【コスト削減・業務効率UP・コンプライアンス強化】
要注目の「電子契約」とこれからの企業実務
4. 電子契約の導入
電子契約の導入にあたっては、ハブとなる企業がシステムを導入し、その企業の取引先との間の契約を電子化するのが普通です。特に、多くの取引先からの調達がある企業や、委託先の多い企業、個人との重要な契約の多い企業などがハブとして導入することが効果的です。
電子契約の導入には、取引先の協力が必要となります。電子契約の導入は、取引先にとっても有益なものですので、相互の業務効率化などを示して協力を求めることになります。しかし、取引先が個別に電子証明書を取得するのは難しいことが多いでしょうから、このような処理をハブとなる企業が取りまとめて手間を減らすことが考えられます。なお、下請企業等に電子契約を強要することは違法ですので、この点には注意が必要です。
電子契約のシステム化については、自社でシステムを持つ方法と、クラウドサービスによる方法があります。従来は、自社システムも多かったのですが、コンピュータ資源の確保やメンテナンスを考えると、これからはクラウドサービスが主流になっていくように思います。どちらの方法をとる場合でも、専門の業者に依頼するケースがほとんどです。
5. まとめ
電子契約は、法的な効力があり、印紙代等の削減、業務の効率化、コンプライアンスの強化に役立つ非常に強力なものです。今後のビジネスにおいて重要なシステムですので、導入を進めていっていただきたいと思います。
【執筆者略歴】 宮内 宏(みやうち ひろし)●東京大学工学部電子工学科および同修士課程修了後、日本電気株式会社(NEC)に入社し、同社中央研究所にて情報セキュリティ等の研究開発に従事。その後、東京大学法科大学院を経て司法試験に合格し現在に至る。専門分野は、コンピュータシステム、電子契約、情報セキュリティ等の法務および技術。第二東京弁護士会所属。
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