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人事の解説と実例Q&A 掲載日:2021/10/22

自然災害時の休業手当について

近年、これまでに経験のない自然災害に見舞われるケースが相次いでいます。今後もそのリスクがないとは言い切れず、各地で甚大な被害が起こる可能性は十分に考えられます。災害に遭い、企業が休業せざるを得ない状況となった場合の休業手当について解説していきます。

1. 休業手当での「使用者の責に帰すべき事由」が論点

労働基準法第26条において、使用者の責に帰すべき事由によって休業した場合、休業期間中、労働者に対して平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならないと定められています。この手当を「休業手当」といいます。

自然災害においては、「使用者の責に帰すべき事由」が主な論点となります。「使用者の責に帰すべき事由」とは、労働者を雇用する立場である企業の直接的な原因によって、休業となった場合を指します。自然災害など不可抗力が理由で休業せざるを得ない場合や、勤務可能であるにもかかわらず労働者が自主的に欠勤、早退をした場合などは、会社が休業手当を支払う義務は生じません。

不可抗力とは、大きくは「会社の外部による原因」「最善を尽くしても避けられない原因」の双方を満たすものとされています。なかには「使用者の責に帰すべき事由」であるかどうかの判断が難しいケースもあります。

「使用者の責に帰すべき事由」と判断される例

例えば、地震によって事業所の所在地域で計画停電が実施される場合、実施時間帯以外の休業は、労働基準法第26条による使用者の責に帰すべき事由と考えられます。また、災害で事業所の施設や建物などが被害に遭っていない状況で休業する場合も、使用者の責に帰すべき事由と考えられます。

就業規則や労働協約などに基づき、不可抗力による休業や使用者の責に帰すべき事由による休業中もその時間の賃金や手当などを支給するとしている企業の場合、支払わなければ労働基準法第24条に違反すると考えられます。

民法第536条2項

(債務者の危険負担等)
第五百三十六条 当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。
2 債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。この場合において、債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。

民法の規定に従うならば、会社側に原因があって労働者が休業した場合、民法第536条2項に基づき賃金を100%支給しなければなりません。就業規則などには「民法536条2項の適用を排除して平均賃金の100分の60を支払う」旨を記載するべきですが、就業規則の合理性や合意の効力について問題視される可能性もあります。

労働基準法の「100分の60以上」と民法の「100%」の競合については、意見が分かれる状態です。法的リスクを低くするのであれば、賃金の100%を支払うことが推奨されます。

労働基準法第25条「非常時払い」

(非常時払)
第二十五条 使用者は、労働者が出産、疾病、災害その他厚生労働省令で定める非常の場合の費用に充てるために請求する場合においては、支払期日前であつても、既往の労働に対する賃金を支払わなければならない。

非常のための金銭が必要な従業員から賃金の支払いを請求された場合、会社は給料の支払日を繰り上げて、労働者がすでに働いた分の給与を支払わなければなりません。この第25条の疾病・災害の中には、業務上のけがや病気、業務外の傷病をはじめ、洪水・地震といった自然災害も含まれるとされています。

※非常時払いはすでに働いた労働に対して支払うものであり、賃金の支払日前に、労働者が会社から賃金の相当額を借り入れる「前借り」とはその意味合いが大きく異なります。

2. 会社・労働者間でのトラブルを未然に防ぐには

自然災害はいつ起こるのか、予測ができません。突然の災害で、労働者が最も不安に感じるのは経済的な問題です。労働者を不安にさせることのないよう、事前のルール決めや早期の判断が求められます。

不可抗力の問題で事業が継続できなかった場合

休業手当は必要ありませんが、支払わなかった場合、従業員の生活が困窮する可能性があります。従業員から給与の請求があれば労働基準法第25条に基づいて、今までの分を給料日前に支払います。

早期の企業判断で労働者に休業の旨を伝える

企業側の判断で休業とする場合、企業には休業手当の支払いの義務が発生します。不利益が生じると想定される中で無理な対応をすると、労働者との関係性を悪化させる可能性もあるため、注意が必要です。

雇用調整助成金の制度は、使用者の責に帰すべき事由であるかどうかは関係なく、活用することができます。大きなトラブルになる前に善処することが重要です。

有給奨励日・振替休日などで対応

台風による影響など、事前に休業すべき期間がある程度わかっていて、しかも数日間だけの場合、全社員の有給奨励日、振替休日などに設定する方法もあります。振替休日の場合は別途稼働日を設けるなど、臨機応変に対処できる方法といえます。

平時から在宅勤務が可能な環境づくりをする

店舗内でのサービスや工場での作業がないのであれば、平時から在宅勤務、テレワークが可能な環境を整えておくことも重要です。例えばオフィスでの作業が多い事務職、エンジニアやプログラマーなどのIT系職種、カスタマーサポート、営業職などは、テレワークでも対応が可能な職種です。大規模な災害でない限り、事業を継続することが可能です。

3. 休業手当の助成制度「雇用調整助成金」について

自然災害に見舞われ、経済的な事情で事業を縮小させる企業は少なくありません。こうした場合に活用できるのが、雇用調整助成金です。

雇用調整助成金は、経済上の事由によって事業活動を縮小せざるを得ない事業主が対象となります。売上高または生産量などが最近3ヵ月で10%以上減少しており、その事業主が雇用保険適用事業主であることが条件です。助成対象は被保険者になります。

助成率は、大企業で2分の1、中小企業は3分の2で、日額上限額は8,265円となっています。支給限度日数は1年で100日、3年で150日が限度など、支給の対象について具体的な要件が決まっています。

2020年4月1日~2021年11月30日は「新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主(全業種)」に対して全国で特例措置を実施しています。特例により通常の雇用調整助成金よりも金額が上乗せされているなどの違いがあります。

労働者の不利益を回避する配慮が必要

自然災害における休業でも、企業側が休業手当を支払う必要があるかどうかは状況によって異なります。労働者の不利益を回避するため、企業には配慮が求められます。支援制度も活用することを前提に、状況に応じて最適な対応ができるよう、準備しておくことが重要です。

この記事ジャンル 労災

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