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キーパーソンが語る“人と組織”

24年間リストラなし。お客様満足より社員満足
会社に大切にされている実感があってこそ、社員は力を出せる(後編)

近藤 宣之さん
(株式会社日本レーザー 代表取締役社長)

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近藤宣之さん 株式会社日本レーザー 代表取締役社長
レーザー専門商社の草分け、株式会社日本レーザー代表取締役社長を務める近藤宣之さん。70歳まで働ける雇用制度、女性管理職比率30%、社員が配偶者の転勤に伴って海外へ行くことになっても雇用しつづけ、新たなポストと仕事を与えるなど「人を大切にする」経営手法で、会社の破綻危機を乗り越え、24年連続黒字達成の優良企業に育て上げてきました。その根底にあったのは前職時代、リストラを言い渡す側として、辛酸をなめた経験がありました(前編参照)。後編では、なぜ人を大切にすることで会社の利益につながるのか。また、経営者としての哲学や心構えについてうかがいました。
Profile

こんどう・のぶゆき●1994年日本電子株式会社子会社の株式会社日本レーザー社長に就任。人を大切にしながら利益を上げる改革で、就任1年目から黒字化させ、現在まで24年連続黒字、10年以上離職率ほぼゼロに導く。2007年ファンドを入れずに役員・正社員・嘱託社員が株主となる日本初の「MEBO」を実施。親会社から完全独立。現役社長でありながら、日本経営合理化協会、松下幸之助経営塾、ダイヤモンド経営塾、慶應義塾大学大学院ビジネス・スクールなど年50回講演。東京商工会議所1号議員。第1回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞の「中小企業庁長官賞」、東京商工会議所の第10回「勇気ある経営大賞」、第3回「ホワイト企業大賞」など受賞多数。

当事者意識で引き出される「火事場の馬鹿力」

―― 人を大切にしながら利益を出せるということは、よほど社員の皆さんが優秀なのでしょうか。

そう考える方が多いのですが、優秀な大学を出た優秀な人ばかりを採用しているわけではありません。これまで原則として求人サイトを使わず、ハローワークに求人を出しています。当然、学歴や性別、国籍の一切を問うことはできません。ですからリストラに遭った求職者や子育て中のお母さんなど、さまざまな人が応募してきます。その中から優秀な人を採用するのはなかなか難しい。けれども、やる気やモチベーションが向上するように工夫すれば、それぞれが頑張って自分の力を発揮し、成長していってくれます。ダイバーシティや女性活用は意図的に目指したわけではなく、あくまでもこういった採用活動の結果なのです。

また、今回のように我々の経営理念を取材してもらう機会が増えると、いい循環が生まれて、最近では高学歴の社員も入社しています。京大の博士課程出身で、理化学研究所から転職してきた者や、東大大学院出身で、大手企業を辞めて弊社に来てくれた者など。しかし、それはあくまで結果論に過ぎません。

―― 人を大切にすると業績が上向く……もちろんそれは理想的なことですが、なぜそうなるのか、不思議に感じてしまいます。

いろいろと模索しながら経営をしてきて、理念として人を大切にする経営を続けていたら、結果的に業績が上向いていったのです。

そもそも、当社のビジネスモデルは楽なものではありません。私が社長に就任する前は、四人の社長が親会社の日本レーザーから出向していましたが、26年間で半分近くが赤字で無配でした。海外企業からの製品調達が主ですから、円高や円安、M&Aによって売上も利益率も激しく左右されます。2012年には1ドル80円だった為替が2013年には100円になり、単純計算でも仕入れのコストは4億円も増加しました。さらに2015年には125円となり、3年前に比べて9億円ものコスト増。経営の危機でした。経費削減や他のコストダウンでは、それをカバーすることはできません。赤字にしないためには、新たな売り上げや新規事業を立てなければならないのです。

また、日本電子の子会社だった時代は、いくら優秀な社員でも生え抜きでは役員になれませんでしたから、製品の商権を持って独立する人が続出し、売上と人材をいっぺんに失うような事態が続いていました。ですから、MEBO(Management and Employee Buyout・役員と従業員が株主となる企業買収)を行うことで、親会社の介入から独立したのです。これで、優秀な生え抜きの社員が正当な評価を受けることができるようになりましたが、一方で、赤字になった時に助けてくれる親会社もなくなりました。安泰できる業界ではないのは社員も知っていますから、親会社から独立し、従業員が株主になることで、自分たちが頑張るしかないという、社員一人ひとりの圧倒的な当事者意識と健全な危機意識が芽生えたのです。

―― 社員一人ひとりに会社の行く末がかかっている、ということですね。

そうです。MEBO直後にも大変な時期がありましたが、そこで発揮されたのが、社員たちの火事場の馬鹿力です。これまでにやったことのない事業に取り組んだり、新たなサプライヤーを開拓したり、それぞれの持ち場でなんとか自分たちがやれることに取り組む。「自分がなんとかしなければ、会社の未来はない」と必死にやり抜くのです。それほど熱狂的に、献身的に仕事に取り組めるのは、やはり「自分は会社から大事にされている」という実感があってこそ。それが仕事へのモチベーションにもつながっているのです。


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2017/09/11掲載
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