「新卒3年未満で正社員を退職した若年層の意識調査」を実施
7割強が“コミュニケーションの悩み”で退職 職場で最も悩んだ相手は同年代である20代が6割で最多
同年代との悩みは“業務以外のコミュニケーション不足”が1位に
人材総合サービスを全国で展開する株式会社スタッフサービス・ホールディングスは、高校・高専卒、短大卒、専門学校卒、大卒、大学院卒の25歳までを対象に、「新卒3年未満で正社員を退職した若年層の意識調査」を実施しました。本調査は、2025年7月22日に公開した同調査の第2弾で、今回は新卒3年未満で正社員を退職した若年層が抱える「コミュニケーションの悩み」に焦点を当てています。
現在、深刻な人手不足が続く中、新卒採用を重視する会社が増えています。一方で、ミスマッチが原因で、入社から3年で約3割が退職してしまうという、いわゆる「3年3割問題」もいまだ継続しています。本調査では、新卒で正社員として入社した会社を早期離職した若年層の価値観や退職理由を探ることで、若年層の初職のミスマッチを減らし、個人が力を発揮できる職場環境づくりのヒントにしていただくことを目的にしています。
スタッフサービスグループは経営理念「チャンスを。」のもと、一人ひとりの価値観や意識の変化を捉え、“より良い働く”の実現を目指します。
<調査結果のポイント>
●同じ会社で長く活躍するためには、「職場でのコミュニケーションは重要」と8割強が回答。
●7割強が新卒で就職した会社でコミュニケーションに悩んだ経験あり。2割強は「常にコミュニケーションに悩んでいた」と回答。
●コミュニケーションで最も悩んだ相手は、同年代である20代が6割で最多。
●具体的なコミュニケーションの悩みは全体では「とっつきにくい雰囲気があった・嫌われているように感じた」が1位。同年代(20代以下)との悩みでは「業務連絡以外のコミュニケーションの場がなく、人間関係を築きにくかった」が1位となった。
●「退職するきっかけは職場におけるコミュニケーションの悩み」と7割強が回答。
●新卒社員が職場のコミュニケーションが原因で退職しないようにするにはどうしたらよいかの対策を尋ねた質問で、最も多かったのは「新入社員が悩みを抱えていることに気付ける仕組みをつくる」で、次いで「仕事量をコントロールして心や時間に余裕が出るようにする」、「メンター制度など、新入社員が悩みを打ち明けられる場や制度をつくる」が続いた。
調査結果① 職場のコミュニケーションの重要性
●8割強が職場のコミュニケーションは重要と回答。
同じ会社で長く活躍するために、職場でのコミュニケーションの重要性について尋ねたところ、「とても重要だと思う」が47.5%、「どちらかというと重要だと思う」が35.8%となり、全体の83.3%が、職場でのコミュニケーションを“重要”と感じている結果となった。
調査結果② コミュニケーションで悩んだ経験
●7割強が新卒で就職した会社でコミュニケーションに悩んだ経験あり。
新卒で就職した会社でのコミュニケーションに悩んだ経験について尋ねたところ、「常にコミュニケーションで悩んでいた」が25.1%、「時々コミュニケーションで悩むことがあった」が46.5%となり、全体の71.6%が職場でのコミュニケーションに悩んだ経験があるという結果となった。
調査結果③ コミュニケーションで悩んだ相手の年代
●6割が同年代(20代以下)とのコミュニケーションに悩んでいる。
新卒で就職した会社で、コミュニケーションに最も悩んだ相手の「年代」について尋ねたところ、「20代以下」と回答した人が60.0%で最も多い結果となった。さらに、同年代(20代以下)とのコミュニケーションに悩んだ人のうち、入社から1年未満で退職した人は54.4%となった。30代以上とのコミュニケーションに悩んだ人と比較すると13.8ptの差がつき、同年代(20代)との関係に悩んだ人の方が、より早い段階で退職する傾向がうかがえる。
調査結果④ 具体的なコミュニケーションの悩み
【年代別回答】
●同年代(20代以下)との悩み1位は「コミュニケーション不足」 3人に1人が回答。
コミュニケーションの悩みについて具体的に尋ねたところ、全体では、1位は「とっつきにくい雰囲気があった・嫌われているように感じた」(35.8%)で、2位(同率)は「その相手に対する苦手意識があった」(29.3%)「威圧的・怒っているような態度で接してきた」(29.3 %)となった。
コミュニケーションで悩んだ相手の年代別に見ると、同年代(20代以下)では「業務連絡以外のコミュニケーションの場がなく、人間関係を築きにくかった」(32.7%)が1位。30代以上では「とっつきにくい雰囲気があった・嫌われているように感じた」(45.5%)が1位となった。特に同年代(20代以下)ではコミュニケーションの不足が悩みにつながっていることがうかがえる。
【退職時期別回答】
●「とっつきにくさ」は全期間で上位に、「業務以外のコミュニケーション不足」は短期退職者で顕著。
具体的なコミュニケーションの悩みを退職時期別に見ると、全体で1位となった「とっつきにくい雰囲気があった・嫌われているように感じた」はどの退職時期でも30%を超え、1位または2位となった。「業務連絡以外のコミュニケーションの場がなく、人間関係を築きにくかった」は3ヶ月未満、半年以上~1年未満では1位となり、また3ヶ月以上~半年未満、1年以上~2年未満でも3割近い高い数値になっているが「2年以上~3年未満」ではランク外となった。
調査結果⑤ 最も退職につながったコミュニケーションの悩み
【全体回答】
●7割強がコミュニケーションの悩みを理由に退職。
コミュニケーションの悩みの中で、最も退職するきっかけにつながった内容について尋ねたところ、 「とっつきにくい雰囲気があった・嫌われているように感じた」と「威圧的・怒っているような態度で接してきた」が11.5%となり、同率で1位となった。
「退職するきっかけはコミュニケーションの悩みではない」と回答した人が26.3%にとどまったことから、7割強(73.7%)が何らかのコミュニケーション上の問題で退職していることがわかった。
【年代別回答】
●20代以下は「とっつきにくさ」、「交流不足」、30代以上は「威圧的態度」が最多。
退職につながったコミュニケーションの悩みについて、悩んだ相手の年代別に見ると、同年代(20代以下)では「とっつきにくい雰囲気があった・嫌われているように感じた」、「業務連絡以外のコミュニケーションの場がなく、人間関係を築きにくかった」が11.6%となり、同率で1位。30代以上では「威圧的・怒っているような態度で接してきた」は17.8%で1位となった。
調査結果⑥ コミュニケーションが原因で退職をしないための対策
【全体回答】
●新卒離職防止の対策の1位は「悩みに気付ける仕組みをつくる」と3割強が回答。
新卒で就職した社員が職場のコミュニケーションを原因に退職しないために必要なことを尋ねたところ、1位は「新卒社員が悩みを抱えていることに気付ける仕組みをつくる」(35.6%)。2位は「仕事量をコントロールして心や時間に余裕が出るようにする」(30.9%)、3位は「メンター制度など、新卒社員が悩みを打ち明けられる場や制度をつくる」(27.1%)となった。
【年代別回答】
●20代以下は「気付ける仕組み」、30代以上は「仕事量の調整」を重視。
悩んだ相手の年代別に見ると、同年代(20代以下)は「新卒社員が悩みを抱えていることに気付ける仕組みをつくる」が1位。30代以上は「仕事量をコントロールして心や時間に余裕が出るようにする」が1位となり、同年代(20代以下)と比較して、18.8ptの差がついた。
【退職時期別回答】
●半年未満は「相談の場や制度」、半年~3年未満は「仕事量調整」が2位に。
コミュニケーションが原因で退職しないようにする対策案について、新卒で就職した会社を退職した時期別に見ると、1位はどの時期も共通して「新卒社員が悩みを抱えていることに気付ける仕組みをつくる」となった。一方で、対策案の2位は退職時期によって違いが見られ、半年未満で退職した人は「メンター制度など、新卒社員が悩みを打ち明けられる場や制度をつくる」となり、半年~3年未満で退職した人では「仕事量をコントロールして心や時間に余裕が出るようにする」が2位となった。
総括【25歳以下の若年層の早期離職を防ぐ鍵は「同年代間のコミュニケーションに関する理解と支援」】
深刻な人手不足が続く中、多くの企業が人材の確保と育成の重要性を強く感じています。特に、新卒採用をはじめとする若手人材の獲得と定着は、企業の持続的な成長を左右する重要な課題です。一方で、新卒入社者の早期離職は依然として社会的な関心を集めており、 25歳以下の若年層が職場に抱く価値観や期待を正しく理解することが求められています。
本調査は、7月22日に公開した新卒で就職した会社を3年未満で退職した若年層の実態調査の第2弾として、「コミュニケーションの悩み」に焦点を当てて分析しました。調査の結果、7割強が職場でのコミュニケーションに悩んだ経験があり、25.1%は「常に悩んでいた」と回答しています。さらに、悩みの相手は上司や先輩といった年の離れた相手ではなく、同年代(20代以下)が6割を占めていることもわかりました。また、8割以上が職場でのコミュニケーションを重要と考えていることから、コミュニケーションの課題にどう向き合うかが若年層の職場定着において大きな影響を与えると考えられます。
企業側は若年層と他世代とのコミュニケーションギャップへの着目だけでなく、若年層が抱える「同年代同士のコミュニケーションの難しさ」に気付くことが必要だと考えられます。若年層はSNSをよく活用していることから、チャットやテキストによるコミュニケーションには慣れているものの、リアルな場で自発的に関係を築くことに不慣れなケースも多いことが想定され、「コミュニケーションを取りにくい」と感じる要因の一つとなっている可能性があります。若手社員が安心して自らの力を発揮できる職場環境の実現に向けて、企業は若年層が悩みを抱えやすい同年代同士の関係づくりについて、より一層交流の場を設けたり、きめ細やかなサポートをおこなうことが求められそうです。
<調査概要>
■調査方法:インターネット調査
■調査期間:2025年6月10日(火)~16日(月)
■調査対象:
・全国在住18歳~25歳男女
・学歴:高校・高専卒、短大・専門学校卒、大卒、その他(大学院卒など)
・新卒で正社員として就職した会社を3年未満で離職経験がある人
・転職経験があること(2社目が「会社経営」「自営業」「スポットワーク(スキマバイト)は除く、無職は除く」
・現在、有職か無職かは問わない
■サンプルサイズ:【全体】706人
◆本調査の詳細は、こちらをご覧ください。
(株式会社スタッフサービス・ホールディングス/2025年9月10日発表・同社プレスリリースより転載)
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