2022年度 新入社員の初任給調査
東証プライム上場企業165社の速報集計
「全学歴引き上げ」は41.8%となり、過去10年で最多
労務行政研究所
民間調査機関の一般財団法人 労務行政研究所(理事長:猪股 宏)では現在、今年4月の新卒入社者の初任給を調査している。このほど、4月13日までにデータを得られた東証プライム上場企業165社について、速報集計の結果を取りまとめたので紹介する。
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初任給の改定状況
初任給を「全学歴引き上げ」た企業は41.8%で、昨21年度(旧東証1部上場企業ベース)速報集計時の17.1%から20ポイント以上上昇。一方、「全学歴据え置き」は49.7%となり、昨21年度速報集計時の74.3%から20ポイント以上低下[図表1] -
初任給の水準
大学卒(一律設定)21万6637円、大学院卒修士23万4239円、短大卒18万7044円、高校卒(一律設定)17万5234円[図表3] -
大学卒に見る上昇額の分布
21年度から「据え置き」が51.2%、「引き上げ」が48.8%。引き上げた場合は「1,000円台」が25.0%と最も多く、次いで「10,000円以上」が23.3%。引き上げた場合の平均上昇額は5276円[図表4]
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調査項目
2022年度の賃金見直しによって確定された2022年4月入社者の決定初任給(学歴別)。なお、初任給は原則として時間外手当と通勤手当を除く、諸手当込みの所定内賃金である。 -
調査時期・方法
3月下旬に調査票を発送、併せて電話による取材も行い、4月13日までに回答のあった分を集計。 -
調査・集計対象
旧東証1部上場企業2130社のうち、回答のあった201社(うち、東証プライム上場企業は165社)を集計。
1.初任給の改定状況[図表1]
2022年度の初任給を前年度から「全学歴引き上げ」た企業は41.8%と、昨21年度速報集計時の17.1%から20ポイント以上上昇した。一方、「全学歴据え置き」した企業の割合は49.7%と、同速報集計時の74.3%から20ポイント以上低下した。産業別に見ると、製造業は50.5%の企業が引き上げたのに対し、非製造業は30.6%となり、製造業が非製造業を19.9ポイント上回っている。
2.初任給の引き上げ率の推移[図表2]
リーマンショックの影響による世界的不況の波を受けた2013年度までは3〜4%台の低い割合が続いていたが、14年度は輸出産業を中心とする企業業績の回復、デフレ脱却に向けた賃上げの政労使合意などを背景に23.2%と大幅に上昇。15年度はさらに上昇し39.9%となった。16年度と17年度は引き上げ率が30%前後で推移したが、18年度は再び大きく上昇し、39.7%となった。19年度、20年度は減少基調ながら30%を超えていたが、21年度はコロナ禍による業績不振の影響などを受け17.1%と大幅に低下。しかし、22年度は一転して40%台と大幅に上昇した。
ちなみに、初任給を「全学歴据え置き」とした企業は19年度以降増加し、21年度は74.3%と大幅に上昇したものの、22年度は49.7%まで減少し、過去10年で最も低くなった。
3.2022年度決定初任給および同一企業における上昇額、上昇率[図表3]
全産業で見た学歴別の初任給水準は、大学卒(初任給に差を設けず、一律設定の場合。以下、一律)21万6637円、大学院卒修士23万4239円、短大卒18万7044円、高校卒(一律)17万5234円となった。同一企業における昨21年度初任給と比較した上昇率は、大学卒(一律)1.2%、大学院卒修士0.9%、短大卒1.0%、高校卒(一律)1.6%である。
4.学歴別決定初任給の上昇額[図表4]
大学卒(一律)では、「据え置き」が51.2%、「引き上げ」が48.8%となっている。引き上げた場合の上昇額は「1,000円台」が25.0%で最も多く、次いで「10,000円以上」が23.3%。引き上げた場合の平均上昇額は5276円となった。
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