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キーパーソンが語る“人と組織”

大人の発達障害だからこそ“天職”に巡りあえた!!
働きづらさを働く喜びに変える、特性の活かし方とは(前編)

岩本 友規さん
(発達障害の「生き方」研究所‐Hライフラボ)

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岩本友規さん 発達障害の「生き方」研究所‐Hライフラボ
岩本友規さんは、パソコンのグローバルシェアNo.1企業でサプライデマンドシニアアナリストとして活躍するデータ分析のプロフェッショナル。需要予測で同部門世界トップの成績を上げ、個人優秀賞の表彰を受けたこともあります。そんな“デキる”ビジネスパーソンが、つい数年前までは与えられた仕事をこなせず、本気で失踪してしまいたいと考えるほど人生に行き詰っていたなんて、にわかには信じられないでしょう。岩本さんは、社会へ出てから目立った症状が現れる「大人の発達障害」の当事者です。現在、発達障害の人の割合は15~16人に1人程度と言われています。人手不足で余裕のない職場では、コミュニケーションに難があり、不注意のミスも多い発達障害への風当たりが強く、うつ病などの二次障害に苦しむ人も少なくありません。岩本さんもまさにそうでした――。インタビュー前編では、障害が発覚するまでの経緯を中心に、当事者はどのような生きづらさや働きづらさを感じて、職場や家庭で追い詰められていくのか、知られざる大人の発達障害の“リアル”を語っていただきました。
Profile

いわもと・ゆうき●発達障害の「生き方」研究所‐Hライフラボ(任意団体)代表。 日本LD学会正会員。発達障害学生就労支援研究会(MESA)特別顧問。中央大学法学部卒。 外資系商社、ベンチャー企業、中小企業、大企業での勤務を経験し、33歳のとき大人の発達障害が発覚。翌年グローバルカンパニーの需要データ分析・プランニング職へ転職し、所属の部署で現在まで2回の表彰を受ける。現在も勤務中。著書に、『発達障害の自分の育て方』(主婦の友社)。

★発達障害とは

2004年に制定された「発達障害者支援法」第二条では、発達障害を「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」と定義しています。

「発達障害とは」国立障害者リハビリテーションセンター・発達障害情報・支援センターウェブサイトより

(国立障害者リハビリテーションセンター・発達障害情報・支援センターウェブサイトより)

同じ発達障害でも当事者が感じる“生きづらさ”は人それぞれ

―― 「発達障害」や「大人の発達障害」といった言葉そのものは浸透しつつありますが、具体的にそれはどういう障害なのか、実際にどのような症状が現れるのか、というところまではまだ広く理解されていません。

発達障害は、コミュニケーションが苦手だったり、不注意によるミスが多かったり、あるいはこだわりやパターン化した行動が顕著だったり、症状の特徴によっていくつかの障害に分類されますが(上図参照)、実際には、障害ごとの特性や症状を、少しずつ併せ持っている場合が多く、そのうちのどれにあたるのか、明確に区別して診断名をつけることは難しいとされています。そもそも分類する意味があるのかどうか、当事者としては疑問に感じる部分も少なくありません。特定のタイプにあてはめることでラベル化されてしまい、かえってその人が実際には何が苦手なのか、どんなことに困っているのか、その人本来の姿が見えにくくなってしまう。ひとくちに発達障害といっても、当事者それぞれが感じている“生きづらさ”は一人ひとり違うのです。

―― 学生時代までは症状が目立たず、とくに大きな問題もなく過ごしてきた人が、社会へ出た途端、さまざまな不自由につきあたるのが「大人の発達障害」の特徴といわれます。岩本さんの学生の頃はいかがでしたか。

私の場合はADHD(注意欠陥多動性障害)とASD(自閉症スペクトラム障害 )の傾向があるので、子どもの頃から不注意によるミスはわりとよくありましたし、コミュニケーションに関しても、他の友だちが教室の中で遊んでいる輪の中に自然に入っていくということが苦手でした。葛藤というか、「どうしてなんだろう」という感覚は常にありましたね。「自分は周りとは少し違うのかもしれない」と意識し始めたのは、中高一貫制の男子校で高校に通うようになってからです。男子校にも仲良しグループ的なものがあるのですが、私はどのグループともつながりが弱く、いつも一緒に行動する親友のような存在もいませんでした。そういったつき合い方が苦手というか、どうすれば仲良くなれるのかよくわからなかったのです。かといって、クラスで浮いていたわけでもなく、むしろ表面的には広く誰とでも話せる感じだったので、普段の生活に支障を来すことはほとんどありませんでした。

ただ、自分自身を律する枠みたいなものへの執着があって、それが原因で周囲と険悪になることはたまにありましたね。たとえば、「先生に言われたんだから守るべき」というふうに、ある種のルールとして自分が取り入れたことは、他人にとっても絶対に正しい。だから、相手がそれに従わないと気が済まないんです。普段は気になる程度のことが、みんなをまとめる立場になったりすると相手との対立が表面化して、融通の利かない面がありました。

―― 自分の枠を絶対視して、他人にも当てはめようとするわけですか。

ええ。何かしらルールみたいなものを取り入れて、心理的に枠をはめていないと、周囲に適応できないようなところがあって。「自分と他人のものの見方は違う」という当たり前のことが、当時はまったくわかっていなかったんです。

規範をうまく取り入れて、自分をある枠組みにはめようとする私の特性が、逆に功を奏する場面もありました。大学3年の冬から始めた就職活動です。面接ではどういう態度や行動、受け答えが求められるのか、情報を収集し、“模範的な就活生”のイメージを規範として取り込み実践することで、就職戦線を乗り切ったのです。私の世代は就職氷河期終盤で、まだ厳しさが残っていた時期ですが、幸い、志望していた特殊半導体を扱う外資系商社に決まり、内定が出たのも周囲より早いくらいでした。正直、その頃の私は、社会へ出てもうまくやっていくことができると、根拠もなく自信をもっていたのだと思います。

※自閉症スペクトラム障害:米国精神医学会による「精神障害の診断と統計マニュアル」第5版(DSM-5)で規定された発達障害の分類の一つで、従来の自閉症やアスペルガー症候群などを統合し再定義した概念。


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