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タナケン教授の「プロティアン・キャリア」ゼミ【第58回】
ニュー・キャリア・スタディーズ(New Career Studies)の射程

法政大学 キャリアデザイン学部 教授

田中 研之輔さん

タナケン教授の「プロティアン・キャリア」ゼミ

令和という新時代。かつてないほどに変化が求められる時代に、私たちはどこに向かって、いかに歩んでいけばいいのでしょうか。これからの<私>のキャリア形成と、人事という仕事で関わる<同僚たち>へのキャリア開発支援。このゼミでは、プロティアン・キャリア論をベースに、人生100年時代の「生き方と働き方」をインタラクティブなダイアローグを通じて、戦略的にデザインしていきます。

タナケン教授があなたの悩みに答えます!

プロティアンへの注目

プロティアン・キャリアのニーズが高まっています。本ゼミでも解説してきたように、プロティアンとは、ギリシア神話の海の神プロテウス(Proteus)をメタファーに、いろんな姿に適合していくことができるキャリア論です。一つの組織内で長年同じ業務に携わるビジネスパーソンは、次の三つの理由から、今後もさらに減少していくと私は推察しています。

一つ目は構造的な理由で、私たちの想像を超えるスピードで進むテクノロジカル・イノベーションに伴う、業務や組織の形態の変化です。今、皆さんは、生成AIを用いて業務改善に取り組んでいる真っ只中なのではないでしょうか? AIに代替される業務は、ほぼ全テーマにあてあまります。例えば、資料整理や作成、多言語への翻訳、経理業務はすでに大幅に圧縮されています。企業現場では、これまでオペレーション業務に携わってきた方々に余剰時間が生まれ、職種のシフトが求められるようになっていきます。現在の業務に、今とは異なる仕事を生み出していくのか、異なる業務に移動するのか。どちらにしても、異なる姿への適合=プロティアン・キャリアが欠かせません。

二つ目は主体的な理由で、そもそも、私たちは長年同じ業務に携わると、現状維持のパフォーマンスを発揮することはできても、そこからの生産性や競争力の抜本的な改善を見出せない状況が続き、キャリアプラトー(停滞感)に陥ってしまう、ということです。ミドルシニアのキャリアプラトーは、企業が抱える大きな問題の一つです。そうした状態から抜け出すには、社内公募制度、社内インターン、副業・兼業、リスキリングなど、新しい行動に自ら挑戦し、現在のコンフォートゾーンから抜け出していくチャレンジが欠かせません。この点からもプロティアン・キャリアに大きな期待が寄せられています。

この二つを出発点にして、今一度、プロティアン・キャリアの理論的意義を解説していきます。キャリア理論においてプロティアン・キャリアは、ニュー・キャリア・スタディーズとして整理されています。

ニュー・キャリア・スタディーズとは?

ニュー・キャリア・スタディーズは、従来型のキャリア論が抱える限界を乗り越える形で進化してきました。これまでのキャリア論は、組織にキャリアを預け、ポジションは組織が決めていくことを前提としていました。成功の基準に関しても、組織の判断が重視され、社員一人ひとりは、組織の中での垂直的な昇進や昇格を目指していくことが美徳とされていました。その際に、キャリアサクセス(成功)のモデルとなっていたのが、一つの職務を全うしていく単線的なキャリアです。

「従来のキャリア」と「プロティアン・キャリア」に関する図表

ここで忘れてはならないのは、組織が社員を定期的に部署移動させるジョブ・ローテーションとその現場で学んでいくOJT(=On the Job Training)が日本型雇用では多くの企業で導入されていた点です。つまり、この国における伝統的なキャリアは、厳密な意味では単線的キャリアではなく、複線型キャリアだったのです。

ただし、この複線型キャリアは、社員個人が自ら選んだキャリアパスではなく、あくまでも組織の意向に基づくものであり、さらに終身雇用と解雇規制に守られる中で、いかなるパフォーマンスであっても、長年、働き続けることのできた、言うなれば、「ビニールハウス(=穏やかな環境)キャリア」だったのです。

組織というビニールハウスに守られたキャリアは、先に述べたように、構造的要因としてのテクノロジカルシフトと主体的な要因としてのキャリアプラトーの苦境に今、立たされています。 このような状況で注目されるようになったのが、複数の組織や職務を経験しながらダイナミック(=動的)にキャリアを移行していく働き方です。

このダイナミック(=動的)なキャリアを形成するのが、1)プロティアン・キャリア(Protean Career)と、2)境界を越えるキャリア(Boundaryless Career)です。このプロティアン・キャリアとバウンダリーレス・キャリアを中心に1990年以降に発展してきたのが、ニュー・キャリア・スタディーズなのです。

プロティアン・キャリアは、セルフマネジメント、柔軟性、継続的な学習を強調し、変化する環境に適応する能力を高めていきます。個人が自分のキャリアの主導権を握り、自己の価値観や目標に従ってキャリアを構築することを促進します。
 
バウンダリーレス・キャリアは、マイケル・アーサー(Michael B. Arthur)教授によって提唱されました。一つの組織内で進行するのではなく、複数の組織や産業を横断してキャリア形成することを前提としています。移動性、ネットワーキング、スキルの移転可能性を強調し、グローバルな職場環境におけるキャリアの柔軟性と多様性を反映しています。個人が異なる組織や業界での経験を積みながらキャリアを発展させることを奨励します。社外での副業経験や地域での活動などの越境行動も、バウンダリーレス・キャリアです。

プロティアン・キャリアとバウンダリーレス・キャリアは、従来の安定した組織内でのキャリアモデルに対する代替案を提示し、個人が自己の価値観やライフスタイルに基づいてキャリアを形成する新しい方法を提示します。これらの新たなキャリア理論は、現代の動的で不確実な職業環境において、個人が自己のキャリアを柔軟かつ自律的にマネジメントするための枠組みを構築しているのです。

このニュー・キャリア・スタディーズの理論的知見をより実践的な行動様式にフィットさせた言葉がキャリア・オーナーシップです(本ゼミでは、第54回 第51回 第44回 で取り上げてきました)

ニュー・キャリア・スタディーズの発展

近年、ニュー・キャリア・スタディーズは、さらに進化しています。注目に値するのは、(1)キャリア構築理論(Career Construction Theory)、(2)キャリアの適応性と柔軟性(Career Adaptability and Flexibility)、(3)社会的影響と多様性(Social Influence and Diversity)です。

(1)キャリア構築理論(Career Construction Theory)

マーク・サビカス(Mark L. Savickas)教授が提唱するのがキャリア構築理論です。キャリア構築理論では、個人が自己のキャリアを物語的に構築する過程を重視します。個人のライフテーマやアイデンティティがキャリア選択と発展にどのように影響するかを探求し、キャリアカウンセリングにおいて、クライアントが自己理解を深め、自分の物語を通じてキャリアの目標と行動を明確にする手助けをします。キャリア構築理論は、生涯学習を通じてキャリアを継続的に発展させる重要性を強調します。人生100年時代の持続的なキャリア形成に役立ち、企業現場では1on1などの機会に実践的に導入していくことが可能です。

(2)キャリアの適応性と柔軟性(Career Adaptability and Flexibility)

アーサー・ギンズバーグ(Arthur Ginsberg)教授が提唱するキャリア・アダプタビリティは、個人が変化する職業環境に適応し、効果的にキャリアをマネジメントするための能力を強調します。この理論は、柔軟性、回復力、問題解決能力を重要視し、個人がキャリアの中で直面する変化や課題に対処するためのスキルを強化します。動的なキャリアを形成する上で、アダプタビリティは重要なコンピテンシーです。プロティアン・キャリアで重視しているアイデンティティとアダプタビリティを継承して、さらに適合性や柔軟性に焦点があてられています。

(3)社会的影響と多様性(Social Influence and Diversity)

ニュー・キャリア・スタディーズでは、キャリアが社会的な影響を受けることを認識し、階級、性別、人種、教育などの要因がキャリア発展に与える影響を考慮します。この視点は、キャリアが個人だけでなく、社会的な文脈や制度によっても形作られることを強調します。プロティアン・キャリアが関係論的アプローチ(relational approach)を軸にしている点も、キャリアが社会的構築物であるゆえんです。

さらに、異なるバックグラウンドを持つ人々が活躍できる職場環境を促進し、キャリアの選択肢を広げることが重視されます。キャリアの多様性と包摂性をニュー・キャリア・スタディーズは重視し、より公平で包括的なキャリア開発を目指します。

ニュー・キャリア・スタディーズは、従来のキャリア理論の限界を超えて、現代の動的で不確実な職業環境に対応するための新しい視点とアプローチを提供しています。プロティアン・キャリア、バウンダリーレス・キャリア、キャリア構築理論、キャリアの適応性と柔軟性、社会的影響と多様性など、多岐にわたる要素を統合し、個人が自己のキャリアを柔軟かつ自律的にマネジメントするための枠組みの構築に役立ちます。これにより、個人と組織の双方が変化する環境に適応し、成功を収めるための基盤を築くことが可能になります。

これからもキャリア開発の最先端の知見を皆さまに共有していくので、一緒にキャリア・リスキリングしていきましょう!

田中 研之輔氏
田中 研之輔氏
法政大学キャリアデザイン学部教授/一般社団法人プロティアン・キャリア協会 代表理事/明光キャリアアカデミー学長

たなか・けんのすけ/博士:社会学。一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。専門はキャリア論、組織論。UC. Berkeley元客員研究員、University of Melbourne元客員研究員、日本学術振興会特別研究員SPD 東京大学。社外取締役・社外顧問を31社歴任。個人投資家。著書27冊。『辞める研修辞めない研修–新人育成の組織エスノグラフィー』『先生は教えてくれない就活のトリセツ』『ルポ不法移民』『丼家の経営』『都市に刻む軌跡』『走らないトヨタ』、訳書に『ボディ&ソウル』『ストリートのコード』など。ソフトバンクアカデミア外部一期生。専門社会調査士。『プロティアン―70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本論』、『ビジトレ−今日から始めるミドルシニアのキャリア開発』、『プロティアン教育』『新しいキャリアの見つけ方』、最新刊『今すぐ転職を考えてない人のためのキャリア戦略』など。日経ビジネス、日経STYLEほかメディア多数連載。プログラム開発・新規事業開発を得意とする。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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この記事ジャンル キャリア開発研修

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【用語解説 人事辞典】
キャリア・オーナーシップ
キャリア・アダプタビリティ
プロティアン・キャリア