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人事マネジメント「解体新書」

多様な働き方が求められる時代、注目される“限定正社員”
~その可能性と雇用管理のあり方について考える~【前編】 (1/3ページ)

2014/8/18
政府と経済界の中で、正社員・非正社員の中間的な雇用区分と位置付けられる「限定正社員」を導入しようとする動きが活発化している。多様な働き方が求められる現代にあって、職種や勤務地、労働時間を限定し、期間の定めを設けず雇用しようとする新たな雇用モデルは、これまでの正社員を中心とした人材マネジメントにどのような変化をもたらすのだろうか。その可能性と雇用管理のあり方を紹介する。
「限定正社員」とは何なのか?
◆雇用期間に定めがないが、「職種」「勤務地」「労働時間」などに限定がある

2013年の新語・流行語大賞の候補にもなった「限定正社員」は、正社員と非正社員の中間的な雇用形態として位置付けられており、「多様な正社員」「ジョブ型正社員」などとも呼ばれている。実は、正社員や非正社員という言葉は法律で明確に定義されているわけではなく、労働法の専門家はこの言葉を使っていない。しかし、ビジネス社会では広く浸透しており、当たり前のように使われている。一般的にその違いは「雇用契約上の雇用期間の定めの有無」によるとされる。

正社員は「担当する職種(職務)が変わる」「勤務地が変わる(転勤する)」「所定労働時間を超えて働く(残業を行う)」などの可能性がある、会社からの拘束が強い雇用形態である。一方、「限定正社員」は「雇用契約上の雇用期間に定めがない」という点では正社員と同じだが、「職種」や「勤務地」「労働時間」などが限定される点が正社員と大きく異なる。総じて給与は正社員と比べて低いが、原則的に定年まで働き続けることができ、パートタイム労働者やアルバイトなどの非正社員と比べると、雇用条件は安定している。これまでとは異なる、新しいタイプの正社員と言える。

■図表1:雇用区分にみる「限定正社員」の特徴
図表1:雇用区分にみる「限定正社員」の特徴
出所:「『多様な形態による正社員』に関する研究会報告書」(厚生労働省・2012年)などより作成
◆「限定正社員」が注目される背景

2012年の「労働力調査」(総務省)によると、雇用者におけるパートタイム労働者・アルバイトなどの非正社員の割合は35.2%で、三人に一人の割合を占めている。これは比較可能な2002年以降では、最も高い水準である。もちろん、非正社員という働き方を自ら望んで選択した人もいるわけだが、「就職氷河期」や育児・介護などさまざまな事情を持つ人たちを中心に、本当は正社員になりたいのになれなかった「不本意非正社員」は少なくないと考えられる。総務省でも、その数は300万人を超え、正社員の2割近くに達していると予測している。

そして、少子高齢化の進展だ。2010年以降、労働力人口の減少が進む中、持続的な経済成長を図るには、雇用面からの下支えが必要不可欠。そのためには正社員だけではなく、多様な人材が労働市場に参加できる仕組みの構築が急務であり、各企業はそのための制度・施策を整備する必要がある。

このような背景から、育児や介護をはじめとする個人的な事情への配慮が相応になされ、職種・勤務地・労働時間など人材活用面で柔軟性を持ち、雇用期間に定めがない安定的な働き方としての「限定正社員」に注目が集まっているのである。

既に存在する「限定正社員」

ところで、「限定正社員」という言葉は目新しいものだが、実は「コース別人事管理」「複線型人事管理」などとして、一部の企業では既に導入されている雇用形態でもある。実際、厚生労働省が実施した「『多様な形態による正社員』に関する研究会報告書」(2012年)をみると、51.9%と過半数の企業が「限定正社員」を導入していると回答している。

そして、2013年に施行された改正労働契約法により、同じ職場で5年を超えて働く契約社員やパートタイム労働者が希望すれば、無期雇用に切り替えることが企業に義務付けられることになった(「無期転換ルール」の導入)。その無期雇用の“受け皿”として、「限定正社員」が活用される可能性は大いにあると思われる。

■図表2:企業における「限定正社員」の導入状況(%)
図表2:企業における「限定正社員」の導入状況
出所:「『多様な形態による正社員』に関する研究会報告書」(厚生労働省・2012年)より


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