無料会員登録

日本の人事部への登録は45秒で完了!
※登録内容はマイページで確認・変更できます。

※「@jinjibu.jp」からのメールが受信できるようにしてください。

既に会員の方はこちら

または各SNSで登録

日本の人事部があなたの許可無く投稿することはありません

既に会員の方は
こちらからログイン

ログイン

無料会員登録

不正な操作が行われました。
お手数ですが再度操作を行ってください。

会員登録完了・ログイン

ありがとうございます。会員登録が完了しました。
メールにてお送りしたパスワードでログインし、
引続きコンテンツをお楽しみください。

無料会員登録

不正な操作が行われました。
お手数ですが再度操作を行ってください。

会員登録完了・自動ログイン

会員登録とログインが完了しました。
引続きコンテンツをご利用ください。

マイページ

会員登録済み


選択したSNSアカウントは既に会員登録済みです。

HR調査・研究 厳選記事 掲載日:2025/01/17

キャリアを決めるのは自分か、会社か
~キャリアプランをもつ人の少なさから考える「キャリア自律」支援~

第一生命経済研究所 ライフデザイン研究部 副主任研究員 福澤 涼子氏

キャリア イメージ画像

1.これからの時代に求められる「キャリア自律」

働く人のキャリアを決めるのは、本人であるべきか、それとも会社であるべきか。二律背反ではないかもしれないが、近年では働く人自らがキャリアに対する主体性をもち、積極的に能力開発を進めていく「キャリア自律」という考え方が重視されるようになっている。

その背景には、雇用や職務の安定性が揺らいでいることがある。不確実性の高い現代に企業が存続していくには、常にビジネスモデルを変革し続ける必要がある。そのため、そこで求められる職務やスキルも頻繁に変容せざるをえず、今では企業が労働者に画一的なキャリア像を提示することが難しくなっている。ゆえに、個人が自らのキャリアを管理し、自己責任のもとで必要なスキルや専門性を自主的に開発するキャリア自律が求められるのである。

また働く人の多様化が進むなかで、キャリア自律は誰もがその人らしく働くために必要な考え方となっている。従来の企業主導のキャリア形成は画一的になりがちで、多様な人材を包括するには限界がある。出産や子育てなどライフステージに応じて働き方を変える人が増えていることに加え、家族の介護に従事する人、高齢者、持病や障害をもちながら働く人も増えている。企業は彼らを画一的なキャリアに当てはめるのではなく、一人ひとりに適したキャリア形成を支えていくことが望ましい。そのためにも、働く人自身がどのようなキャリアを歩みたいかという目標をもつことが前提となる。

2.自分でキャリアを考えたいという人が多い

働く人びとは自身のキャリアを主体的に形成していくことについてどのように考えているのだろうか。図表1は、これからの職業生活設計(注1)を自分で考えていきたいか、もしくは会社に提示してほしいかに関する正社員の意向を示している。

会社で提示してほしい(「会社で職業生活設計を提示してほしい」「どちらかといえば、会社で職業生活設計を提示してほしい」)と考える人は19.4%にとどまる一方、自分で考えていきたい(「自分で職業生活設計を考えていきたい」「どちらかといえば、自分で職業生活設計を考えていきたい」の合計)と答えた人は66.7%に上る。正社員で働く多くの人は、主体的にキャリアを形成していくことに前向きであることがうかがえる。

図表1 自分自身のこれからの職業生活設計についてどのように考えているか(正社員のみ)

3.キャリアプランをもつ人は多くはない

しかし、自分のキャリアの将来像や希望の働き方については、明確になっていない人も多い。図表2は、正社員に将来希望する働き方をたずねた調査結果である。

図表2 将来、どのような働き方をしたいと思っているか(正社員のみ)

「会社幹部、管理職としてマネジメントの仕事に就きたい」「専門的な知識・技能を活かせる仕事に就きたい」といった具体的な希望をもつ人は半数弱に止まり、25.9%が「なりゆきにまかせたい」、21.6%が「わからない」と回答している。他の調査でも、自分自身のキャリアプラン(私生活を含めた職業人生のプラン)の有無について、全体の7割以上が「特に考えていない」と回答しており、キャリアプランを描いている人は少数派となっている(注2)。自分でキャリアプランを描きたいと考える人は多いものの、実際に描けている人はあまり多くないというのが実態のようだ。

4.いまだ多い会社主導の人事異動

具体的なキャリアプランをもつ人が少ない要因の1つとして、人事異動が企業主導で行われていることが挙げられる。労働政策研究・研修機構(2020年)によると、60.3%の企業が「異動には従業員の意見・希望をできるだけ反映させる」よりも、「会社主導で行う」という考え方に近いと回答している。そのような環境では、特定の職種でキャリア目標をもちスキル向上に励んだとしても、数年後には望むキャリアと関係のない職種に異動するかもしれない。そのため、働く人にとってはキャリア目標を立てにくいといえる。

しかし、そうした企業主導のキャリア形成にも変化の兆しが見られる。同調査によると、従業員300人以上の企業の51.1%が「従業員の今後の仕事・キャリアへの意向を把握する制度」を導入している。また、従業員が自ら応募する異動制度(社内公募制/社内FA制度)の導入企業数については、各種調査で結果に幅があるものの増加傾向が示されている(注3)

企業が個人のキャリア自律を支援していくことは、組織コミットメントや積極的な職務行動につながるなど、企業にポジティブな影響を与えるという見解もある(注4)。そのため、従業員のキャリア自律を支援する制度を導入する企業は今後も増えると見込まれ、人事異動のあり方も一人ひとりの意思をより尊重するような方向に進むのではないだろうか。

5.キャリア自律には支援が必要

一人ひとりの意思をより尊重する人事異動が今後普及するならば、働く人びとには自身によるキャリア目標の設定が求められることになるだろう。働くということは、単に生活の糧を得る手段であるだけでなく、自身にとっての社会貢献や自己実現など働きがいにかかわる場合もある。それゆえ、働きがいを得るためにも、自分が大事にしたい価値観や希望を内省し、その結果をキャリア目標に反映させることが有効である。そして、その目標に対して不足している能力を見極め、いかにその能力を開発していくのか、自らプランニングすることが重要だ。

しかし、現状キャリアプランを自力で具体化できている労働者は多くない。そのため、キャリアの方向性を描く段階から企業や政策的な支援が必要なのではないか。たとえば、将来のキャリアを明確にするのに有効だと考えられるキャリアの専門家によるキャリアカウンセリングについては(注5)、それを希望する正社員は多いものの(注6)、仕組みとして導入している企業は1.8%(従業員300人以上の企業に限っても4.4%)にとどまる(注7)。今後こうした支援策をより普及させていくことや、研修や人事面談でも労働者自身の内省を促すような仕組みが求められるだろう。

また、厚生労働省の「キャリア形成・リスキリング推進事業」では、個人に対するキャリアコンサルティング機会を無料で提供している。過去の経歴や大事にしたい価値観を踏まえ、キャリアの方向性について専門家から助言を得ることができる。こうしたキャリア相談がより身近なものになっていけば、自らのキャリア目標を描く人も増えていくだろう。自分なりの目標をもち、そこに向けてスキル向上に取り組む人が増えるのは、企業や社会にとっても有益である。

キャリア自律は、働く人の主体性を重んじる考え方ではあるが、誰もが能動的に取り組めるわけではない。特に働きながら育児や介護等に従事する人にとっては、理想のキャリアと家庭との間で葛藤が生じやすく、目標設定や実際のキャリア形成が難しいこともある。今後は、そうした人びとも含めて一人ひとりがその人らしいキャリア目標を描き、納得感をもって能力開発していけるような支援が求められるのではないだろうか。

【注釈】

  1. 厚生労働省「令和5年度能力開発基本調査」によると、職業生活設計とは、「労働者が、その適性、職業経験等に応じ、職業の選択、職業能力の開発及び向上のための取組について計画すること」としている。

  2. 公益財団法人日本生産性本部の「第15回 働く人の意識調査(2024年)」
    ※本調査は非正規雇用者含む。

  3. 労働政策研究・研修機構の調査(2020年)によると、300人以上の大手企業のうち、「社内公募制度・社内FA制度」を実施している企業は11.9%にとどまるが、パーソル総合研究所「一般社員層(非管理職層)における異動配置に関する定量調査 調査結果(2021年)」によると、従業員300人以上の大手企業のうち、社内公募制の制度や仕組みがある企業は55.7%であった。また日経「スマートワーク経営」調査結果によると、自発的な異動を実現するための「社内公募/社内FA制度」がある企業は62.8%であり、18年時点より14.1ポイント上昇した(参照:2024年11月14日日本経済新聞)。

  4. 堀内泰利, 岡田昌毅「キャリア自律が組織コミットメントに与える影響」『産業・組織心理学研究』第23巻, 2009年/佐藤博樹「積極的職務行動とキャリア自律」『生協総研レポート』88巻,2018年/パーソル総合研究所「従業員のキャリア自律に関する定量調査」2021年 など

  5. 独立行政法人労働政策研究・研修機構報告書(2017)によると、キャリアの専門家などに相談してキャリアや職業生活は変化したかという設問に「変化した」と回答したのは、65.1%であった。具体的にどのように変化したかという点については「将来のことがはっきりした」(40.0%)が最も多かった。/「労働政策研究No.191キャリアコンサルティングの実態、効果および潜在的ニーズ―相談経験者1,117名等の調査結果より」

  6. 厚生労働省「令和5年度能力開発基本調査」2023年によると、正社員は「費用を負担することなく、社内で利用できるのであれば、利用したい」が32.6%、「費用を負担することなく、社外で利用できるのであれば、利用したい」が25.4%、「社外で、費用を負担してでも利用したい」が 1.7%と、合わせて 59.7%がキャリアコンサルタントによる相談を利用したいとしている。具体的に相談したい内容については、「将来のキャリアプラン」(56.9%)が最も多かった。
  7. 労働政策研究・研修機構(2020年)

【注釈以外の参考文献】

株式会社 第一生命経済研究所

第一生命経済研究所は、第一生命グループの総合シンクタンクです。社名に冠する経済分野にとどまらず、金融・財政、保険・年金・社会保障から、家族・就労・消費などライフデザインに関することまで、さまざまな分野を研究領域としています。生保系シンクタンクとしての特長を生かし、長期的な視野に立って、お客さまの今と未来に寄り添う羅針盤となるよう情報発信を行っています。
https://www.dlri.co.jp

HR調査・研究 厳選記事

HR調査・研究 厳選記事

? このジャンルの新コンテンツ掲載時に通知します このジャンルの新コンテンツ掲載時に通知します
フォロー

無料会員登録

フォローすると、対象ジャンルの新着記事が掲載された際に通知します。
利用には『日本の人事部』への会員登録が必要です。

メールアドレスのみの登録で、15秒で完了します。

人事の専門メディアやシンクタンクが発表した調査・研究の中から、いま人事として知っておきたい情報をピックアップしました。

この記事ジャンル キャリア開発研修

無料会員登録

会員登録すると、興味のあるコンテンツをお届けしやすくなります。
メールアドレスのみの登録で、15秒で完了します。

この記事を既読にする

無料会員登録

「既読機能」のご利用には『日本の人事部』会員への登録が必要です。
メールアドレスのみの登録で、15秒で完了します。

この記事をオススメ

あなたのオススメとして、ニックネーム、業種、所在地(都道府県まで)が公開されます。
※コメント入力は任意です。

オススメ
コメント
(任意)
■コメント投稿に関するご注意
以下に定めるご注意をご承諾の上、コメントを投稿してください。

1.
記載されている記事や回答の内容に関係のないコメントは、ご遠慮ください。
2.
以下の内容を含んだコメントの投稿を禁止します。『日本の人事部』事務局が禁止行為に該当すると判断した場合には、投稿者に通知することなく、コメントを削除または修正することもございます。予めご了承ください。
・第三者の名誉または信用を毀損するもの
・第三者を誹謗・中傷するもの
・第三者の名誉、信用、プライバシーを侵害するもの
・第三者の著作権等の知的財産権を侵害するもの
・第三者の権利または利益を侵害するもの
・公序良俗に反する内容を含んだもの
・政治活動、宗教、思想に関する記載があるもの
・法令に違反する、または違反のおそれがある記載のあるもの
・差別につながるもの
・事実に反する情報を記載するもの
・営利目的の宣伝・広告を含んだもの
・その他、内容が不適切と判断されるもの
3.
氏名・住所・電話番号などの個人情報を記載すると、トラブルに繋がる可能性があります。絶対に記載することのないよう、ご注意ください。
4.
掲載されたコメントにより発生したトラブルに関しては、いかなる場合も『日本の人事部』事務局では責任を負いかねますので、ご了承ください。
5.
ご投稿いただきましたコメントは、『日本の人事部』や、当社が運営するウェブサイト、発行物(メールマガジン、印刷物)などに転載させていただく場合がございますので、ご了承下さい。

コメントを書く

あなたのオススメとして、ニックネーム、業種、所在地(都道府県まで)が公開されます。

コメント
■コメント投稿に関するご注意
以下に定めるご注意をご承諾の上、コメントを投稿してください。

1.
記載されている記事や回答の内容に関係のないコメントは、ご遠慮ください。
2.
以下の内容を含んだコメントの投稿を禁止します。『日本の人事部』事務局が禁止行為に該当すると判断した場合には、投稿者に通知することなく、コメントを削除または修正することもございます。予めご了承ください。
・第三者の名誉または信用を毀損するもの
・第三者を誹謗・中傷するもの
・第三者の名誉、信用、プライバシーを侵害するもの
・第三者の著作権等の知的財産権を侵害するもの
・第三者の権利または利益を侵害するもの
・公序良俗に反する内容を含んだもの
・政治活動、宗教、思想に関する記載があるもの
・法令に違反する、または違反のおそれがある記載のあるもの
・差別につながるもの
・事実に反する情報を記載するもの
・営利目的の宣伝・広告を含んだもの
・その他、内容が不適切と判断されるもの
3.
氏名・住所・電話番号などの個人情報を記載すると、トラブルに繋がる可能性があります。絶対に記載することのないよう、ご注意ください。
4.
掲載されたコメントにより発生したトラブルに関しては、いかなる場合も『日本の人事部』事務局では責任を負いかねますので、ご了承ください。
5.
ご投稿いただきましたコメントは、『日本の人事部』や、当社が運営するウェブサイト、発行物(メールマガジン、印刷物)などに転載させていただく場合がございますので、ご了承下さい。

問題を報告

ご報告ありがとうございます。
『日本の人事部』事務局にて内容を確認させていただきます。

報告内容
問題点

【ご注意】
・このご報告に、事務局から個別にご返信することはありません。
・ご報告いただいた内容が、弊社以外の第三者に伝わることはありません。
・ご報告をいただいても、対応を行わない場合もございます。

HR調査・研究 厳選記事のバックナンバー

関連する記事

【用語解説 人事辞典】
キャリア
キャリア自律
キャリア・オーナーシップ
パラレルキャリア