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「共感」「共創」の時代
社員が戦略的・創造的な働き方をするために
人事は何をすべきか(後編)[前編を読む]

株式会社ウィズグループ 代表取締役

奥田 浩美さん

居心地の悪い場所こそ未来がある。人事自らが変化に敏感になるべき

 まずは、試しにやってみることが大切なのですね。

規則化する必要はなく、最初は少しずつでいいと思います。最初から全員に適用しようとすると、おかしくなってしまいますから。私がこういうことを言うと、大企業の方からは「無理だ」と言われます。だったら、小さな単位の会社をグループ内に数多く作って、動きやすくすればいい。「××だから無理」と諦めるのではなく、そのほかのやり方を探せばいいのです。もちろんそれが正しいかどうか、成功するかどうかは時代によって変わってきます。成功している会社は、やり方を固定するのではなく、時代と共に変えています。

 「無理」という前に、人事としてできること、やるべきことがあるということですね。

変革に突き進んでいく人事は、必ず何かの成果を導き出せると思います。逆に、過去の規範や規程に従っているだけの人事は、イノベーションを起こせる人を雇えないでしょう。自分が旧来からの人事の手法を変えたい時に、少しでも「怖い」と思ったら、それはチャンスです。「怖い」と思うのは「未知」だからです。人事担当者の方々には、「時代は人事の手法の先を行っている」「時代の変化のほうが人事のあり方よりも早い」ということを伝えたいですね。これからはAIに取って代わられる部分がどれぐらいの領域になるのかを踏まえて、人事の業務を行わなくてはなりません。人事は社会や会社の変化に一番敏感で、自分のやりたいことにチャレンジできなければいけないと思っています。

 時代の変化に敏感になるにはどうすれば良いのでしょうか。

一箇所にとどまらないことでしょう。自分にとって居心地が悪い場所に1週間に1回くらいのペースで行ってみてはどうでしょうか。例えば、社会的地位の高い人ばかりが集まる場、言語が全く通じない外国人が集まる場、価値観が全く異なる人たちが集まる場など。人間の価値観は多様で、次の価値観を作る人たちが自分たち以外にもこんなにいることが、分かると思います。実際に私は、居心地が悪い場所にこそ未来があると信じているので、積極的に行くようにしています。自分がちやほやされる場所よりも、自分のことを誰も知らず、価値を見出してもらえないような場所に行ったほうが、自分が何もできていないことを知ることができます。私自身、最先端の場所を作り続けてきた自負がありましたが、ある日そんなものは何も通用しないということに気付かされました。そういう経験を積み重ねていくことが重要です。

 最後に、人事部の方にメッセージをお願いします。

「自分たちは道半ばで泥臭くやっているけど、こういうことを何があっても達成したいんだ、挑戦してみたいんだ」という強い姿勢があれば、周囲の人は協力してくれます。「良い人材を選ばせてもらうよ」という上からの態度ではなく、「こんな会社を作りたいので、理解してくれる人はぜひ来てほしい」と素直な気持ちを伝えるのが人事の役目だと思います。大企業でも、人事が「うちの会社はこういう未来を作りたいんです。だからこそ、ユニークな人材が必要なんです」とアピールし続けた結果、多様な社員が集まるようになったという事例が数多くあります。大企業だから融通が利かない、ということはありません。共感してくれる人が一人、二人と増えていけば、その人たちがさらに「次に作りたい未来」を持ってきてくれると思います。

奥田浩美さん 株式会社ウィズグループ 代表取締役

(取材は2017年4月26日、東京・港区にて)

企画・編集:『日本の人事部』編集部

Webサイト『日本の人事部』の「インタビューコラム」「人事辞典「HRペディア」」「調査レポート」などの記事の企画・編集を手がけるほか、「HRカンファレンス」「HRアカデミー」「HRコンソーシアム」などの講演の企画を担当し、HRのオピニオンリーダーとのネットワークを構築している。

奥田浩美さん: 「共感」「共創」の時代 社員が戦略的・創造的な働き方をするために人事は何をすべきか(前編)
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この記事ジャンル 経営

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