40代・50代社員の課題と役割に関するアンケート
管理職・非管理職別に期待役割と実践度、活躍支援に向けた課題を調査(労務行政研究所)
2 管理職に期待している役割と実践度
[2]管理職(部長/課長)に期待している役割の実践度
ここでは、管理職に期待する役割と実際の実践度のギャップを把握するために、前記[1]で見た管理職(部長/課長)に期待している役割として回答した項目に対し、その役割に関する現状の実践度を「十分に実践できている」「ほぼ実践できている」「あまり実践できていない」「まったく実践できていない」の4段階で評価してもらった。そこで、「十分に実践できている」と「ほぼ実践できている」の合計を「実践できている」とし、その実践度を見ている。
部長に期待している役割の実践度[図表5、7]
(7)目標達成行動が1位、(5)変革推進が最低
部長に期待している役割として実践度が高い項目は、「(7)上位の方針に基づいて、所属組織あるいは個人の目標を設定し、その達成に向けて行動する」が76.8%で1位となった[図表5]。次いで、「(4)社内外の関係者と適切にコミュニケーションを取り、人的ネットワークを維持・拡大する」60.6%、「(9)自らも業務を担当して、部門業績のみならず個人業績も高める」60.0%が6割台で続く。一方、「(1)組織のメンバーの成長を意識した指導・育成・提案を行う」39.0%、「(5)リーダーシップを発揮し、従来の方法にとらわれずに変革を推進する」35.8%は4割を下回った。
課長に期待している役割の実践度[図表6〜7]
(9)個人業績向上が1位、(5)変革推進が最低
課長の実践度が高い項目は、「(9)自らも業務を担当して、部門業績のみならず個人業績も高める」が79.5%で1位となった[図表6]。次いで、「(7)上位の方針に基づいて、所属組織あるいは個人の目標を設定し、その達成に向けて行動する」が70.5%と7割台に乗った。一方、「(4)社内外の関係者と適切にコミュニケーションを取り、人的ネットワークを維持・拡大する」38.9%、「(1)組織のメンバーの成長を意識した指導・育成・提案を行う」31.4%は3割台と低調だった。さらに、「(5)リーダーシップを発揮し、従来の方法にとらわれずに変革を推進する」は16.5%となった。
なお、それぞれの回答に、「十分に実践できている」=4点、「ほぼ実践できている」=3点、「あまり実践できていない」=2点、「まったく実践できていない」=1点として得点を与え、加重平均したものが[図表7]である。中央値である2.5点を超えれば実践できている傾向が強く、逆に2.5点を下回れば実践できていない傾向が強いことを意味する。
これを見ると、実践度が高い項目は、1、2位で項目の順序の違いはあるものの、部長、課長とも「(7)上位の方針に基づいて、所属組織あるいは個人の目標を設定し、その達成に向けて行動する」(部長2.84点で1位、課長2.78点で2位)、「(9)自らも業務を担当して、部門業績のみならず個人業績も高める」(同2.60点で2位、同2.99点で1位)となっている。
逆に実践度が低い項目としては、部長・課長ともに、「(5)リーダーシップを発揮し、従来の方法にとらわれずに変革を推進する」の実践度のポイントが、部長で2.33点、課長で2.10点と10項目のうち最も低かった。
[3]期待している役割と実践度の対応関係
前記[1]で見た「期待している役割」と[2]で見た「実践度」を “ポイント化” したものをレーダーチャートにして、両者の対応関係を示した[図表8]。
部長に期待している役割と実践度の対応関係[図表8]
(1)(5)(6)は期待と実践のバランスが伴っていない
部長について見ると、期待している役割として当てはまるが、実践度が弱い項目として、「(1)組織のメンバーの成長を意識した指導・育成・提案を行う」(期待している役割:78.8%、実践度:2.39点。以下同じ)、「(5)リーダーシップを発揮し、従来の方法にとらわれずに変革を推進する」(84.8%、2.33点)、「(6)自部署と他部署が関係する横断的な課題・問題を把握し、対応策を立案する」(92.9%、2.47点)の三つが挙げられる[図表8]。
特に、「(5)リーダーシップを発揮し、従来の方法にとらわれずに変革を推進する」に関しては、8割以上の企業が期待する役割として求めているのに対し、その実践度は中央値から0.17ポイント低い結果となった。
課長に期待している役割と実践度の対応関係[図表8]
(1)(2)(5)は期待と実践のバランスが伴っていない
一方、課長について見ると、期待している役割として当てはまるが、実践度が弱い項目として、「(1)組織のメンバーの成長を意識した指導・育成・提案を行う」(91.8%、2.29点)、「(2)前向きな職場づくりを意識し、メンバーのモチベーションを高める」(92.9%、2.38点)、「(5)リーダーシップを発揮し、従来の方法にとらわれずに変革を推進する」(81.6%、2.10点)の三つが挙げられる[図表8]。
部長と同様で、特に「(5)リーダーシップを発揮し、従来の方法にとらわれずに変革を推進する」に関しては、8割以上の企業が期待する役割として求めているにもかかわらず、その実践度は中央値から0.40ポイントも低い。また、「(1)組織のメンバーの成長を意識した指導・育成・提案を行う」の項目も部長と同様で、期待している役割と実践度にギャップが生じていることが分かる。
一方、部長とは対照的な項目として、課長の場合は「(2)前向きな職場づくりを意識し、メンバーのモチベーションを高める」が高い割合で求められている(92.9%、部長では68.7%)が、その実践度は低い(2.38点、部長では2.47点)ことが明らかになった。
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