストアップ。業務内容によって、特殊健康診断を行う必要がある場合は、併せて対象者を特定する。
STEP2. 健康診断を実施できる医療機関で予約
健康診断は指定の医療機関に出向いて受ける方法と、健診者に事業場まで出張を依頼する方法の二種類。従業員数や、事業場を離れられる職種かどうかに合わせて検討する。
STEP3. 健康診断の対象者に健康診断の実施日を通知
メールや社内プラットフォーム、書面などにて実施日を通知。受診率を上げるためには、複数回通知するなどの工夫が必要。
STEP4. 健康診断を実施した医療機関から診断結果を受理
健診実施後、医療機関から診断結果が到着する。
STEP5. 健康診断の受診者に診断結果を個別に通知
所見ありなどの異常が見られる場合には、再検診を促す対応が必要。
STEP6. 診断結果を健康診断個人票に入力し、5年間保存
健康診断結果の保存は法律で定められている。特別管理物質関係は、30年・40年など関連する物質によって保管期間が異なるので注意。

健康診断に関連する業務の「効率化のヒント」

健康診断に関連する業務の効率化

健康診断の実施にあたって、人事は「健保組合」「従業員」「クリニック(医療機関)」など、複数の相手と調整を行います。対象となる従業員が多くなるほど調整に大きな時間がかかるため、業務を効率化することが重要です。

「従業員」との調整

従業員との間には、健康診断実施の通知、予約の受付、事前送付物の送付、健康診断結果の通知などの業務が発生します。予約日の調整や未受診者へのリマインドなどを行うこともありします。スケジュールに余裕を持って動き出すこと、対象者を素早くリストアップできるようなシステムを導入することなどが効率化に役立ちます。

効率化のポイント

  • 健康診断は定期業務であるため、スケジュールを組んで余裕を持って調整する
  • 長時間会社を離れるのが困難な職種の場合、集団検診を行うと効率化できる
  • 集団検診は指定医療機関で行うのが一般的。職場への出張を依頼できる医療機関もある
  • 2020年8月の労働安全衛生法改正により、健診結果のペーパーレス化が可能に。健診結果をウェブ上で確認できるようにしたり、メールで送信したりすることで、業務の負荷を減らすことができる

「医療機関・病院」との調整

予約管理では、キャンセルが発生した場合の変更手続きも含めて、病院と事前に調整してくことが重要です。集団検診を設定する際は、業務の関係で参加できない従業員もいる可能性を考え、複数の予備日を設定するといいでしょう。

「健康保険組合」との調整

受診する従業員の年齢や性別によって、健康保険の費用補助対象となる健診項目は異なります。そのため、受診項目がセットになった健診コースを決める際は、健康保険組合への事前ヒアリングを念入りに行う必要があります。

【まとめ】

  • 従業員への健康診断は労働安全衛生法で定められた企業の義務
  • 1年以上引き続いて雇用されることが見込まれ、1週間あたりの労働時間数が通常の労働者の4分の3以上である場合に健康診断の対象になる
  • 健康診断では、病院・従業員・健康保険組合など複数の相手との調整が発生するため、システムを導入することが効率化につながる

後編では、健康診断結果が戻ってきたあとの二次検査・特定保健指導についてお話しします。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

Webサイト『日本の人事部』の「インタビューコラム」「人事辞典「HRペディア」」「調査レポート」などの記事の企画・編集を手がけるほか、「HRカンファレンス」「HRアカデミー」「HRコンソーシアム」などの講演の企画を担当し、HRのオピニオンリーダーとのネットワークを構築している。

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この記事ジャンル 健康管理

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