企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

【ヨミ】プロティアンキャリア プロティアン・キャリア

「プロティアン・キャリア」とは、環境の変化に応じて自分自身も変化させていく、柔軟なキャリア形成のことをいいます。「プロティアン(Protean)」はギリシア神話に出てくる、思いのままに姿を変えられる神プロテウスが語源となっており、「変幻自在な」「多方面の」と訳されます。組織内でのステップアップに重きを置いた従来のキャリアにかわり、地位や給与ではなく、自己成長や気付きといった心理的成功を目指す。アメリカの心理学者ダグラス・ホールによって提唱されたキャリア理論です。
(2018/1/24掲載)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

プロティアン・キャリアのケーススタディ

成功指標が組織内評価から自己評価に
変化が激しい時代の、新しいキャリア理論

昨今の若手社員は会社への帰属意識が低いことがわかるデータがあります。ソニー生命保険が2017年に社会人1~2年目の男女を対象に行った調査によると、「最初に就職した会社で、どのくらいの期間働きたいですか?」という質問に対して「定年まで働きたい」と答えた人は、社会人1年目は33.0%で、2年目になると17.4%まで減少。新社会人の約3割は長く働くつもりで入社していますが、1年後には約半数がキャリアに対する考え方を改めているのです。

また、日本生産性本部が行った2016年度の新入社員秋の意識調査では「条件のよい会社があればさっさと移るほうが得である」と考える新入社員が54.6%と過去最高をマーク。一方、「会社の親睦行事に参加したい」は61.5%で、過半数は超えているものの、過去最低の結果となりました。ここでも、組織への帰属意識が低くなり、キャリアチェンジへの心的ハードルが低くなっていることが分かります。

現代社会は環境の変化が激しく、安定していると思われていた業界でさえ大量リストラが始まるなど、5年後10年後の未来さえも定かではありません。一つのキャリアビジョンにこだわり続けることが難しくなってきている今、「プロティアン・キャリア」のような「環境が変われば、自分も変化していける柔軟さ」を若年層が重要視していることは、時代に合った変化なのかもしれません。

プロティアン・キャリアを説いたホールは、二つのコンピテンシーを打ち出しています。それは、「アイデンティティ」と「アダプタビリティ(適応能力)」です。カメレオンのようにただ環境に左右され流されるのではなく、自分のキャリアを主体的に変形させるのがプロティアン・キャリア。従来のキャリアは、組織の中での地位や給与といった客観的で定量的な指標が到達すべき目標だったのに対し、個人の中で感じられる仕事の充実感を成功指標と捉え、「自分は何をしたいのか」「社会に対し何ができるのか」という自己への意味づけが重要としています。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

あわせて読みたい

キャリアショック
「キャリアショック」とは、国内のキャリア研究の第一人者である、慶應義塾大学大学院特任教授の高橋俊介氏が同名の著書で提唱した概念で、自分が積み上げてきたキャリアや描いてきたキャリアの将来像が、想定外の環境変化や状況変化によって短期間のうちに崩壊してしまうことをいいます。変化の激しい時代を生きるビジネス...
ライフキャリア・レインボー
「ライフキャリア・レインボー」とは、1950年代に米国の教育学者のドナルド・E・スーパーが発表したキャリア理論。ライフキャリア・レインボーの理論では、キャリア=職業とは考えず、キャリアを人生のある年齢や場面のさまざまな役割(ライフロール)の組み合わせと定義。人生全般にわたり、社会や家庭でさまざまな...
キャリアドリフト
「キャリアドリフト」とは、自分のキャリアについて大きな方向づけさえできていれば、人生の節目ごとに次のステップをしっかりとデザインするだけでいい、節目と節目の間は偶然の出会いや予期せぬ出来事をチャンスとして柔軟に受け止めるために、あえて状況に“流されるまま”でいることも必要だという考え方を言います。...

関連する記事

花田 光世さん: 「キャリアアドバイザー」を活用することで、組織の活性化と個人のキャリア自律の統合を図る
近年、組織における「キャリアアドバイザー」の存在が注目を集めています。慶應義塾大学総合政策学部の花田光世教授はこのキャリアアドバイザーの育成に長年取り組まれ、キャリアカウンセラーのように社員の個人の「こころ」の問題を中心としたキャリアの支援だけでなく、“組織の...
2013/10/11掲載キーパーソンが語る“人と組織”
人事マネジメント「解体新書」第93回 社員に気づきと成長を促す「キャリア開発支援」【前編】
「キャリア開発」があらためて注目されている。まずはキャリア開発支援の枠組みをしっかりと把握し、具体的な制度設計に踏み込んでいくことが重要である。「キャリア開発支援」の必要性を明らかにするとともに、具体的な対応(施策)と、運用のポイントについて解説する。
2016/04/14掲載人事マネジメント解体新書

関連するQ&A

キャリア採用担当者の留意点
この度ジョブローテーションにてキャリア採用の担当者に新たになりました。何分始めての仕事のため何をどうすれば良いかイメージがわきません。キャリア採用担当者としての留意点がありましたらアドバイスいただけますでしょうか?
新たに相談する
相談する(無料)

「人事のQ&A」で相談するには、『日本の人事部』会員への登録が必要です。

新規登録する(無料) 『日本の人事部』会員の方はこちら
業務に関するちょっとした疑問から重要な人事戦略まで、
お気軽にご相談ください。
人事・労務の専門家が親切・丁寧にお答えします。

関連するキーワード

分類:[ キャリア開発 ]
健康経営を戦略的に推進するステップとは?取り組み事例と外部サービスの選び方

会員として登録すると、多くの便利なサービスを利用することができます。

50音・英数字で用語を探す

注目コンテンツ


健康経営の実践に必要なステップ、外部サービスを選ぶ際のポイント

健康経営を戦略的に推進するための必要なステップや取り組み事例、外部サービスを選ぶ際のポイントをご紹介します。


【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。


「人のための組織づくり」への発想の転換<br />
今、企業社会のあり方が問い直されている

「人のための組織づくり」への発想の転換
今、企業社会のあり方が問い直されている

じっくり話しあって採用したはずの新入社員が「未来が見えない」といって早...