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キーパーソンが語る“人と組織”

24年間リストラなし。お客様満足より社員満足
会社に大切にされている実感があってこそ、社員は力を出せる(前編)

近藤 宣之さん
(株式会社日本レーザー 代表取締役社長)

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近藤宣之さん 株式会社日本レーザー 代表取締役社長
新宿・西早稲田にあるレーザー専門商社の草分け的存在、株式会社日本レーザーは、かつてバブル崩壊の影響で債務超過となり、危機的状況に陥っていました。そんな会社を立て直したのが、1994年から代表取締役社長を務める近藤宣之さんです。社長就任から2年で累積赤字を一掃、現在まで24年連続黒字決算を成し遂げています。そんな近藤さんの経営理念は「社員を大切にする」こと。第1回「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」中小企業庁長官賞や、経済産業省「ダイバーシティ経営企業100選」など数々の賞を受賞しています。自身の著書『ありえないレベルで人を大切にしたら23年連続黒字になった仕組み』でも明かされた、その経営手腕に迫ります。
Profile

こんどう・のぶゆき●1994年日本電子株式会社子会社の株式会社日本レーザー社長に就任。人を大切にしながら利益を上げる改革で、就任1年目から黒字化させ、現在まで24年連続黒字、10年以上離職率ほぼゼロに導く。2007年ファンドを入れずに役員・正社員・嘱託社員が株主となる日本初の「MEBO」を実施。親会社から完全独立。現役社長でありながら、日本経営合理化協会、松下幸之助経営塾、ダイヤモンド経営塾、慶應義塾大学大学院ビジネス・スクールなど年50回講演。東京商工会議所1号議員。第1回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞の「中小企業庁長官賞」、東京商工会議所の第10回「勇気ある経営大賞」、第3回「ホワイト企業大賞」など受賞多数。

「社員は宝」だからこそ献身的に働いてもらえる

―― ご自身の著書でも紹介されていますが、貴社では本当に「ありえないくらい」社員を大切にしていらっしゃいますね。

日本レーザーでは、会社の利益は成果賞与など社員の報酬として還元される仕組みができています。また、病気や年齢、出産や介護などの事情があっても、社員に働きたいという意思がある限り、働き続けてもらうことを第一に考えています。他の会社の皆さんは、「うらやましいけど、うちの会社ではなかなかそこまでできませんね」とおっしゃいます。けれども、それは社長の覚悟の問題なんです。私は親会社の日本電子に在職していたとき、労働組合でずっとベアや福利厚生などの交渉を行っていました。しかし、「ギリギリで経営しているから、社員にもなんとかこらえてほしい」「今は好調だけど、その分財務体質強化に回したいから、社員への還元はまだ難しい」……経営者の立場で考えると、いつまで経っても社員の待遇は良くなりません。

組織には、2:6:2の法則があるとよく言われます。わが社では、「1:会社を引っ張るリーダー層」が20%、「2:会社を支える層」が60%、「3:気づきを与えてくれる層」が20%いると考えています。3の層は、病気や家族の介護、育児など何らかの理由で、会社への貢献度が他の社員よりも下がってしまっている人たち、あるいは会社の求めるような能力を満たせず、思うように成果の上がらない人たちです。一般的な経営者なら、この3の層を切ってしまえば、人材が底上げされてもっと会社は利益を出せるようになる、と考えるかもしれません。しかし、たとえ3の層を切っても、結局は他の層からシフトしてくるので、2:6:2の割合は変わらないのです。今や国民の二人に一人はがん患者となり、三人に一人はがんで亡くなる、自分は健康でも、突然奥さんが要介護にならないとも限らない。もし自分がそうなった時、会社から切られてしまうと感じていたら、とてもモチベーション高く働きつづけることはできませんよね。

私が社員に求めているのは「Dedication(献身)」と「Contribution(貢献)」です。新入社員にも「君たちは我々の宝だから、身も心も捧げてほしい」と話しています。古めかしい考え方だと思われるかもしれません。しかし、これほど経済環境の変化が激しく、不確かな世の中において、我々のような中小企業が生き残っていくためには、社員一人ひとりがその意識を持って、仕事に取り組んでもらう必要があるのです。

―― 今の時代、社員はそこまで献身的になれるものなのでしょうか。

だからこそ、人を大切にするのです。企業の存在意義は、人を雇用し、成長させること。社員は仕事を通じて成長し、自己効力感を得ることで、会社こそが自己実現の場になります。働くことで喜びが得られるのです。そして、社員の成長が会社の成長にもつながっていきます。社員が成長しているのに、利益を出せていない企業があるとすれば、それは全て社長の責任です。組織のあらゆる問題は社長の問題です。時にはトップダウンで改革をやりぬく覚悟が必要なのです。


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