「戦略人事」の考え方や視点を持って、業務に取り組んでいる人事担当者は約4割
戦略人事に「取り組んでいる」のは約4割。「執行役員・事業部長クラス」では過半数を占める
人事担当者自身がどのように「戦略人事」に取り組んでいるかを聞きました。
「戦略人事」の考え方や視点を持って人事業務に取り組んでいるかどうかを聞いたところ、「取り組んでいる」は39.8%でした。一方、「取り組みたいができていない」は52.5%という結果で、「取り組んでおらず、今後も取り組む予定はない」は3.7%とごく少数です。
役職別に見ると、「取り組んでいる」は「執行役員・事業部長クラス」で56.4%と最も高くなっています。
戦略人事への取り組みを阻害する理由は、個人と組織の両面に存在
人事業務に「戦略人事」の考え方や視点を持って「取り組みたいができていない」と回答した人に、その理由を自由記述で聞きました。
回答を見ると、「日々の業務に忙殺されているから」「目先の業務処理に追われて長期的視点での取り組みに時間を割けない」など、日々の業務の多忙を理由に挙げる回答が多く見られます。また、「戦略人事に関する情報・ノウハウ不足」など、「知識・経験の不足」を理由とする声もありました。
一方、「組織体がそこまで成熟していない。組織としての体制が整っていない」「人手が足りない。工数が足りない」「原資が無い。実行予算が不足している」といった「人事部内(体制)の問題」や、「経営陣から人事部に戦略人事を求められていない」「会社としてのニーズが少ない。社内で必要とされていないため」など「経営の問題」を挙げる回答も多く見られました。
【業務の多忙】
- 日々の業務に忙殺されているから
- 実務に追われ気味
- 担当業務が多い
- 管理業務に追われている
- 人事だけではなく、総務・経理・労務・採用を担っているため手が回っていない
- 人事部門の要員体制が不十分であり、ルーチン業務に忙殺されている
- 目先の業務処理に追われて、長期的視点での取り組みに時間を割けない
- 経理業務・採用活動・総務雑用・庶務に業務が取られている
- オペレーションに追われ、企画、立案する余裕が少ない
- ルーチン業に忙殺。特にコロナ禍で思うような改革ができない
- 現状の制度の不備などの修正に時間をとられている
- 管理に追われ、経営サイドへの働きかけができていない
【知識・経験の不足】
- 戦略人事に関する情報・ノウハウ不足
- 戦略人事の知識不足、経験不足
- リソース不足
- スキルがない
- 何から手をつければいいのかがわからない
- ロールモデルが欲しい
【人事部内(体制)の問題】
- 組織体がそこまで成熟していない。組織としての体制が整っていない
- 部門責任者と考え方の相違、コミュニケーションの欠如
- 役員の権限なので
- 自分は人事部門の業務に対し決定権が無い
- 提案が上司に通りづらい
- 理解してくれるスタッフがいない
- 人事権を持ったメンバーにセクショナリズムが生まれており、会社全体というより、部署全体の最適化を求めているため
- 人手が足りない。工数が足りない
- 原資が無い。実行予算が不足している
- 人事部門から意見する力が弱い
- 必要な権限や裁量を与えられていない
- 採用に特化している業務のため、他人事の仕組みとの関係が強く単独で変化が起こしにくい
- 中長期計画が明確化されておらず、具体的な人事戦略計画を立てられない
- 周囲の状況(人事と他部門のパワーバランス)
【経営の問題】
- 経営陣から人事部に戦略人事を求められていない
- 会社としてのニーズが少ない。社内で必要とされていないため
- 経営サイドとの認識の相違とコミュニケーション不足
- 経営ボードと経営戦略を議論できていない
- 時間と金をかけた取り組みは会社になじまない
- 現在の人事業務に関して、権限は経営者にある
- 会社の慣例により役員層が人事異動権限を持つため、人事部に「人事」の権限が付与されていない
※自由記述回答より一部抜粋
実施時期 | 2021年3月11日~3月31日 |
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調査対象 | 『日本の人事部』正会員 |
調査方法 | Webサイト『日本の人事部』にて回答受付 |
回答数 | 3,091社、3,186人(のべ) |
質問項目 | 1.戦略人事/2.採用/3.育成/4.制度・評価・賃金/5.ダイバーシティ/6.働き方/7.HRテクノロジー/8.注目の人事課題 |
出典:『日本の人事部 人事白書 2021』
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