パートが「会社のために」力を発揮するようになる工夫
古橋孝美(ふるはし たかみ)
会社が求めるものは、正社員もパートも同じ?
突然ですが、正社員に“必要なもの”は何だと思いますか? 長く勤めてくれること? 愛社精神を持ってくれること? がむしゃらに仕事をこなしてくれること?
平成23年版『パートタイマー白書』の調査(註)で、企業に対し「正社員に必要だと思うもの」を聞いたところ、以下のような結果になりました。
「長期にわたって勤続できる」95.2%「会社の理念や方向性を理解して行動できる」93.7%「会社の利益を考えて行動できる」91.7%
また、正社員に“最も”必要なものを一つだけ挙げてもらうと、下記の二つが上位2位となりました。
「会社の理念や方向性を理解して行動できる」29.7%「会社の利益を考えて行動できる」26.6%
「長期勤続」や「長時間労働」などの物理的な要件よりも、「会社のことを考えて」行動できる人材を、より強く求めている様子がうかがえます。
では、パート・アルバイトに対してはどうでしょうか。同調査では、パート・アルバイトに“必要なもの”も同様に聞いていますが、結果は下記の通りです。
「長期にわたって勤続できる」59.4%「会社の理念や方向性を理解して行動できる」58.7%「会社の利益を考えて行動できる」55.3%
回答割合こそ正社員に対するものより低いながら、同じ要素が挙がっています。
「会社の理念や方向性」をわかってもらうには
「えっ、パート・アルバイトにも『会社の理念』や『会社の利益』を考えてもらうの?」 「わかってもらうに越したことはないけれど、そこまで必要?」と感じる方もいるかもしれません。しかしこれらは、会社が強く「“正社員”に必要」と考えているものですよね。もし、この要素をパート・アルバイトにも同様に身に付けてもらえたら……心強くありませんか? しかも、特別な制度や先進的な教育をすることなく、ちょっとした“工夫”で身に付けてもらえるとしたら、どうでしょうか?
パート・アルバイトに対して、現在の勤務先の経営理念(会社の方向性や目的・目標を示すもの)を知っているか聞いたところ、下記のような結果になりました。
「知っており、その内容に共感している」31.2%「知っているが、その内容に共感していない」20.3%「知らない」48.5%
約半数のパート・アルバイトは、勤務先の経営理念を「知らない」し、知っていても約2割は「その内容に共感していない」。つまり、パート・アルバイトの7割は、勤務先の経営理念への認知・共感がないという結果です。
一方、勤務先の経営理念を「知っており、その内容に共感している」というパート・アルバイトも約3割います。では、この人たちは一体どのようにして経営理念を知り、なぜ共感できているのでしょうか。
(註)平成23年版パートタイマー白書<個人調査> 1025名/パート・アルバイトで働く20歳以上の男女(学生除く)<企業調査> 1445名/6人以上の正社員を雇用している企業に所属し、人材の雇用(採用・育成・活用等)に決定権、もしくはある程度の裁量権を持っている方
人事の専門メディアやシンクタンクが発表した調査・研究の中から、いま人事として知っておきたい情報をピックアップしました。