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となりの人事部人事制度掲載日:2016/09/02

KDDI株式会社:
なでしこ銘柄もグローバル化も「信頼ある人事」から
「現地現物」で変革を加速するKDDIの「アクティブHR」とは(後編)[前編を読む]

KDDI株式会社 理事 コーポレート統括本部 総務・人事本部 副本部長

白岩 徹氏

KDDI株式会社 白岩徹さん

KDDIの人事部門は、社員意識調査を主管する立場にありながら、以前はその調査結果で最下位に近いというあり様でした(前編参照)。「旧態依然とした、変われない人事部」を変えたのは、3年前に人事未経験で人事部長に着任した白岩徹さんです。自ら率先して現場へ出向き、自分の思いと言葉で相手と直に向き合う姿勢を、部のメンバーにも徹底。経営や事業部門からの信頼を強化し、同社が直面するさまざまな課題への取り組みを加速させていったのです。インタビューの後編では、女性活躍推進や働き方改革、グローバル人材の育成など、個別の人事施策についてうかがいました。

Profile
白岩 徹氏
白岩 徹氏
KDDI株式会社 理事 コーポレート統括本部 総務・人事本部 副本部長

しろいわ・とおる●1991年に第二電電株式会社(DDI、現KDDI)に入社。営業、カスタマーサービス部門を経て、2013年にコーポレート統括本部 総務・人事本部 人事部長に就任。2016年から現職。

フィロソフィ活動を再起動、地道な勉強会で“血肉化”図る

KDDIでは、白岩さんが人事部長に就任された2013年から、新しく「KDDIフィロソフィ」が導入されました。その経緯や背景についてお聞かせください。

「KDDIフィロソフィ」は、私たちKDDI社員が持つべき考え方や価値観、行動規範を明文化したものですが、すべてゼロから創り出したわけではありません。当社にはもともと、DDI、KDD、IDOの三社が合併した2000年に、DDIのフィロソフィに基づいて、もっと言えばDDIの親会社である京セラの創業者、稲盛和夫さんのマインドをベースにして作ったフィロソフィがありました。ところがDDI色が強すぎて、ほかの二社出身の社員にはなじまなかったのか、10年経ってもほとんど浸透しなかったんです。

このままではダメだと、経営が危機感を募らせたきっかけの一つが、実はあの日本航空(JAL)の経営再建でした。ご存じのとおり、JAL再建を託されたのは稲盛さんです。稲盛さんは「自分が自信を持って進められるのはアメーバ経営とフィロソフィ活動の二つしかない」といって、JALにもフィロソフィを持ち込まれました。その効果は絶大で、課題が多かったJALが不死鳥のごとくよみがえったわけですが、ひるがえって当社はどうかというと、できていない。そこで、従来のものを踏まえてフィロソフィをつくり直し、新たに浸透・定着を図っていこうということになったのです。2012年10月から、ボードのメンバーと各事業部門から選ばれた私を含む部長7人が毎週1回集まって話し合い、議論百出の末に、現行のフィロソフィを完成させました。

ひと口にフィロソフィ活動といっても、出身母体が異なる2万人以上の社員に向けてそれを行うとなると、策定するのも、浸透を図るのも容易ではありませんね。

KDDI株式会社 白岩徹さん Photo

フィロソフィづくりに参加したときの私はCS企画部長だったので、人事としての仕事ではないのですが、確かに大変でしたし、大変だった分、思い入れも強いです。こういう活動に長けた企業のフィロソフィなども参考にしつつ、侃々諤々(かんかんがくがく)と意見を戦わせて練り上げたのが今の38項目。その中の一つに、「365日、守るのが使命」というフレーズがありますが、これは震災の経験も踏まえ、社会インフラを支える通信会社ならではの使命感を喚起するために盛り込みました。また、JALのフィロソフィに触発され、ぜひ入れたいと思ったのが「一人ひとりがKDDI」。「一人ひとりがJAL」という表現がすごく新鮮だったんです。

どれもシンプルで、一見当たり前のような内容ですが、これを組織に浸透させるのは非常に難しい。だから、導入して以降、フィロソフィの勉強会をどんどん増やしています。現在のところ、本部長以上は毎月1回、それ以外の社員でも年に3回、3時間の勉強会に必ず参加しなければなりません。

勉強会ではどういうことが行われるのでしょうか。

自分は仕事の中でこういうふうにフィロソフィを実践してきたとか、失敗やミスを通じてフィロソフィの重要性を再認識したとか、フィロソフィにまつわる自らの経験談やエピソードを、毎回3人が参加者の前でプレゼンテーションし、その内容について全員でディスカッションするというのが勉強会の主な内容です。そもそもフィロソフィとは、文言を唱和し、全員がそらんじられるようになったら、浸透した、定着したと言えるかというと、そういうものではありません。大切なことは、それをいかに実際の仕事に落とし込み、血肉化できるか。日頃からフィロソフィにかなう判断や行動が自然とできるようになるためには、こういう勉強会を地道に積み重ねていくしかないと思っています。最近は、フィロソフィの勉強会があるからといって、社員が何か特別に構えたり、負担に感じたりするようなムードはほとんどなくなってきました。いまや“あたりまえ”の活動として、会社での日常に組み込まれています。

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この記事ジャンル 女性活躍推進

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