社員53人で100億円を売上げる驚異の生産率
女性活躍を推進し、チームの力を最大に高める秘訣とは
株式会社ランクアップ代表取締役社長
岩崎裕美子さん
経営者の仕事は、会社の未来を作ること
子育て中の女性が働き続けられるメリットとは何でしょうか。
社員の子育ての経験が、製品開発に生かされています。例えば、忙しいママ向けに、ごく短時間で済ませられるベースメイクを開発しました。この製品は片手でも使えるように工夫したこともあり、多くの支持を得て年間約6億円の売上を超えるまでになっています。また、水を使わない洗顔料も忙しいママには好評で、年間11億円売り上げています。このように、子育ての経験が生かされたからこそ、支持を得られた製品は少なくありません。
最後になりますが、もし過去の自分に会って話ができるとすれば、どのようなことを伝えますか。
「会社の将来を作ることが、経営者の仕事だ」と伝えたいです。広告代理店時代を振り返っても、経営側であった私がしなければならなかったことは、長時間労働ではなく、会社の将来を作ることでした。既存の広告媒体をただ売り歩くだけではなく、新しい媒体を作り、社員を育てなければならなかったのです。
これからの私の夢は、私の会社だけでなく、日本中のキャリアを積みたい女性が夢をあきらめることなく活躍する社会を手助けすることです。
ただ、こんなふうに言うと「やりがいにあふれた会社」と思われるかも知れませんが、新たな課題もたくさんあります。風土改革に終わりはないのです。「挑戦」という価値観で会社の風土を改革したのは、もはや数年前のこと。会社を経営している以上、人事課題はつきません。順風満帆にはいかないのです。でも、私はあきらめません。「輝く女性を増やす」というミッションのもと、これからも社員とともに会社の改革を続けていきます。
多くの管理職の方や経営者にとって参考になるお話をうかがうことができました。本日はありがとうございました。
取材:小酒部さやか(株式会社natural rights 代表取締役)
2014年7月自身の経験からマタハラ問題に取り組むためNPO法人マタハラNetを設立し、マタハラ防止の義務化を牽引。2015年3月女性の地位向上への貢献をたたえるアメリカ国務省「国際勇気ある女性賞」を日本人で初受賞し、ミシェル・オバマ大統領夫人と対談。2015年6月「ACCJウィメン・イン・ビジネス・サミット」にて安倍首相・ケネディ大使とともに登壇。2016年1月筑摩書房より『マタハラ問題』、11月花伝社より『ずっと働ける会社~マタハラなんて起きない先進企業はここがちがう!~』を出版。現在、株式会社natural rights代表取締役。仕事と生活の両立がnatural rights(自然な権利)となるよう講演・企業研修などの活動を行っており、Yahooニュースにも情報を配信している。
ライター:水野宏信/カメラマン:村上岳