本誌特別調査
2017年役員報酬・賞与等の最新実態(労務行政研究所)
社長の年収は4441万円。社外取締役の年間報酬の平均額は643万円
当研究所では、調査資料が少ない役員の年間報酬(報酬月額・年間賞与)その他処遇に関する調査を1986年以降継続して行っている。このほど、その最新調査結果がまとまったので紹介する。
今回は、例年行っている(1)常勤役員の報酬・賞与の水準をはじめ、(2)企業統治形態の採用状況、(3)社外取締役・社外監査役の選任状況および報酬・賞与、(4)常勤役員の社宅制度についても調べている。ここでは、年間報酬に関して役位別の水準と社外取締役について紹介する。
ポイント
(1)社長の年間報酬:平均4441万円。5000万円以上は35.9%[図表1、3]。規模別に見ると、1000人以上5724万円、300~999人4358万円、300人未満3235万円[図表1]
(2)社外取締役の選任状況と年間報酬:回答企業の94.2%が社外取締役を選任[図表5]。年間報酬の平均額は643万円(分布の中位数は590万円)
1 常勤役員の報酬と賞与
- 本調査では、報酬は「2017年7月現在」、賞与は「2017年7月時点から直近1年間における支給実績」を回答いただいた。
- 賞与については、役員にもともと支給がないケースや、業績不振などにより全額不支給としているケースは “0” として集計に含めた。また、報酬・賞与カットを実施している場合は、減額後の金額を回答いただいた(なお、年度途中での昇格者や退任者は、報酬・賞与とも集計から除外している)。
役位別平均額[図表1~2]
社長の年間報酬は4441万円、25歳従業員の年収の約12倍
役位別に年間報酬(規模計平均)を見ると[図表1]、会長が5130万円、社長が4441万円となっており、これに次ぐ副社長が3728万円。専務は2994万円、常務は2474万円。取締役(兼務は除く)1830万円、従業員兼務取締役1734万円、常勤監査役1388万円となっている。加えて今回は、監査等委員会設置会社の統治形態を採る企業で、監査等委員を務めている取締役の報酬を調べており、年間報酬の平均額は1296万円となっている。
編注:監査等委員の取締役については、集計対象数が少なく、報酬水準についてもバラつきが大きいため、以降の集計表の一部では表示を省略しているので留意いただきたい。
参考まで、調査対象や集計(回答)企業が異なることを前提に、当研究所で実施した「2017年度モデル賃金・年収調査」(第3940号−17.11.10)による従業員の年収と、今回調査による社長の年間報酬を比較してみよう。大学卒・総合職25歳の従業員のモデル年収(2017年度の年間定期給与+16年年末賞与+17年夏季賞与)は379万円であり、社長の年間報酬(4441万円)はこの年収の約11.7倍に当たる。さらに、同調査の役職別年収の水準と比較すると、社長の水準は課長(47.0歳・808万円)の約5.5倍、部長(51.5歳・1017万円)の約4.4倍に上る。
役位別に見た分布状況[図表3~6]
社長の年間報酬は、「5000万円以上」が全体の36%を占める
社長の年間報酬は最低720万円・最高1億1448万円で、分布を見ても[図表3]のようにバラつきが大きい。一つの目安として「5000万円」で区切って見てみると、これを上回る企業は合わせて35.9%となっている。最頻値は「5000万円台」12.8%で、これに次ぎ「2000万~2500万円未満」「3500万~4000万円未満」「4000万~4500万円未満」にそれぞれ11.1%の分布が見られている。
社長以外の役位の最頻値を見ると、会長は「3500万~4000万円未満」(15.4%)、副社長が「3000万~3500万円未満」(22.2%)、専務は「2500万~3000万円未満」(27.7%)、常務が「1500万~2000万円未満」「2000万~2500万円未満」(ともに21.9%)、取締役(兼務は除く)は「1000万~1500万円未満」(34.5%)となった。全体としてはおおむね、役位が下がるのに伴い最頻値の階級も下がる傾向があるといえるだろう。また、年間報酬のうち、報酬月額のみの分布状況を[図表5]に示しているので、併せてご覧いただきたい。
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