パート採用の成否は、職場のムード(雰囲気)しだい?
アイデム人と仕事研究所 所長/社会保険労務士 岸川 宏
重要なのは雰囲気?
パート・アルバイトに仕事探しの際に、労働条件以外で重視する項目を聞いてみると、最も多いのは「職場の雰囲気が良い」98.5%で、以下「面接官や対応者の態度が良い」93.1%、「業種」92.5%、「職場の施設・設備が良い」89.4%、「応募・問い合わせ時の電話の対応が良い」88.5%となっています。
企業がアピールしているポイントを振り返ってみると、「職場の雰囲気」をアピールしている企業はわずかに5.3%です。求職者のほとんどの方が知りたいと回答している項目に関して、アピールできていないということです。
職場の雰囲気って何だろう?
求職者が重視する労働条件以外の項目の中に多いものは、「職場の雰囲気」以外では、“人”にかかわることが多くなっています。「面接官の態度」「問い合わせ時の対応の良さ」などです。
これは、パート・アルバイトに限らず、新卒者の就職活動においても同じような結果が出ています。
当社が就職活動を行っている学生に「働きやすさとは何か?」を聞いた調査によると、「休日が多い」35.6%でも「残業が少ない」31.8%でも「有給がとりやすい」20.8%でもなく、一番多い回答はダントツで「社内の人間関係や風通しが良いこと」50.8%でした(図8「2018年3月卒業予定者の就職活動に関する学生調査/2017年2月1日状況)」)。
求職者が知りたい職場の雰囲気とは、「同じ職場で働く人たちがどのような人なのか?」「自分が一緒に働ける人たちなのか?」というようなことを気にしているように感じます。
前述の「友人・知人の紹介」が職場選びの決め手となるのは、知り合いを通じ、職場の雰囲気が伝わってくるからではないでしょうか。
求職者に響く募集を行うには、「職場で働く仲間が見える」募集であることがとても重要になっているようです。
職場で働く仲間、職場の雰囲気を伝えていくには、会社の施設や商品ばかりだけではなく、働いている人の普段を切り取った写真などの映像情報や、職場見学会など、実際に見聞きしてもらうリアルな情報提供なども考えられます。
もちろん、社員紹介という手段もあります。ただし、働きやすい職場になっていなければ、求職者にも魅力的には写りません。
採用活動を成功させるには、労働条件の良さだけではない、働きやすさを備えた職場作りが必要ということになります。一朝一夕にはいきませんが、採用を最終的に成功させるには最も重要な方法といえるのではないでしょうか。
<パート戦力化に関する取材記事は、人と仕事研究所WEBサイトで検索・閲覧できます>
TOP ⇒ コラム/取材記事 ⇒ 現場イズムバックナンバー
詳細はこちらをご覧ください→アイデム人と仕事研究所
●文/岸川 宏(きしかわ ひろし)
アイデム人と仕事研究所 所長/社会保険労務士
大学卒業後、リゾート開発関連会社へ入社。飲食店部門での店舗運営を経験後、社会保険労務士資格を取得。社会保険労務士事務所にて、主に中堅・小規模企業の労務相談、社会保険関連手続きに従事した。
1999年、アイデム人と仕事研究所に入社。労働環境の実態に迫る情報提供を目指し、社内・外への情報発信を続けている。2015年4月より現職。
人事の専門メディアやシンクタンクが発表した調査・研究の中から、いま人事として知っておきたい情報をピックアップしました。