HR業界TOPインタビュー「人・組織」ビジネスを牽引する希代の経営者

株式会社日本能率協会マネジメントセンター 代表取締役社長

長谷川 隆さん

人は育てるのではなく、自ら成長するもの
人が育つ風土づくりを極め、さらなる飛躍のステージへ
[1/4ページ]

(2016/05/25掲載)
長谷川 隆さん
日本能率協会マネジメントセンターは、日本能率協会グループの中核企業として、「人材育成支援事業」「手帳事業」「出版事業」を展開。日本能率協会の一事業部門だった時代から、長きにわたって日本の教育研修業界をけん引してきたリーディングカンパニーです。そのプロフィールから“老舗”のイメージも強い同社ですが、長谷川隆社長はこう強調します。「歴史や伝統といったものはあまり当てにしていません。いま目の前にいらっしゃるお客様の声こそがすべての事業活動の起点です」――柔和な物腰とは対照的に、その言葉からは、変革への強い意思と、人の成長を支える天職への深い矜持がうかがわれました。
プロフィール

長谷川 隆(はせがわ・たかし)●1985年、社団法人日本能率協会入職。2001年、日本能率協会マネジメントセンター人事アセスメント研究所本部長に就任後、取締役、常務、専務就任を経て、2010年から現職。

1000名分の人事情報を丸暗記、人への興味が教育への関心に

―― 日本能率協会マネジメントセンター(以下、JMAM)は、母体である一般社団法人日本能率協会から主幹事業部門を分社化する形で、1991年に設立。長谷川社長は、その6年前に同協会に入職されました。まずはその経緯からお聞かせください。

私は学生の頃から、漠然とビジネスマンに憧れていました。いい会社に入って、仕事もバリバリできる“スーパービジネスマン”になりたいと思っていました。78年に大学を卒業して最初に入ったのは日本橋にある製薬会社。そこで本社の人事部に配属されたことが、以後、今日にいたるまでの私の人生を決定づけたような気がします。ちょうど日本の企業人事そのものが変革期を迎え、給与も年功給から職能資格給に替わるなど、大きな変化が起ころうとしていた頃です。ただ、当時の私はあまり分かっていなくて、知り合いに誘われるまま、その製薬会社を辞め、外資系の保険会社に転職しました。外資系なら海外にも行けるし、英語も話せるようになるだろう、という動機でした。仕事に対する考え方というものが、まだしっかりと形成されていなかったのだと思います。

30歳も間近になってようやく、自分が本当にやりたいことは何だろうと真剣に考えるようになり、最初に入った人事部のことを思い出しました。やはり人に関わる仕事がしてみたいな、と。ちょうど最初の子供が生まれる前でしたから、ただ給料を稼ぐだけではなく、子供に誇れるような仕事を今度こそ選びたいという思いもありました。そしてある日、新聞を読んでいて、日本能率協会が教育に関する事業で求人広告を出しているのを見つけたのです。いま思えば、それが私にとって初めての、本当の意味での仕事選びだったかもしれません。

―― 新人時代の人事部での経験が、人に関わる仕事をしたいと思われるきっかけになったわけですね。それだけインパクトが大きかったのでしょうか。

長谷川 隆さん インタビュー photo

大きかったですね。まだアナログの時代ですから、その会社では人事情報を社員カードで管理していたのですが、先輩から「全部読んで、全部頭に入れろ」と言われました。社員はざっと1000人ほどいましたが、もう覚えるしかありません。明けても暮れても、社員カードとにらめっこです。そうするうちに、本当にいろいろな人がいて、それこそ1000人いれば、出身から経歴、バックグラウンドまでみんな違うということが分かってきました。たとえば、社内の廊下で誰かとすれ違ったとしましょう。向こうは私を知らなくても、こちらは相手の顔も名前も、学歴や人事考課まで、一方的に知っているわけです。この人はいつもニコニコしているけれど評価は良くないんだよなとか、この人はすごい学歴なのにどうして成績が上がらないんだろう、など。人事情報を通じて、社員一人ひとりの人生が嫌でも見えてくる。その経験から人間観察のおもしろさに目覚め、人への興味・関心が強くなっていきました。保険会社にいる間は忘れていたものの、日本能率協会に入って、それが一気によみがえったのです。

―― 日本能率協会に入職された当初、どういう事業を担当されたのですか。

通信教育です。ちょうど事業として、成長・拡大していく時期でした。通信ですから、受講者と直に接する機会はほとんどありません。それでもお手紙をいただいたり、成績優秀者の方に表彰式でお話をうかがったりすると、私たちが提供する教育サービスに、皆さんがいかに一生懸命に取り組み、それを仕事に結び付けて成果を上げようとしているのかが、ひしひしと伝わってきました。人はここまで変われるのか、成長できるのかと、本当に頭の下がる思いがしたものです。最初は単なる人への興味だけでしたが、通信教育の事業に携わることで、その興味が次第に人が育つこと――学びや成長への関心・意欲にフォーカスされていくのを、実感しました。

通信教育事業が発展していく中で、私が手応えをつかんだのは、人の成長や学びに対する関心だけではありません。もうひとつ、ビジネスそのものにも面白さややりがいを感じるようになっていったのです。当社の通信教育事業は、私が関わっていた8年間だけでも、数億円から数十億円規模へ急成長を遂げましたが、その過程を間近で見ることができたのは大きかったです。


  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事にコメントする

この記事に対するご意見・ご感想のコメントをご投稿ください。
※コメントの投稿をするにはログインが必要です。

※コメントのほか、ニックネーム、業種、所在地(都道府県まで)がサイト上に公開されます。

※投稿をしたコメントは、『日本の人事部』事務局で確認後、掲載されます。投稿後すぐには掲載されませんので予めご了承ください。

HR業界TOPインタビューのバックナンバー

池田匡弥さん(マンパワーグループ株式会社 代表取締役社長):
失敗、挫折……あらゆる経験を生かせるのが人材ビジネス
営業からの叩き上げトップとして日本法人でグループの先頭に立つ
マンパワーは世界でも日本でも、人材派遣サービスの代名詞と言えるほどの歴史とブランド力を持つ企業。グローバルカンパニーらしく、これまでの日本法人の歴代トップはアメ...
2017/06/28掲載
池田良介さん(株式会社ウィルグループ 代表取締役会長 兼 CEO):
人材ビジネスを起点に、個と組織をポジティブに変革する!
目の前の顧客と経営に集中する中で「理念」が生まれた
業種に特化した「人材派遣」「業務請負」「人材紹介・紹介予定派遣」などの人材ビジネスや語学教室、海外事業などを展開する30社近くのグループ企業を有する株式会社ウィ...
2017/05/26掲載
井川幸広さん(株式会社クリーク・アンド・リバー社 代表取締役社長):
唯一無二の「クリエイター・エージェンシー」として事業を拡大
ドキュメンタリー番組も、事業も、必要なのは「勇気・希望・愛・感動」
クリエイティブ領域で活躍するクリエイターとクライアント企業をつなぐ、世界的にも珍しい「クリエイター・エージェンシー」として業界に確固たる地位を築いている、株式会...
2017/03/23掲載

関連する記事

2019年度 新卒採用特集
会員として登録すると、多くの便利なサービスを利用することができます。会員ができること

注目コンテンツ


2019年度 新卒採用特集

激戦の新卒市場をリードするための最新のサービスやソリューションをご紹介。


【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。


管理職1年生日記 (第2回)

管理職1年生日記 (第2回)

営業課長へと昇進し、当初は個人目標がなくなったことへの戸惑いを見せたA...


いま求められる「ハラスメント対策」<br />
~人事部が果たすべき「役割」とは何か?

いま求められる「ハラスメント対策」
~人事部が果たすべき「役割」とは何か?

近年、職場ではさまざまな「ハラスメント」が増加してきている。しかし、な...